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 お願いですから、これ以上レコード屋を潰さないでください…。   
   

 
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2011/5/29



Albums of the year 2010





 ここ2ヶ月ほど、オタク系のネタでも音楽の話題にふれていたこともあってか、この「Albums of the year 2010」というテキストをアップするのをすっかり忘れていました。もうそろそろ2011年も中間地点にさしかかろうという時期になってしまいましたが、一応あげておくことにしました。


  1.「The Guessing Game」 Cathedral
 
  2.「Blackjazz」 Shining
 
  3.「The Never Ending Way Of ORwarriOR」 Orphaned Land
 
  4.「Skit I Allt」 Dungen
 
  5.「Fever」 Bullet For My Valentine
 
  6.「Nightmare」 Avenged Sevenfold
 
  7.「Road Salt One」 Pain Of Salvation
 
  8.「One-Armed Bandit」 Jaga Jazzist
 
  9.「Jubilee」 Versailles
 
 10.「Danger Days : The True Lives Of The Fabulous Killjoys」 My Chemical Romance
 

 1枚目の「The Guessing Game」はバンド史上1、2を争う傑作である上、内容が完全にツボだったため選出しました。ビンテージ感覚ではなく、ブリティッシュ・ロックをここまでリアルに感じさせてくれるアルバムは他にないと思います。逆に言えば、それは彼らのドゥーム・メタルとしてのヘヴィネスを減退させてもいるのですが、それを意に介していないのは自信の表れなのでしょう。去年、本当によく聴いたアルバムです。
 
 
 2枚目は、今回初めて聴いたShiningの2作目です。タイトルからして惹かれるものはあったのですが、内容を聴いて驚きました。デジタルな感触の強いマス・メタルとでも言えばいいのか、ハードコア・テクノを聴いているような感覚に囚われるのですが、時折飛び出す鋭いサックスやデス声によって、そうではないことを思い知らされます。とても面白いサウンドなので、このアルバムもよく聴いていました。
 
 
 3枚目は、これも初見だったOrphaned Landです。これが4作目ということですが、もはやメロディック・デス・メタルと呼称するのが憚られる境地に到達していました。7分、8分台の大作を中心に、アルバム全体も長編に仕上がっていて、彼らの得意とする中近東メロディがどこからでも飛び出してきて、長さの割には飽きがこない点が優れていると思います。また、“The Path Part 2 ? The Pilgrimage Or To Shalem”や“The Warrior”で聴けるゆったりとしたギター・ソロも聴き所です。
 
 
 4枚目は、Dungenの新作。相変わらずスウェーデン語で歌っているようで、何を歌っているのかはわかりませんが、とても美しい内容です。3分台の短めの曲を中心に、前作から引き続いているレイド・バックしたサウンドが大きな特徴ですが、その表情が豊かなことも前作と同様です。かなり軽めな音なのですが、不思議とメタルに馴れきった耳にも刺激的でした。
 
 
 5枚目は、Bullet For My Valentineの3作目。プロデューサーを変えたことが功を奏したのか、前作の「速いLAメタル」という路線から随分骨太になった印象があります。中には“Bittersweet Memories”のように、これまで以上に80年代を感じさせる曲もありますが、そうした曲を素で演っていても少しもネガティヴに感じられない点が素晴らしいと思います。無論、前作では軽かったプロダクションも大幅に改善されています。
 
 
 6枚目は、通算5作目となるAvenged Sevenfoldです。購入した当初は、6曲目の“So Far Away”以降にバラード系の曲ばかりが続くことが嫌だったのですが、何度か聴いているうちに個々の曲の素晴らしさに気付き、この偏った構成が余り気にならなくなりました。特に8曲目の“Victim”以降は、重厚な楽曲群に圧倒されるだけでした。
 
 
 7枚目は、突如ビンテージ・ロックに変貌したPain Of Salvationの新作です。ただ、アルバムを聴いていけば音が変わっただけであり、基本的な方向性が変わっていないことはすぐにわかりました。特に3曲目の“Sisters”の徹底した暗さは、1st以来の彼らと何も変わりません。しかしそれにしても、随分思い切ったサウンドにしたなぁという感覚は拭えません。
 
 
 8枚目は、クラブ・ミュージック界隈では有名なJaga Jazzistの新作です。実は当初、彼らについては存在すら知りませんでした。渋谷のTOWER RECORDS店内でこのアルバムがかかり、その素晴らしい演奏に「一体どこのプログレだ!?」となってNow On Playを確認したところ、本作のジャケットが展示されていたというわけです。ただ、クラブ・ミュージックと紹介しましたとおり、本来はテクノっぽいサウンドが持ち味なようで、本作がたまたま人力テクノのようなサウンドになっていたため、私の耳にも留まっただけのようです。次作がどうなるのかはわかりませんが、このアルバムに関してはインパクト抜群でした。
 
 
 9枚目は、これがメジャー・デビュー1作目となるVersaillesです。メジャー・デビューが影響したのか、これまでの2枚のアルバムと比べると大人しく聞こえますが、その荘厳さや格調の高さは少しも揺らいでいません。その結実が“Ascendead Master”であるわけで、こうした曲が書ける内は何も心配する必要はないと思います。10分を超える“God Palace -Method of Inheritance-”のような曲も、新たな武器のひとつと言えるでしょう。
 
 
 10枚目は、My Chemical Romanceの新作ですが、まず断っておかなければならないのは、前作「The Black Parade」よりは確実に劣るアルバムだということです。あの作品は稀に見る傑作でしたから、当然といえば当然です。ただそういった傑作にたどり着かなくとも、曲がある程度揃えばいい内容のアルバムにはなるわけで、そんな彼らの底力が感じられた作品でした。
 
 
 そして例年通り、本当はベスト20にしたい位ピックアップしたいアルバムがあるのですが、このまま書き続けるとどんどん長くなってしまうため、タイトルとバンド名だけ記載しておきます。 
 
 
 ・「Mechanized」 Fear Factory
 ・「We Are The Void」 Dark Tranquillity
 ・「Strings To A Web」 Rage
 ・「スポーツ」 東京事変
 ・「Unarmed」 Helloween
 ・「Mutiny Within」 Mutiny Within
 ・「Divanity」 The Murder Of My Sweet
 ・「Wrath And Rapture」 Wrath And Rapture
 ・「Everything Remains (As It Never Was)」 Eluveitie
 ・「真実の石碑」 Dragon Guardian
 ・「Year Of The Black Rainbow」 Coheed & Cambria
 ・「Exhibit B: The Human Condition」 Exodus
 ・「Deep Exceed」 Aldious
 ・「Korn V: Remenber Who You Are」 Korn
 ・「A Star-Crossed Wasteland」 In This Moment
 ・「Black Masses」 Electric Wizard
 ・「Annihilator」 Annihilator
 ・「Midnight Circus」 Light Bringer
 ・「To Our Forefathers」 I Am Abomination
 ・「Doomsday King」 The Crown
 ・「An Introduction To Syd Barrett」 Syd Barrett
 ・「Spiral Shadow」 Kylesa
 ・「欠片」 NoGoD
 ・「Five Deadly Venoms」 Shaolin Death Squad
 ・「放課後ティータイム II」 放課後ティータイム
 ・「Someone Here Is Missing」 The Pineapple Thief
 ・「The Panic Broadcast」 Soilwork
 ・「Opus Eponymous」 Ghost
 ・「Darkly, Darkly, Venus Aversa」 Cradle Of Filth

 

 昨年を振り返ってみると、メロディック・デス・メタル勢の活躍が目立ちませんでした。ベスト10にあげた作品に比べると、何か欠ける部分があるように感じられ、どうも持ち上げる気になれませんでした。Dark Tranquillity、The Crown、Soilworkが該当しますが、彼らもベテランの領域に入るわけで、今後の方向性を模索する時期なのかもしれません。
 
  
 今年でいえば、既にChildren Of Bodomは新作をリリースし、Arch Enemy、Amorphis、In Flamesが今後のリリースを控えており、その内容やセールスには非常に興味深いものがあります。またそれ以外のジャンルでも、重鎮であるMorbid Angel、若手のTrivium、国内組のVersailles、NoGoD、Blood Stain Childの新作もとても楽しみです。


 なお、既に今年リリースされた中では、前述のChildren Of Bodom、Beady Eye、Protest The Hero、Between The Buried & Me、Foo Fighters、Blood Ceremonyの作品が印象に残っています。2011年は既に5ヶ月が経過していますが、まだまだ楽しめそうです。
 
 
 それでは今回は、これで失礼します。 




2011/2/13



追悼ゲイリー・ムーア&Cathedral解散するんじゃねぇバカヤロー





 先週は、メタル界において2つの悲しいニュースが報じられました。ゲイリー・ムーアの死去Cathedralの解散です。両方とも、この手の音楽を聴くようになった当初から聴いていたミュージシャンなので、ショックも大きかったです。


 ゲイリー・ムーアに関しては、私が聴き始めた頃は既にブルーズに傾倒していた時期だったので、悪い言い方をすると「過去の人」という認識をしていました。ただ、ジョン・サイクスが好きだった私には彼を無視することができず、遡って聴いているうちにいつしか「After The War」までのアルバムを全て揃えてしまいました。


 ハード・ロック期のアルバムを揃えてしまうほど、ムーアの何が好きだったのかといえば、彼の紡ぐフレーズの演歌っぷりです。決して演歌と同じものではないのですが、演歌と評したくなるようなクサい情感に溢れていました。


 しかしムーアは、そもそもルックスが良くなく、モジャモジャ頭でジャガイモのような顔の男がさらに顔中を皺くちゃにしながらレスポールを高速で掻き毟る様は、それだけを見てしまうと一体どこがいいのかわからない部分がありました。


 ただそれでも、前述した演歌のようなギターは私の耳を捉え続け、時折アルバムを引っ張り出して楽しんでいました。もうハード・ロックに戻ることはないとわかっていたつもりでしたが、いざ死んだという報道を目にしたときはショックでした。心の底では、いつか再びハード・ロックをやってくれることを期待していたのかもしれません。


 彼のアルバムでは、何といっても「Wild Frontier」が好きです。このアルバムは、主要な曲である“Over The Hill and Far Away”“Wild Frontier”がエクステンドされたバージョンを含めて収録されているという変則的な部分のあるアルバムでしたが、私はこのエクステンドされたバージョンの2曲が好きです。


 他の作品で印象的なものとしては、最初のソロ・アルバムである「Back On The Streets」Thin Lizzy時代の「Black Rose: A Rock Legend」です。他のアルバムももちろん好きですが、この3枚はとりわけよく聴いていたような気がします。また曲としては、先ほど上げた作品に収録されていないものの中では、“Spanish Guitar”、Thin Lizzyのアルバム「Night Life」に収録されている“Still in Love With You”をよく聴いていたのを思い出します。


 私は、既に過去の作品だけを楽しんでいましたので、誠に申し訳ないことながら、彼の死によって特に何が変わるというわけではありません。最近の作品を聴くこともないでしょう。ですが、彼の作品を楽しみ続けることもまた変わりません。私にとっての、何枚かのオール・タイム・ベストと呼びうる作品を作ってくれたことに感謝するだけです。お悔やみ申し上げます。そして、ありがとうございました。


 しかし、来年新作をリリースした後で解散することを発表したCathedralに関しては、冷静になれません。結成されて20年以上経つバンドですが、そんなことは理由になりません。報道されてからも一週間程経ちますが、怒りに似た感情を抑えることができません。


 それというのも、1990年デビューの彼らはゲイリー・ムーアとは異なり、1993年発表の2ndアルバム「The Ethereal Mirror」からリアルタイムで聴いてきたバンドだからなのです。Cathedralは、私のメタル人生の伴走者と言ってもいい存在だったのです。


 確かに4th「Supernatural Birth Machine」以降の作品は、それまでのアルバムに比べると劣っていたと思います。しかし、前作「The Garden of Unearthly Delights」からは復調が見えはじめ、昨年発表の最新作「The Guessing Game」では完全に復活しました。問答無用で2010年のベスト・アルバムです。


 最近流行ってきたビンテージ・ロックとこれまでやってきたドゥーム・メタルを、ブリティッシュ・ロックという枠組みで再構成したような素晴らしい内容で、彼らの懐の深さを思い知らされた傑作でした。ヴォーカルのリー・ドリアンが運営するレーベル・Rise Aboveから登場する若いバンド達と、完璧に同時代性を備えていることも証明していたと思います。


 そんな最高傑作をリリースしておきながら、何故今解散するのか。これを書いているまさに今、再び怒りが湧き上がってきました。怒りというと少し違うかもしれません。「何で今解散するのか?」という疑問に対する説明に納得できない悔しさとでも言えばいいのでしょうか、このことを考え出すと他に何も考えられなくなり、私の今月の売上も大変なことになる始末です。


 ドリアンからの公式のステイトメントでは、「終わる時期が来た」ということでしたが、到底納得できるものではありません。一応来年新作をリリースした後の解散とはなっていますが、それが救いだとは思えません。


 そもそも、バンド活動に疲れたのなら2、3年は間を空けて、それからまた活動を始めればいいはずです。キャリア的にも1年に1枚リリースする必要はありませんし、期間が開いた程度で解散にまで話を持っていかなくてもいいと思うのですが、残念ながらCathedralはそうしませんでした。


 ただ、ゲイリー・ムーアの場合と違ってメンバーが死んでしまうわけではないので、5年もしたらひょっこりCathedral名義の新作が出てくるかもしれません。どんな業界でもそうですが、何が起こるかわからないものなので、そうした淡い期待も捨てないでおこうと思います。


 差し当たりは、今のところCathedral最後と思われる4月の来日公演チケットを確保することから始めようと思います。それでは今回は、これで失礼します。




2010/9/26


 
普通の基準 
 
 
 

 
 先週の23日、陰陽座「続・生きることとみつけたり!!」の東京公演に行ってきました。会場はお馴染みのJCBホールで、私の感覚でも既に勝手知ったる部分がありました。


 しかし当日はあいにく雨で、それもかなり激しい雨でした。ですので、前回の公演の際のような東京ドームシティ全体を会場としたコスプレイベントの有無を確かめる余裕など無く、ひたすら雨が弱くなることを祈る外ありませんでした。


 今回もコバヤシ、シンタロウと私の3人で行ったのですが、待ち合わせの際には雨が酷い状態で、都営三田線水道橋駅の地上出口付近は冠水していました。我々は14:00にJR水道橋駅で合流したのですが、雨はさらに強くなり、仕方なくその場で待つ羽目になりました。


 この水道橋駅では、我々と同様に待ち合わせているファンが多く、中には自宅から陰陽座のコスプレをしてきたと思われる集団もおり、熱いファンには天候は関係無いのだということを思い知らされました。


 40分ほど経って雨が若干弱まったため、東京ドームシティ周辺にあるジョナサンに避難しました。元々、いつも陰陽座のライヴ後は終電まで時間が無く、ゆっくり話もできないということが続いていたため、せっかく会うのであればということで早く集まることにしていたのですが、緊急避難的な逃げ込み方になってしまいました。


 そこで、開場の17;00まで食事をしつつ時間を潰していたのですが、いざ外に出てみるとまだ雨は降り続いていました。ライヴの間に止んでくれることを祈りつつ会場に向かいましたが、会場入り口周辺は雨宿りをするファン達で混雑していました。


 今回のライヴでは、相変わらずコバヤシのファンクラブ特典で先行してチケットを確保していたのですが、今回は60番台後半という異様に早い順番でした。そのため、既に会場入口周辺を固めているファンの間を潜り抜けていけるかが不安だったのですが、我々が到着した時間ではまだ若干の余裕がありました。


 17:00を回ると、早速番号が読み上げられ、5人ずつが足早に会場内に入っていきました。いつもの600〜700番台だと、50人以上が一気に読み上げられるため、5人ずつというのは意外でした。


 会場入りした我々は、まるでコミケのように列を構成してフロアに向かいましたが、コミケほど列に統制が取れていなかったため、ガンガン追い抜かれていきました。まあ、通常のイベントではこんなもでしょう。ただそれでも、フロア内に入るまではまがりなりにも列は形成されたままで、最前列直前まで来たところで、スタッフの指示で解散となりました。


 我々が位置したのは前から3列目で、陰陽座の面々が必要以上にはっきり見える位置でした。加えて我々3人の周囲には女性が多く、無駄に図体のデカイ私とシンタロウは、かなり目立っていました。


 その後は開演まで待つだけだったのですが、会場内にはRainbow、Black Sabbath、Dioの曲がかかっていました。RainbowとBlack Sabbathは共にある特定の時期の曲だけがかかり、明らかにロニー・ジェイムズ・ディオを悼んでのことと思われましたが、これについては後に伏線がありました。


 Black Sabbathの“Die Young”が流れる中、時間は18:00を回りましたが、招鬼のエフェクト類にトラブルがあったようで、ギターテクが何人か出てきてしきりにチェックを行なっていました。それが終わってさらに数分後、ようやく陰陽座のライヴが始まりました。


 始まってみて驚いたのは、黒猫が小さくなっていた・・・というか痩せていたことです。髪型が変わっていたこともあったように思いますが、それにしても痩せていたと思います。今回のツアーで再び喉を壊していることが影響しているのかと不安になりましたが、4曲目辺りまで歌ったところで何も問題が無いことがわかり、胸を撫で下ろしました。


 またそうした様子がはっきりわかるのも、3列目という位置が影響していたかもしれません。我々の正面には瞬火がいたのですが、彼の演奏中の表情が百面相的に豊かなものだったことが今回初めてわかりました。


 なお今回のツアーは特に新作が出たわけでもなく、かといって「初期作品3枚からの曲だけでライヴやります!」というような企画ものでもないため、至って普通に進行していきました。久しぶりに演奏された曲もありましたが、それはどの公演でも数曲は織り込まれているため、そんなに意外なことではありませんでした。


 新旧の曲を織り交ぜながら“生きることとみつけたり”で公演は終わり、その後はアンコールとなりました。例によって4回も陰陽座は戻ってきたのですが、2回目のアンコールに落とし穴が待っていました。


 2回目のアンコールで、1曲目の“陰陽師”でエキサイトした観客が、続いて演奏された“亥の子唄”のために扇子を準備していたところ、途中から黒猫がいきなり英語で歌いだしたのです。そしてギター・コンビは開演前にかかっていたBlack Sabbathの“Heaven And Hell”のリフを弾きだしたのです。開演前の選曲は、ここに繋がっていました。


 演奏が続く中、黒猫によるロニー・ジェイムズ・ディオへの哀悼の意を表しての演奏であることの説明が終わると、コール・アンド・レスポンスの確認も終わり、“Heaven And Hell”が始まりました。ディオに対する哀悼に関しては私も全く同じ思いですが、これまで陰陽座のライヴでカヴァーを聴いたことが無かったので、驚きのほうが勝りました。


 見事な“Heaven And Hell”が終わると一旦陰陽座は引っ込みましたが、3度、4度と呼びかえされ、最後は“悪路王”で終わりました。


 振り返ってみると、“Heaven And Hell”が一番の見せ場だったように思えますが、決してそんなことはありませんでした。普通の進行と私は書きましたが、毎回のツアー時と変わらないレベルで演奏しているという意味での普通です。なので、全く飽きるという部分はありませんでした。


 無論新曲が聴けたり、何らかの企画を用意してくれるのはありがたいのですが、現時点のバンドが普通にツアーを組んで、普通に魅せてくれるライヴというのがあってもいいと思います。今回は、そうした普通のライヴが楽しめました。


 どうやら瞬火によると、10作目は時間をかけてじっくり作るということを前々から決めていたとのことだったので、次のツアーは大分先のことになると思われます。しばらくは、ツアーよりも新作のアルバムを楽しみにしておこうと思います。それでは今回は、これで失礼します。




2010/9/12


 
決別 
 
 
 

 
 9月9日、メタル界に衝撃が走りました。Dream Theaterからマイク・ポートノイが脱退したことが報じられたからです。


 これがいかに重大なことかは、既に様々な記事で報じられている通りです。結成時からのオリジナルメンバーであること、バンドの名付け親がポートノイの父親であること、最近のアルバムではギターのジョン・ペトルッチと共にプロデューサーも務めていたこと、バンド内ではスポークスマン的立場に立っていたこと・・・。通常、こんな重要なメンバーが脱退することは珍しく、逆にそうした騒動でバンドそのものが解散に至ってしまうことのほうが多いので、余計に話題性が上がってしまっているように思えます。


 ポートノイの公式なコメントによると、バンド外の自由な活動時間確保のためにDream Theaterの休養を提案したが受け入れられなかったため脱退したとのことでした。ただ、こうしたバンド外の課外活動はどのメンバーも行なっており、それを拡大させようとしたポートノイと他のメンバーとの間で話がまとまらなかったということなのでしょう。


 ただ他のメンバーとはいっても、ジェイムズ・ラブリエジョーダン・ルーデスがポートノイと対立するとは考え辛い点があります。彼ら二人はオリジナル・メンバーではなく、とてもバンド活動の主導権を持っているようには見えないからです。ラブリエは1992年「Images & Words」から、ルーデスは1999年「Metropolis Part.2 : Scenes From A Memory」から参加しているメンバーですが、インタビューの発言等からして、どう見ても主導権はオリジナル・メンバーにありました。


 残るオリジナル・メンバーはジョン・マイアングジョン・ペトルッチになるわけですが、マイアングはそれほど自己を主張するタイプには見えません。となると、残るペトルッチとの間で妥協が図られず脱退したということになるわけですが、ペトルッチとポートノイは前述のように最近のアルバムではプロデューサーも務めているため、コミュニケーションが取れていないということはないはずです。


 そうなると、今回の脱退劇はバンドを尊重しないポートノイの大人気ない行為・・・或いは強い欲求にあったということに落ち着きそうです。これまでも上手くやってきたバンド外の活動が脱退のきっかけとなったからには、やはり最近の課外活動であるAvenged Sevenfoldとの活動に注目するべきでしょう。


 昨年末、ドラムのザ・レヴを失ったAvenged Sevenfoldはポートノイにヘルプを依頼し、5作目の「Nightmare」を完成させましたが、思えばこれが、ポートノイにとって初めてのトップ・シーンにいる若いバンドとの課外活動だったように思います。これまでは、Liquid Tension ExperimentにせよTransatlanticにせよOSIにせよ、プログレ人脈における活動がメインで、決してメインストリームの活動ではありませんでした。


 しかし、Avenged Sevenfoldへのヘルプでの参加はそうではありませんでした。ビルボードチャートで1位を取れるバンドへの参加である上、ツアーにも同行するとあってはエキサイトしないはずがありません。チャンスがあれば生かしたいと考えるのも当たり前のことだったかもしれません。


 ただ、このままAvenged Sevenfoldに正式加入するとは考え辛いので、今後の活動は全く予想がつきません。継続して活動しているTransatlanticに本腰を入れるのか、脱退の理由として挙げていたように様々なバンド/プロジェクトに間を空けずに参加していくのかはわかりませんが、私としてはポートノイのリーダー・バンドを組んで欲しいと思っています。まあそれによって、近年のDream Theaterの方向性にどれだけ影響力を持っていたのかを測りたいという邪な考えもあるのですが。


 また、OSIとして一緒に活動しているケヴィン・ムーアと組んでみても面白いかもしれません。2人ともDream Theaterのオリジナル・メンバーだったわけですから、この脱退した2人が考えるDream Theaterというのも聴いてみたいと思います。


 当然ながら、同じ2人のオリジナル・メンバーが残ったDream Theaterにも興味が尽きません。2011年1月からレコーディングに入るということでしたから、恐らく来年中にはリリースされると思われる新作が、ペトルッチ主導の元でどれほどの作品となるのかが楽しみです。この辺りは、後任のドラムを入れるのか、それともサポート参加に留まるのかといった点や、そもそも誰が叩くのかといった部分にも左右されるので、正式な発表を待ちたいと思います。


 今のところ、マイク・ポートノイの脱退は残念な出来事でしかありませんが、それぞれの新作が出揃ったとき、ポジティヴな感覚を抱ければいいと思います。それでは今回は、これで失礼します。 




 

2010/3/28



 
2009年アルバムベスト10 
 
 
 
 
 
  今月発売の『BURRN!』で、毎年恒例の読者人気投票結果(Readers' Pop Poll 2009)が発表されていましたので、それに倣って私も2009年度のメタル生活を振り返り、アルバムベスト10を挙げてみたいと思います。 
 
 
  1.「The Great Misdirect」 Between The Buried And Me 
 
  2.「The Resistance」 Muse 
 
  3.「Crack The Skye」 Mastodon 
 
  4.「骨董店 『Mystique』」 六弦アリス 
 
  5.「Profugus Mortis」 Blackguard 
 
  6.「Dragonvarius」 Dragon Guardian 
 
  7.「Battle Sluts」 Destroy Destroy Destroy 
 
  8.「金剛九尾」 陰陽座 
 
  9.「Endgame」 Megadeth 
 
   10.「Chutzpah」 The Wildhearts 

 
 
 1枚目の「The Great Misdirect」ですが、正直なところ衝撃度では前作「Colors」には劣るものの、内容は同じレベルの作品となっていました。未だにカオティック・コアの範疇で語られることの多いバンドですが、私の耳には完全にプログレに聞こえます。また、 Iwrestledabearonceによって変態系メタル・コアが注目され、その仲間にされていることもありますが、そろそろもう少し広いフィールドで取り扱われてもいいバンドだと思います。
 
 
 2枚目は、今年1月の武道館公演のチケットを取れなくて涙したMuseの新作です。メタル耳にも非常に親しみの持てるドラマティックさが、さらに拡大している印象があります。典型的なメタルの手法を用いることなく、メタルが得意とするところの過剰なクライマックスを演出してみせる手腕は、プログレファンだけでなくメタルファンにもアピールできる点だと思います。
 
 
 3枚目は、発売前からメタルゴッド・伊藤政則さんが滅茶苦茶プッシュしていたMastodonの新作です。私もそれに乗せられて購入した口ですが、聴く前のイメージとは全然違う作品でした。伊藤さんの熱い語り口から、もっとメタルに近付いた路線を想像していたのですが、私の耳には「ラウドになったハード・ロック」のようなものに聞こえたのです。70年代のハード・ロックを、安易にメタル化せずにラウドかつモダンに仕上げたサウンドが印象的でした。
 
 
 4枚目は、ゴスとメタルとプログレの間を彷徨う六弦アリスの新作です。同じ2009年には「新興宗教 万華教」、「Omen Of Seven」というアルバムも発表されていますが、総合的な内容でこのアルバムを選びました。かなりコンセプチュアルな作品なので、聴き手を選ぶ面もありますが、前作「新興宗教 万華教」よりも聴き易くなったサウンドやフックのあるメロディによって、飽きることは無い作品です。
 
 
 5枚目のアルバムは、やや複雑な経緯を持つ作品です。元々彼らはProfugus Mortisというバンド名だったのですが、この名称が移民差別感情を刺激するとのことで変名を余儀なくされ、変名前にリリースしていた2ndアルバム「Another Round」に曲を追加して再編集・リミックスを加え、バンド名をBlackguardと改めた後に再リリースされたアルバムがこの「Profugus Mortis」(アルバムタイトルはこのままでいいんですかね?)というわけです。消えてしまった再編集前の爆発的なキーボードアレンジを惜しむ声もありますが、典型的なメロデス路線を貫いてくれるだけで私は満足しています。
 
 
 6枚目は、Dragon Guardianの3作目「Dragonvarius」ですが、メロディック・スピード・メタルの傑作です。この手の音ではDragonforceが基本のバンドと考えられがちですが、ややスピードに重きを置き過ぎて、曲に面白みが欠けているのが不満でした。それを解消してくれたのがこの作品です。バランス感覚に優れていて、スピーディーな曲でもクサい歌メロに配慮を忘れないスタイルは、アルバム全体に感じられました。課題は、インストパートの強化と思われます。
 
 
 7枚目は、デビュー作がノーチェックだったDestroy Destroy Destroyの2作目。方々で話題になった際は、Children of Bodomスタイルと言われていましたが、残念ながら彼らほどは上手くないと思います。とはいえ、古き良き時代のメロディック・デス・メタルであることには変わりが無く、これにペイガン・メタル風の勇壮さを加えているのが大きな特徴です。前述のBlackguardといい彼らといい、私の大好きなイエテボリ・スタイルに近いメロディック・デス・メタルを演奏してくれるのは嬉しい限りです。
 
 
 8枚目は、前作「魑魅魍魎」で復活の兆しを見せた陰陽座の新作。もう完全復活したと言っていいでしょう。前々作「魔王戴天」が出たときは、ピックアップできる曲の余りの少なさに倒れそうになりましたが、今やそれは昔の話です。これまでに無かったタイプのオープニング曲”貘”や組曲”九尾”等、新旧の要素が上手く生きた素晴らしいアルバムです。不満点は、黒猫の歌うパートが少ない点です。
 
 
 9枚目は、冗談のような復活を遂げたMegadeth「Endgame」です。前作「United Abominations」が好評価されていた際、「え?こんなもんでいいの?もうMegadethは適当にらしいアルバムを出して、ライヴで懐メロに徹してくれればいいってバンドになったってことなのか…。」と、彼らに関しては諦めてしまっていたのですが、一体どうしたというのでしょう。どこまでもギター、ギター、ギターなアルバムで、余りにもギター中心になり過ぎたせいか、アルバム全体の完成度は悪いのですが、この勢いは貴重です。
 
 
 10枚目は、久々に歌えるメロディを復活させてくれたThe Wildheartsです。正直なところ、彼らに関しては「Endless,Nameless」までを聴いていればいいか、という心境になりつつあったのですが、素晴らしいアルバムを作ってくれました。傑作1stには及ばないものの、かなりの所まで戻ってきています。メンバーも固定され、ジンジャーのソロ活動も落ち着いてきた今、ようやく今後に期待できる環境が整ったのかもしれません。まあジンジャーのことですから、何をしでかすかはわかりませんが、できればそれがThe Wildheartsとしての活動であって欲しいところです。 
 
 
 実は、本当はベスト20にしたい位ピックアップしたいアルバムがあるのですが、このまま書き続けるとどんどん長くなってしまうため、タイトルとバンド名だけ記載しておきます。 
 
 
 ・「Octahedron」 The Mars Volta
 ・「Time Waits For No Slave」 Napalm Death
 ・「Skyforger」 Amorphis
 ・「タケミカヅチ」 MiddleIsland
 ・「FrizzellWeisen」 MiddleIsland
 ・「The Onslaught」 Lazarus A.D
 ・「Black Clouds And Silver Linings」 Dream Theater
 ・「Lullabies For The Dormant Mind」 The Agonist
 ・「The Incident」 Porcupine Tree
 ・「World Painted Blood」 Slayer
 ・「The Weirding」 Astra
 ・「Shin-ken」 Persefone
 ・「Marching Monster」 新谷良子
 ・「新興宗教 万華教」 六弦アリス
 ・「Omen Of Seven」 六弦アリス
 ・「rabbit 〜冥王に仕えし繋因の花嫁〜」 Alieson
 ・「Tales of Almanac」 Light Bringer
 ・「絶望歌謡大全集2」 V.A.
 ・「名も無き君へ、花、散り掛かる」 世の漆黒
 ・「東京タワー水没地↓30m」 世の漆黒
 ・「Insurgentes」 Steven Wilson
 ・「Allegoria」 植木屋
 ・「Polaris」 Stratovarius
 ・「animals as leaders」 animals as leaders
 ・「Farm」 Dinosaur Jr.
 ・「You Can't Hurt Steel」 The Morning After
 ・「Faith Divides Us - Death Unites Us」 Paradise Lost
 ・「Congregation of the Damned」 Atreyu

 

 昨年を振り返ってみると、例年に比べて聴いた枚数が多い年でした。それは、同人音楽と出会ったことが要因ではあるのですが、それを差し引いても多かった感覚があります。現に、私の部屋はCDで底が抜けそうになっており、これは2009年に大量にCDを購入したことの証左と言えるでしょう。そしてそれは、アオキ家の経済に大きな痛手も与えたのですが…。
 
  
 2010年も始まって3ヶ月が経とうとしていますが、今年もいいアルバムが続々と登場しています。Versailles、Dark Tranquillity、Rage、Helloweenのアルバムが、早くもベスト10.候補です。また来月には、Cathedralの5年振りの新作が予定されており、非常に楽しみです。
 
 
 それでは今回は、これで失礼します。 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 

2009/11/15 

 
 
 
10周年の陰陽座 
  
 
 
 
    
  先週の日曜、11月8日に、陰陽座のツアー「三国伝来玉面金剛九尾の狐」の東京公演に行ってきました。会場は、昨年11月の東京公演と同じJCBホールでした。この日は同じ敷地内のプリズムホールでコスプレイベント 、レイヤーズパラダイスが行われていて、日本シリーズが終わってシーズンオフに入った東京ドームシティを、豪快かつ珍妙な極彩色に彩っていました。またレイヤーさん達の数が多く、先に待っているはずのシンタロウと待ち合わせるまでに、相当数の撮影中のレイヤー さん達の間をくぐり抜けていかなければなりませんでした。 
 
 
 例によって、コバヤシファンクラブ会員特典で優先購入したチケットの番号は800番代で、意外にも遅い番号でした。9月に発売された最新作「金剛九尾」の上り調子の出来の良さに、 ツアーファイナルである東京公演ということもあって、観客が集中したのかもしれません。 
 
 
 私としては、昨年11月の東京公演は過去最高のものだったと思っているので、その再現を期待していました。また昨年の公演は、まずまずの出来だったアルバムの曲が中心だったのにメチャクチャ面白かったという変わったライヴだったので、今回もそうしたサプライズ的な部分を期待している部分もありました。 
 
 
 絶賛撮影中のレイヤーさん達に囲まれながら、バンドTシャツ、ゴス、和服、というある意味同じコスプレである我々陰陽座ファン達は、17:00の開場を待ちました。コミックマーケットに比べたら何でもない待ち時間で入場した我々は、意外にステージに近い位置でした。 
 
 
 今回我々は、3人でなるべく近い位置にいることにしました。いつもは場内が暗転すると、周囲に押されるままバラバラになっていた我々でしたが、そうなると無駄に図体のデカい我々は周囲に気を配りながら盛り上がらねばならないため、いまいち乗り切れない場合がありました。それを避けるため、肘や拳が当たっても気にする必要のない相手と一緒にいることにしたのです。 
 
 
 今回は、ドラムの斗羅が脱退してサポートという扱いになって初めてのツアーなので、一体彼がどういう扱いになるのかといった点も気になる点のひとつでしたが、特に大きな変更点はありませんでした。メンバー紹介が無く、ハゲネタ…いえデコネタを交えたコメントが無かったことが寂しくはありましたが、これまでと変わらないスタイルで演奏してくれていたのはありがたかったです。 
 
 
 ライヴは新作の1曲目”獏”からスタートし、期待通り新作中心に展開していきました。”麒麟”等、時折珍しい曲を挟みながらではありましたが、大筋は新作通りでした。私としては、”十六夜の雨”、”相剋”、”慟哭”、組曲”九尾”が全て聴けたので、大いに満足でした。 
 
 
 昨年の公演には、黒猫の神懸り的な歌が今にも心に残る”鎮魂の歌”がありましたが、今回のライブにはそうしたハイライトは在りませんでした。ただそうであったからといって 、決してつまらない内容だったわけではありません。ああした絶唱が拝めるのはそうそうあるわけではありませんので、、むしろアルバムを完全に再現できていることに賞賛を贈るべきでしょう。まあ毎回再現できているだけに 、こちらの要求するレベルが高くなってしまっているのでしょう。 
 
 
 組曲”九尾”の後は”黒衣の天女”、”靂”とまたも意外な2曲が続き、本編ラストは”Cry Out”…いえ”喰らいあう”。開演前に3人で「絶対に”喰らいあう”では『Cry Out!』と叫ぼう」と言っていたのですが、無事実行することができました。 
 
 
 その後は、物足りなかったので当然アンコールを要求しました。瞬火の曲より長い長話はいつも通りでしたが、久しぶりの”夢幻”〜”邪魅の抱擁”は新鮮でした。昨年のように6回もアンコールを演りはしませんでしたが、曲数は去年と同じ11曲演奏してくれたので、結果的には同じだったと言えるでしょう。 
 
 
 途中にも書きましたが、昨年のようなスペシャルなことは無かったものの、十分以上に楽しめたライヴでした。初めて行った陰陽座のライヴが2003年「然ればこそ覚醒ん」ツアーだったので、既に6年間観続けていることになるわけですが、今の自分にはなかなかそうしたバンドがいません。 
 
 
 それは海外のバンドだったり、余りライヴ活動をしないバンドだったりするせいもあるのですが、最大の原因は趣味が合って一緒にライヴに行ける友人・知人がいないということです。国内のバンドに限っても、Blood Stain Child、Dragon Guardian、マキシマム・ザ・ホルモン、Youthquake、Serpent、United、Pochakaite Malko、Church Of Misery、六弦アリス、My material season等、ライヴに行きたいバンドは結構あるんですが…。 
 
 
 それでは今回は、これで失礼します。
 
 
 

2009/11/8 

 
 
 
なぜスラッシュ・メタルは嫌われるのか? 
  
 
 
 
   
 先月のことですが、ここで『BURRN!』の表紙に関して「何で新作が良かったMegadethが表紙じゃないんだ!来月号こそ同じく新作のリリースされるSlayerを表紙に!」みたいなことを書きました。しかし、12月号の表紙・巻頭特集はスラッシュでした。 
 
 
 何でスラッシュが表紙なのかというと、来年2月にリリース予定のソロアルバムからの先行シングルが11月11日に発売されるそうで、そのプロモーションのためだそうです。そのソロアルバムは、スラッシュが選んだ様々なヴォーカリストと競演するバラエティに富んだ内容になるそうです。 
 
 
 しかしちょっと待ってください。そんなアルバムだけで終わること間違い無しの発売日すら決まっていないスラッシュのソロアルバムより、スラッシュ・メタル、いやメタル界の重鎮たるSlayerが3年振りにようやくリリースした新作のほうが全然重要なのではないでしょうか。 
 
 
 まして、10月の「LOUD PARK 09」にヘッドライナーとして来日しており、話題には事欠かなかったと思うのですが、誌面でSlayerが取り上げられたのは先月号のトム・アラヤのインタビューのみでした。確かに10月発売の「METALLION」にもSlayerの記事は掲載されていましたが、最も大きい扱いはJudas Priestで、表紙も彼らでした。 
 
 
 ここまで表紙から外されると、「なぜスラッシュ・メタルは嫌われるのか?」と思わずにいられません。今年に限っても、Arch EnemyChildren Of Bodomのメロデス勢は表紙になっており(2月号と9月号)、メロディック・デス・メタルがジャンルとして避けられているような印象はありません。その他は、Guns n'Roses、Mr.Big、Kiss、Hanoi Rocks、Iron Maiden、Dream Theater、Bon Joviで、この中で新作に絡んでの抜擢はGuns n' Roses、Dream Theater、Bon Joviだけでした。 
 
 
 上記のバンド群から、新作をリリースしたMegadethとSlayerが外されているのをみると、メロディック・デス・メタルに比べれば聴き易いにもかかわらず、スラッシュ・メタルが倦厭されているように感じます。今年も無事開催された「Thrash Domination 09」も、行った人のブログを見る限り相当盛り上がったようですし、WarbringerLazarus A.D.等、新世代の若いスラッシュ・メタル・バンドも次々と登場してきているので、若いファン層に対する重大な機会損失を見過ごしているようにも感じられます。 
 
 
 まあ、単純にタイミングが悪くMegadethとSlayerに取材ができなかっただけかもしれないのですが、何ともやり切れない思いがいっぱいです。そんなわけで、今回の音楽日誌は新時代スラッシュ・メタル・バンドのEvileから。 
  
 
  
 ●「Infected Nations」 Evile 
 
 新時代スラッシュ・メタル・バンドとして色々なところで名前を目にしたため購入。確かに言われているだけのことはありました。疾走パートでのリフの刻みなどは、「これは!」と目を醒まされるように強烈な圧力がありました。 
 
 ただ、疾走パートにインパクトはあったものの、リフそのものは弱かったと思います。スピードでは完全に上をいっているものの、WarbringerやBonded By Blood、Lazarus A.D.と比べると、リフというかギターのフレーズにキャッチーさが足りない印象です。あと、疾走時の歌の節回しがBullet For My Valentineに似ているのが面白かったです。UK出身という共通点からでしょうか。 
 
 
 
 ●「Seediq Bale」 Chthonic 
 
 近々に新作がリリースされるということで、聴いてみた旧譜。確かに台湾出身というような雰囲気は強くありました。歌詞に、漢詩らしきものが差し挟まれていたりもしました。ただ、それらが強烈な武器になっていたかといえば、否と言わざるを得ません。例えば、日本のバンドの得意技としてきた所謂アニソン的な曲運びやメロディーのようなものがありません。 
 
 無論、このアルバムを下回るものはいくらでもありますが、いまひとつ個性が感じられないのが弱い点です。音作り等は結構好きなので、私の感性が鈍感なだけなのかもしれませんが…。 
 
 
  
 
 
 

2009/11/1 

 
 
 
音楽日記 
  
 
 
 
     
 ●「Bringer Of Plagues」 Divine-Heresy 
 
 元なのか現なのかいまいちはっきりしないFear Factoryのギタリスト、ディーノ・カザレスによるバンドの2作目。1作目は聴いていませんが、バスドラとシンクロするリズム・ギターの心地良さに惹かれて購入しました。近年のFear FactoryよりもFear Factoryらしく聴こえるのは、当然といえば当然でしょう。アルバム「Demanufacture」、「Obsolete」期のFear Factoryから、デジタル臭と”Resurrection”のようなオーガニックな曲を外し、ハードな面を強調したような感触です。 
 
 スピード感もかなりあるので、メタルコアに飽きた耳には新鮮に聞こえると思います。突撃するバスドラとリズム・ギターの勢いは、メタルコア勢に無いものです。 
 
 
 
 ●「Black Bonzo」 Black Bonzo 
 
 最近定着したヴィンテージ・ロックですが、今から5年前にもこんなバンドがデビューしていたとは知りませんでした。最新作が9月にリリースとなったバンドですが、ついデビュー作から聴いてしまいました。ただ正直不安がありました。最近のヴィンテージ・ロック・バンドの多くは、音は確かに古いものの、曲やインスト・パートにインパクトが薄かったからです。 
 
 しかしこのバンドは違いました。曲には、プログレにしては十分なキャッチーさがあり、その辺りが極めて70年代的でした。言うなれば、Deep Purpleのマイナーな曲の雰囲気とでも言えばいいのでしょうか。例えば、”Lay Down、Stay Down”や、”Smooth Dancer”といった曲です。 
 
 
 
 ●「Masterful Mystery Tour」 Beatallica 
 
 The BeatlesMetallicaの曲と歌詞を融合させるカバー・バンドの2作目。カバーと言ってしまっていいのか迷うほどですが、まあどの曲とどの曲を合体させているのかがわかり易いので、ダブルパロディといったところでしょうか。 
 
 アルバムとしては、前半の面白さが後半まで持続しない点が残念でした。前半はThe BeatlesとMetallicaの曲が融合していたのですが、後半の曲になると歌詞が違う曲に載っているというだけのレベルに落ち着いてしまっている曲ばかりでした。 
 
 基本的にヴォーカルがジェイムズ・ヘットフィールド声なので、「The Beatlesの曲をMetallica風にアレンジ」という方向性を追加してみてもいいと思います。 
 
  

 ●「First You Live」 Dusty Rhodes And The River Band 
 
 どう形容していいかわからないバンドの1作目。とりあえずクレジットに載っている楽器やゲストミュージシャンは多いです。6人組でヴァイオリンがいます。一瞬プログレかとも思いましたが、その対極にあるバンドでした。古いアメリカン・ロックのフォーマットに、可能な限りの楽器を詰め込んだ雑食の音が新鮮でした。バンドの佇まいやインナーを見ても、創造しがたい音でした。 
 
 雑誌を見ても、今のアメリカのインディー・バンドとは毛色が違うようですし、ジャンル区分やカテゴライズが難しい…というか不要な感じがします。ただ、アルバム全体を通してポップなので、聴き辛いということは絶対に無いアルバムです。 
 
 
  
 
 

2009/10/25 

 
 
 
新作はともかく、映画はよかったです。 
  
 
 
 
    
 昨日のことですが、映画「アンヴィル!夢を諦めきれない男たち」を観てきました。六本木TOHOシネマズ六本木ヒルズが会場だったのですが、雨だったせいか、日比谷線六本木駅からの道のりが摩天楼を登るがごときものに思えてくるほど、かなり行き辛い場所にありました。六本木ヒルズに行くのが初めてだったせいもありますが、驚かされることばかりでした。 
 
 
 六本木という土地柄のせいか外国人が多いのは予想していましたが、意外だったのはセレブな雰囲気が抑え目だったことです。私はシャツにカーゴパンツ、一緒に行ったシンタロウはジーンズとラフなジャケットという格好だったのですが、あまり下流階級振りが目立つようなことはありませんでした。まあ、観ようとしている映画が汗臭いメタル映画とあっては、客層が普段と異なるのも当たり前なのかもしれません。  
 
 
 席はD列7、8という、前に座席ではなく通路があるとても観易い位置でした。我々はだらしなく足を伸ばしながら待っていたのですが、その傍らを、ジーンズに皮ジャン、インナーはKreatorのTシャツという格好の女性が歩いて行ったりもしたので、客層が普段と異なっていたのは間違い無いようでした。 
 
 
 さてその「アンヴィル!夢を諦めきれない男たち」ですが、オープニングから痛い映像が続きました。1984年の「SUPER ROCK’84 IN JAPAN」でのライヴ映像はまだいいとしても、バイブでギターを掻き鳴らしたり全裸で登場するリップス(オリジナルメンバー。ギター/ヴォーカル)に対しては、場内から失笑が漏れていました。 
 
 
 まずこの「SUPER ROCK’84 IN JAPAN」のラインナップの中で、唯一売れなかったバンドとしてAnvilは紹介されます。他のラインナップはScorpions、Bon Jovi、MSG、Whitesnakeであり、確かにAnvliとは比較にならない程人気の出たバンド達でした。 
 
 
 その後、Anvilのリップス、ロブ・ライナー(オリジナルメンバー。ドラム)の平日の仕事振りと週末の地元でのライヴが紹介されますが、地元だけに現実に20年来のファンという方々も登場しました。これがまた痛い方々で…バンドメンバーよりも高齢な上にみすぼらしく、これが海外のメタル・ファンなのかと思うと、まるで20年後の自分を見せられているようでいたたまれない気分になりました。 
 
 
 次いでヨーロッパ・ツアーにAnvilは出発しますが、行く先々で客入りは悪く、5週間で収入は無しという結果に終わってしまいます。サイドギタリストのパートナーらしいマネージャーの仕切りが悪いせいか、電車に乗り遅れる、大量のファンが乗ってしまったため電車の席が取れない、ライヴ会場に遅刻した挙句ギャラ未払い、1,000人のキャパシティで集客は100人足らず、10,000人のキャパシティで開催されるフェスティバルで集客が200人未満という悲しい出来事ばかりが起きてしまい、観ているこちらも笑っていいのか判断がつかないほどでした。 
 
 
 ヨーロッパから戻ったAnvilは13枚目の新作「This Is Thirteen」のレコーディングに入りますが、デモからレコーディングに入る段階で予算不足という現実に直面します。リップスはこの局面を打開するため、男性向け高級アクセサリーの売り込みの仕事も始めますが、「自分が実直な人間だった」ことに気付かされるだけに終わりました。このレコーディング費用は、結局姉から提供されることになるのですが、マイナー・バンドの活動実態を見せ付けられるようで、私はしんみりしてしまいました。 
 
 
 さらにこのレコーディングでは、リップスとロブが大喧嘩の挙句ロブがクビを宣告されるなど、進行が行き詰まってしまいます。原因はくだらない口論なのですが、この喧嘩をプロデューサーのクリス・タンガリーディスが収める過程で、リップスは泣きながら「ロック・スターになるんだ!」と言い切るのですが、周囲の笑い声とは反対に、50歳を超えても夢を追い続けるその醜い姿に「夢を追いながら醜くなるのと、何もせずに醜くなるのはどちらが価値のあることなのか」と考え込んでしまいました。 
 
 
 上記のような紆余曲折を経て完成した新作は、残念ながらどこのレコード会社からも相手にされずに終わりました。しかし彼らは諦めず、自主制作で販売を開始します。その後は、彼らの新作を耳に留めた日本のプロモーターにより、「Loud Park 2006」に招聘されます。11:35からの出演でしたが、10,000人以上の観衆を前に演奏する中で映画は終わります。そして「SUPER ROCK’84 IN JAPAN」に始まり「Loud Park 2006」で終わるという、日本人の自尊心を大いに満たすエンディングを迎えました。 
 
 
 全体としては、短さを感じるものの、とてもいい映画だったと思います。DVDも買うと思います。ただ、事前に聞かされていたイメージとは随分違う印象がありました。公式サイトに寄せられていた有名人からのコメントからは、感動もあるが笑いのほうが比重が大きかったように感じていました(作文並みのコメントを寄せているTOKIOの長瀬智也 さんのような人もいましたが)。 
 
 
 しかし、私は笑うよりも考え込んでしまうことのほうが多く、周囲の笑い声に付いていけない部分もありました。私自身はミュージシャンではありませんが、自分に関わる問題を映像化されているように感じていました。恐らく、私が聴いているバンドの大半がマイナーなバンドであり、その裏側にはAnvilが今も続けているような努力があることを察してしまったからだと思います。 
 
 
 実はこの映画を観る前に、Anvilの最新作「This Is Thirteen」を聴いていたのですが、映画を観た後に再度聴いてみても、あまり面白く思えなかったことは内緒です。それでは今回は、これで失礼します。 
 
 
     
 
 
 

2009/10/18 

 
 
 
表紙とか巻頭特集とかって大事じゃないんですか…? 
 
 
 
 
    
 何度も書いていますが、またしても『BURRN!』の表紙がおかしなことになっています。先月発売の10月号がMr.Big、今月発売の11月号がBon Joviで、何がおかしいのかと言えば、先月あれだけの新作を発表したMegadethが無視されているのです。ひょっとして『METALLION』の表紙になっているのか思いきや、そちらはJUDAS PRIESTでした。 
 
 
 先月発売のMegadethも新作「Endgame」は、1997年の傑作「Cryptic Writings」以来の新たな傑作と言ってもいい出来で、ここのところこればかり聴いているのですが、そもそも『BURRN!』でもクロスレビューの筆頭に挙げられていて、今年一番と言ってもいい評価を受けていました。 
 
 
 ところが、Megadethは表紙になるどころか6ページのインタビューが誌面の中ほどに挟まれているだけで、そのインタビューもデイヴ・ムステインただ一人のみ…という悲しい扱いでした。レビューやインタビューの載った10月号は創刊25周年記念号で、様々な企画が巻頭特集として重要だったのはわかります(実際それらは非常に面白かったですし)。 
 
 
 ただ、再結成ツアーのDVDしか発売できないMr.Bigが、傑作をリリースしたMegadethを差し置いて表紙というのは、どうしても納得がいきません。まして、この10月17日・18日に開催されるLOUD PARK 09にも参加し、ヘッドライナーではないもののひとつのステージのトリを飾るバンドだというのに…。 
 
 
 重ねて言うなら、10月号の巻頭特集には「スラッシュ・メタルの25年」というMegadethにもろに絡む記事もあったのです。これほどタイミングの合ったバンドはいないと思うのですが、なぜMr.Bigが表紙・巻頭特集(Megadethのインタビューと同じたったの6ページ 。だったら差し替えて欲しかったです)だったのでしょうか…。 
 
 
 しかし、10月号掲載のインタビューがムステイン一人のものだったので、「ひょっとしたら11月号の表紙はMegadethなのではないか?メンバー全員でなくとも、新加入のギタリスト、クリス・ブロデリックのインタビューも追加した巻頭特集っていうのは1ヶ月遅れでもアリだろう…。LOUD PARK 09は今月なんだし…。」と期待していたのですが、結果はBon Joviでした。年内に新作が出ることはきまったものの、ジャケットの写真もわからない、発売日も決まっていない、Bon Joviでした。 
 
 
 これで、12月号の表紙がSlayer(11月新作リリース予定)じゃなかったらと思うととてもやり切れませんので、今回の音楽日記はそのMegadethから。  
 
 
 ●「Endgame」 Megadeth 
 
 正直なところ、ほとんど期待していませんでした。というのも、再始動後の2作が「やっぱり黄金期が終わったバンドってこうなのかな…」という諦めを感じざるを得ない、いまひとつ乗っていけない内容だったため、「とりあえず新作出たから買っとくか」程度に気持ちで購入しました。 
 
 そんな気分を吹き飛ばしたのは、時代遅れともとれるギター・バトル風のイントロでした。一瞬不安になりましたが、新加入のクリス・ブロデリックによるギターが凄まじく、それに呼応したデイヴ・ムステインのギターも過去最高に弾きまくっていました。彼らのギターはこのアルバムの核になっていて、サビに面白みが無い曲でもギターで強引に引っ張ってしまう強さがありました。 
 
 総じて、ギター、ギター、ギターなアルバムで、曲としてはつまらないものもがあるにせよ、それをネガティヴに感じさせない素晴らしいアルバムでした。また曲が多過ぎず、かつコンパクトにまとまっているせいで、アルバムが全体的に短めな点も良かったと思います。あとは、ムステインがやる気を継続してくれることを祈るばかりです。 
 
 
 
 ●「金剛九尾」 陰陽座 
 
 2作前の「魔王戴天」で落ちるところまで落ち、前作でやや戻ってきた彼らの新作ですが、いきなりいつものレベルに復帰してきました。まず、これまでに無い曲調のオープニングにも驚かされました。 中盤の曲も、ここ数作のような次元の低いものではなく、以前のレベルに戻っていました。 
 
 終盤の組曲”九尾”に関しては、所謂「九尾の狐」に関する知識が乏しかったために、正直なところ組曲「義経」のように引き込まれることは無かったのですが、それでも曲としての素晴らしさは伝わりました。特に”照魔鏡”は、前作の”道成寺蛇の獄”のようにそれ単体でも固有結界を展開できそうな程ドラマティックでした。 
 
 それにしても、前作「魑魅魍魎」では蛇、今回は九尾の狐と、ジャケットに使われる黒猫さんも大変ですなぁ…。 
 
 
 
 ●「The Resistance」 Muse 
 
 随分ギターオリエンティッドになった印象があります。それに、さらにドラマティックかつシアトリカルになった感があります。これは、既にメタルと同レベルに達しているといってもいいでしょう。 
 
 それも、完全にメタルの手法を用いずに達しているため、新鮮な感覚があります。そういうわけなので、そろそろメタル方面からもバンド名を聞くことがあってもいいと思います。ヘヴィ・メタルのシンフォニックな部分やシアトリカルな部分を愛好するファンであれば、絶対に気に入る音だと思います。 
 
 シンフォニックという意味でいえば、シンフォニック系のプログレファンからも注目される存在になると思われます。 
 
 
 
 ●「Shin-Ken」 Persefone 
 
 アルバム全編に勘違いした日本フレーヴァーが満ち溢れていますが、それを笑い飛ばせるだけのいい内容に仕上がっています。ネオクラシカル系のギター中心による、プログレッシヴ・デス・メタルが展開されています。これが3作目ですが、最高傑作といっていいでしょう。 
 
 所々に差し込まれる三味線はかなりいい味を出していたので、もっと入れてしまってもよかったと思います。欠点があるとすれば、こういった導入が中途半端になっていることでしょう。ジャケットが水墨画だったり、曲の終わりに短歌が読まれていたり(読み手の方は日本人なのに読み方を間違えている)、色々頑張っているので評価したいのですが、日本人としては笑ってしまうところもあります。 
 
 
 
 ●「絶望歌謡大全集2」 懺・さよなら絶望先生キャラクターソングアルバム 
 
 TVアニメ1期放映時にも発売されたキャラソンアルバムの2枚目ですが、非常にいい内容でした。前作と同様のキャラクターの個性に合わせた曲と、今回新登場或いはソロで歌うことになったキャラクターの曲が半々といった割合でしたが、いずれも前作より丁寧に作られている印象があります。 
 
 正直なところ、前作の音はかなりペラペラで、実際にアニメで使われた曲だけがそれなりの音になっていたのですが、今回はそうではありませんでした。一番安直に作った感が伺えたのは”絶望レストラン(極悪ノ華達)”でしたが、この曲さえも、単にメタルバージョンしただけに留まらないアレンジが施されていました。 
 
 
 
 ●「Let's!フレッシュプリキュア!〜Hybrid ver.〜/Happy Together!!!」 フレッシュプリキュア! 
 
 かなり恥ずかしい思いをして購入した、TVアニメ「フレッシュプリキュア!」の後期OP/ED曲シングル。サントラ盤にでも入っていれば…と当初は考えていたのですが、そんな気配は無かったため購入しました。聞きたかったのはエンディングの”Happy Together!!!”です。 
 
 思いっきり悪く書くとまんまPerfumeなのですが、非常にいい曲だったため購入しました。アニメとは異なるフルコーラスで聴くと、やはりいい曲でした。これを歌っている方のアルバムが気になります。  
 
  
 
 
 
 
   

2009/9/27 

 
 
 
訂正と音楽日記 
 
 
 
 
   
 以前ここでお知らせしたRECOfan池袋店閉店の件ですが、実は閉店ではなく同じビルの9Fへの移転でした。お詫びいたします。ただ最初に告知を見たときは、確かに移転先までは書いていなかったはずなのですが…。まあ、結果としてはいい方向で収まってくれましたので、私としてはありがたい限りです。無論、これまで1、2Fで営業していたスペースよりは狭いのですが、店が無くなるよりははるかにマシです。 
 
 
 最近では、その狭くなった店内にようやく慣れてきて安心している部分もあったのですが、今度は知らない間にHMVサンシャイン通り店が閉店していました。8月31日付の閉店だったそうなのですが、気付かないはずです。それというのも、その時期の私は深刻なコミックマーケット症候群にかかっており、ろくに外出もしていなかったからです。まあHMVは、池袋にもう1店(メトロポリタンプラザ店)があるのでそんなに問題ではありません。 
 
 
 さしあたり、池袋におけるレコード店の動きはこれで打ち止めのようなので、私としてもホッとしています。コミックマーケット症候群からも回復を果たしたので、久々に最近聴いたCDのことを書いておこうと思います。 
 
 
 ●「Once Only Imagined」 Agonist 
 
 今年の3月に2nd「Lullabies For The Dormant Mind」を聴いて、いいなと思っていたバンドのデビュー作。絶対に2ndよりは悪いだろうと覚悟して聴いたのですが、予想以上の没個性っぷりに驚きました。2ndでは、複雑な展開を盛り込んだメタル・コアをかなり強引にコンパクトにまとめていた点にインパクトがあったのですが、このアルバムではその強引さが感じられず、「とりあえず思いついた要素は盛り込んでみました」感だけが感じられました。 
 
 まず間違い無く、このアルバムから聴いていたらAgonistを聴くことは無かったと思います。 
 
 
 
 ●「Gurdians」 The Crimson Armada 
 
 disk UNIONのポップに、「メタル・コアにしてはギターが云々…」という記載があったため購入。これがデビュー作ということでしたが、確かにメタル・コアにしてはギターは多かったと思います。ただそのギターの鳴りは、あまりリフやフレーズを考えて詰め込んでいないのか、どうにも耳に残りません。リフに気を使わないのであれば、少なくともUnearthと同程度にはギターパートを増やさなければ、リスナーに個性をアピールすることは出来ないと思います。 
 
 また、吐き捨て型のデス声は珍しいのですが、一般のメタル・コア勢と同じようにグロウルするヴォーカルと2人で分け合って歌っているため、インパクトが半減しています。いい加減、この2種類の声で歌うというパターンも飽きられていると思うのですが…。 
 
 
 
 ●「Karkelo」 Korpiklaani 
 
 昨年も新作をリリースしているはずのKorpiklaaniの新作。ここ数作では悪い意味で酒場系フォーク・メタルが展開されていますが、残念ながら今回のアルバムでも方向性は同じです。”Bring Us Pints Of Beer”なんていう曲がある位ですから、その酔っ払い振りは窺い知れようというものです。まあ、何だかんだいってこうして新作が出れば聴いている私も私なのですが…。 
 
 こういった酔っ払い系の曲も嫌いではないのですが、次作ではもう少しアグレッシヴな攻撃的な曲も揃えてくれることを祈っております。 
 
 
 
 ●「The Black Swan Epilogue」 Bibleblack 
 
 やたらとネット上の評判がよかったので購入してみました。確かに評価が高い理由はわかったのですが、どうも掴み所が無い…というか弱いような気がしました。悪い表現をすると、「これ位のバンドなら他にいくらでもいる」といった言い方になります。所々ブラック・メタルには珍しいフレーズが飛び出してはくるのですが、それが曲全体のインパクトを上げるレベルまで到達していないように感じます。 
 
 「さっきのフレーズはよかったな。どの曲だったかな?」と思わせるものはあるので、次作を期待したいと思います。 
 
 
 
 ●「Fact」 Fact 
 
 エモやハード・コアをごった煮し、デジタル風アレンジで味を調える…といった感のあるバンドのデビュー作。どの曲もコンパクトにまとめられていて、様々な要素を取り入れているにしては難解なイメージはありません。むしろ歌を生かそうという意図も感じるので、聴き易いと言ってもいい位です。ただ、その歌メロが飛び抜けた曲が無かったのが残念なところです。楽器で聴かせるバンドではないようなので、この辺りは機を使って欲しいところです。 
 
 あと、15曲は入り過ぎです。曲が短いので長くは感じませんが、「あれっ、この曲もう終わり?」を流れていってしまう曲は削ってしまったほうがよかったような気がします。 
 
 
 
 ●「Back On My Feet」 Boom Boom Satellites 
 
 HMVでかかっていて買ってしまったシングル。DVD付きのものもありましたが、CDのみで購入しました。数作前までは聴いていたのですが、最近はご無沙汰でした。この新曲を聴いて驚いたのは、歌の占める比重が高かったことです。私が聴いていた頃(4作目「Full Of Elevating Pleasures」)は、ほとんど歌が無かったように記憶しているのですが…。ただ、それが悪いかというと全然そんなことはなく、シングル化されるだけあって非常にキャッチーな佳曲でした。 
 
 
 
 ●「Fetish」 The Boy Will Drown 
 
 このアルバムは試聴した際、かなりテクニカルな曲調にインパクトがあったため購入しました。帰宅後に聴いてみたところ、悪く言えばテクニカルで無鉄砲でスピーディーなだけのアルバムでした。もちろん演奏技術は高く、録音状態も良好で、緊張感のあるテクニカルな演奏とスピーディーな曲調は楽しめるのですが、どうにも耳に残りません。ここ1番のキメのフレーズに欠けている印象です。 
 
 ただ、デビュー作としてはそれなり以上のインパクトのあるアルバムでした。とにかく上手い。これでイギリス出身というのが意外。 
 
 
 
 ●「ありあまる富」 椎名林檎 
 
 久々の個人名義によるシングル。アコースティックな曲調に合わせたのか、椎名林檎さん特有のクセのある歌唱は全く聞けませんでした。かなり聴き易かったです。心境の変化ということは無いと思いますが、その辺りはまだ聴いていないアルバムで確認したいと思います。というか、これを聴いていて、以前CCCDで発売されていた3rdアルバム「加爾基 精液 栗ノ花」を、まだCDで買い直していないことを思い出したので、合わせて買ってくることにします。そういえばあのアルバムは、CCCDだったんでほとんど聴いていないんですよね…。 
 
 
 
 ●「Wearing A Martyr's Crown」 Nightrage 
 
 これもdisk UNIONのポップに釣られて購入しました。そのポップ曰く、「イエテボリ・サウンド復活!」。このイエテボリ・サウンドというのは、1993〜1999年頃にスウェーデンイエテボリ出身(他の都市やフィンランドのバンドもいましたが…)のバンド達によって創始されたサウンドで、メロディック・デス・メタルという音楽ジャンルのことです。実際聴いてみると、まあ言いたいことはわかりますといった程度の内用でした。 
 
 所々であの頃を髣髴とさせるフレーズは聴けるのですが、どうにも中途半端で、もうあの頃の音楽は再現出来ないという現実を思い知らされるようでした。 
 
 
 
 ●「Earthsblood」 God Forbid 
 
 通算5作目ですが、これまで以上に伝統的なメタリックなフレーズが盛り込まれ、随分印象が変わりました。メタル・コア発生前のスタイルは維持しながら、かなりギター・オリエンティッドな作りになっていて、これはこれで新鮮です。正直なところ、Lamb Of Godを筆頭に、メタル・コアが流行りだす前から活動していたバンドは、現在のメタル・ブームに上手く乗っていけるかどうかが分れ目だと思っていましたので、メタル・コア勢のようなスピードを売りにしない彼らのスタイルは、かなりインパクトがありました。 
 
 最後の3曲はどれも7分以上の大作ですが、メタル・コア勢には無い落ち着いた美しさが感じられます。 
 
 
 
 
   
 
 

2009/7/5 

 
 
 
消えゆく池袋の灯 
 
 
 
 
  
  昨日は、久しぶりに土曜日の天気予報に雨が無かったので、池袋まで外出してみました。10:00には部屋を出て、まずは南池袋のラーメン屋『屯ちん』で食事です。誰も並んでいなかったので、私が今日最初の客でした。 
 
 
 その屯ちんで並ネギダブルコーン薬味多目を食べた後は、コミック虎の穴池袋店に向かいました。そこで、たべ・こ〜じさんの新刊商業単行本「お姉さんLOVE SWEETS」ドリル汁さんの「ものすごいママジル」さんの新刊同人誌「BEAUTIFUL ILLUSION 06」を購入しました。その後は、HMV池袋サンシャイン通り店に向かいました。 
 
 
 HMVでは、入店するなりかかっていた曲が気になり、Now On Playのコーナーを覗いてみると、Boom Boom Satellitesの新曲”Back On My Feet”だということがわかったので早速探したのですが、DVD付きの豪勢なバージョンしか置いていなかったので、ここでは椎名林檎さんのシングル「ありあまる富」The Boy Will Drownのデビューアルバム「Fetish」を購入するに留めました。 
 
 
 次いで向かったのはdisk union池袋店でした。ここでもHMVで気になったBoom Boom Satellitesのシングルを探したのですが、やはりDVD付きのものしか見つかりませんでした。一応メタルコーナー、プログレコーナー、ハードコア/パンクコーナーは覗いてきたのですが、ここでは特に何も買いませんでした。 
 
 
 続いてRECOfan池袋店に向かいました。半期決算セールということでいつもの\200OFFセールを行って…と思ったら何とそこには「閉店セール!!」の文字がありました。…っざけんじゃねぇぞ!!!2週間振りに来たらこれか!!! 
 
 
 怒りの余り、その場で友人達にメールしてしまったり、Boom Boom Satellitesのシングルのことをすっかり忘れ去ってしまったり、買い逃していたThe Beatlesの旧譜を一気に5枚も買ってしまったりしました。挙句の果てに、TOWER RECORDS池袋店に駆け込み、God Forbidの新作「Earthsblood」Nightrageの新作「Wearing A Martyr's Crown」Factのデビューアルバム「Fact」、そして捜し求めていたBoom Boom Satellitesの新曲シングル「Back On My Feet」のシングルCD版を購入してしまい、1日で10枚以上のCDを購入してしまいました。 
 
 
 3月の秋葉原店の閉店に続き、主な活動範囲内に存在する池袋店の閉店という事態に、私は強く打ちひしがれました。大量のCD購入という浪費を重ねながらも、怒りというか悲しみというか何とも言いようのない感情を鎮めるのには、かなりの時間が必要でした。 
 
 
 秋葉原店閉店の際は寂しさを感じるばかりだったのですが、この池袋店閉店で感じた巨大な喪失感は桁外れのダメージがありました。その差の要因は、生活圏内にあるか無いかということだったとも思いますが、まさに「通う」レベルにまで至ったレコード屋が無くなってしまうということも大きかったと思います。 
 
 
 加えて、閉店するレコード屋がRECOfanだということが問題です。もしこれが、池袋に2店あるHMVやTOWER RECORDSだったら話は異なります。ではなぜRECOfanだったことが問題なのかといえば、RECOfanが中古盤と輸入盤をメインに取り扱う特殊なレコード屋だったからです。あれだけ大量に中古盤を並べつつ新品も扱うレコード屋は、少なくとも南関東には他に存在しないのです。 
 
 
 メールを送りつけた友人達は一様に「CDが売れないからしょうがない」という返信を返してきました。確かにそれはそうかもしれません。しかし私は、その代わりとしてのダウンロード販売がそれほど盛り上がっているように思えません。さらに言うなら、違法ダウンロードすらそれほど行われているように感じないのです。確たる証拠があるわけではありませんが、同じ違法ダウンロードで手に入るコンテンツ(アニメ・マンガ・同人誌・動画・AV等)に比べて、音楽系コンテンツが話題になる機会が少ないように感じます。 
 
 
 そしてそれを裏付けるように思えるのが、最近のライヴ動員数の高まりです。特にここ日本では、10年前の不況時には著しく観客動員は下降の一途を辿っていたはずなのですが、現在の不況下では、景気の悪さを考慮してもそれほどの落ち込みではないそうです。当初私は、違法ダウンロードの横行で曲そのものは誰でも知っている状態になり、実際にミュージシャンを観にいくことの価値が逆説的に高まったためだろうと考えていましたが、最近考えが変わりました。 
 
 
 結論から書きますと、もはやライヴは映画を観るのと同様の行為となっているのではないかというのが私の推論です。というのも、最近私が「CD聴く時間無くて、1回聴いただけで終わっちゃってるんだよ」という話をしても、「1回聞けば十分じゃね?」という顔をされたり、実際かえされることが多いからです。 
 
 
 私の感覚では、音楽は何度も聴くもので、1度聴いてよくわからなくても、時間を空けて聴くか、何度か聴いているうちに気に入るものもある…というものなのですが、世間の感覚とはズレているようでした。こういった1回きりの感覚であれば、CDは買わないけどライヴには行くという不可解(私にとっては)な消費行動も理解できます。しかし、音楽というジャンルの存在感がどんどん薄れていっていることは間違いありません。 
 
 
 レコード屋が無くなることももちろんですが、音楽というジャンルの持つポテンシャルが弱くなることも嫌なものです。それは、文化の衰退に繋がっているような気がするのですが、考え過ぎでしょうか。それでは、今回はこれで失礼します。 
 
 
 
 
  
 
 

2009/4/12 

 
 
 
一体今は何年なのか? 
 
 
 
 
 
 今月号の『Burrn!』の表紙はHanoi Rocksでした。先月号はKissでした。ついでに言うと、その前の3月号は再結成Mr.Bigでした。昨年末の11月号はSlipknot、12月号はBullet For My ValentineAvenged Sevenfoldと、これまでに無く流行りのバンドが表紙を飾っていた『Burrn!』でしたが、ここ数ヶ月で再び高齢化してしまったようです。 
 
 
 加えて、表紙になったバンドも理由がよくわからないものが続いています。先ほど挙げたSlipknotにしても、新作発売時にはその前後の月ですら表紙になることは無く、11月号の表紙を飾ったのもLoud Park 08のヘッドライナーということでの起用でした。12月のBullet For My ValentineとAvenged Sevenfoldも、同じLoud Park 08絡みでした。 
 
 
 完全に新作と関係無い起用でしたが、先月と今月はさらに関係ありませんでした。Kissは「Kissology」というアーカイブDVDのプロモーション、Hanoi Rocksは解散ツアー特集でした。 
 
 
 まあ特に話題が無ければ仕方ありませんが、先月と今月は十分話題になるバンドがいたと思います。それは、それぞれの号のクロスレビュー(編集者4名によるレビュー)で取り上げられていた、Lamb Of GodMastodonです。 
 
 
 巻末のレビューページの冒頭を飾るクロスレビューに取り上げられていたので、「ここで取り上げられているのに、何でコイツらが表紙じゃないんだ?」と不思議に感じていました。レビューそのものも好意的な内容が多く、読んでいるとますます不思議になってきました。 
 
 
 通常、表紙及び巻頭特集としては新作のリリースというトピックが最も重要視されるはずだと考えていたのですが、『Burrn!』では違うようです。私の感覚では、数多い新作の中でどんなCDがリリースされているのか確認するのが音楽雑誌への要望なので、単純なリリース情報と誌面の取り扱いに差異があると混乱してしまいます。 
 
 
 或いは、Lamb Of GodとMastodonが伝統的なハード・ロック、ヘヴィ・メタルと異なるスタイルのバンドであるため、外されてしまったのでしょうか。ただ両バンド共に、かつてに比べればかなり伝統的なハード・ロック、ヘヴィ・メタルに近付いており、それはそもそもレビューでの高い評価に表れていたと思うのですが…。 
 
 
 この扱いの悪さは、両バンド共にインタビューはカラー3ページのみに留まっていたことからも窺えました。今月号でよくよく数えてみると、確実にツアーだけで終わる再結成Mr.Bigの記事(3月号で巻頭特集したばかり!)の半分以下しかページ数がないことがわかり、Mastodonのファンである私は悲しくなってしまいました。 
 
 
 しかも特にMastodonの新作「Crack The Skye」に関しては、伊藤政則によるコラム「MASAの今月の断言」で2ヶ月連続して触れられているというのに、わずか3ページに留まっているのです。これはもう、Mastodonは編集員の誰かに嫌われているとしか思えません。 
 
 
 『Burrn!』は、Lamb Of GodとMastodonよりもHanoi RocksとKissのほうが表紙としてアピールする(他の候補もいたかもしれませんが…)と判断したわけですが、メタルリスナーとしては高齢者に入る私の目から見ても、この選択には違和感を抱かざるを得ません。あまりにも高齢者のみを対象としているように見えるからです。 
 
 
 ふと思い出したのは、この不況下に業績を伸ばしているコンビニ・ファミリーマートの話です。ファミリーマートでは、店内のバリアフリー宅配サービス等を整備し、高齢者層の取り込みに成功しているそうです。一見コンビニというと若者からサラリーマンまでしか利用していないイメージがあったのですが、意外でした。 
 
 
 そして今後は、金を持っていない私の属するアラサー以下の世代はコンビニの主購買層から外されるらしく、コンビニで扱われる白米はかなり柔らかく炊かれ、弁当は肉類よりも野菜中心のメニューに変更され、菓子類も和菓子中心になっていくようです。これこそ、『Burrn!』が採っている高齢リスナー対策と同じです。 
 
 
 私には、どうも安易過ぎる対象の選別に見えて仕方ありません。コンビニで扱うのは生活必需品ですから仕方ない側面はあると思いますが、流行に左右されることの多いエンターテインメントであれば、編集者の側から「これが今のヘヴィ・メタルだ!」と強く主張するべきだと思います。間違っていようが、関係ありません。エンターテインメントにおいては、主張することこそがマス・メディアの存在意義だからです。 
 
 
 それでは今回は、これで失礼します。 
 
 
 
 
 
 

2009/3/29 

 
 
 
さらば青春の光 
 
 
 
 
  
 いつも通っているレコード屋・Recofanですが、この3月29日に秋葉原店が閉店することになりました。10年近く通っていた店だけに、格別の思いがあります。 
 
 
 今日店舗には行かなかったのですが、26日に行って最後の買い物をしてきました。閉店間際ということで新譜は少なかったので、聴こう聴こうと思いながらも機会が無く購入していなかった定番ものを購入してきました。これが最後のRecofan秋葉原店での買い物になるかと思うと、寂しい思いがありました。 
 
 
 初めてこの店に来たのは、10年程前の秋葉原がまだ電気街と呼ばれていた頃でした。友人・パピコラブに連れて行かれたのですが、最初は見つけられず、末広町駅近くの交番で教えてもらいました。店舗が入っているビルは7階建てで、その3Fに秋葉原店はありました。1Fと2Fはドスパラ(当時の店名はDOS/V パラダイス)で、これは今もそのままです。 
 
 
 当時は大学生だったこともあり、私のオタク生活が本格化していく中で、徐々に秋葉原もオタク化していきましたが、オタクでありながらもRecofanに通い続けていました。同じビルには4Fには中古PCゲーム店、5・6Fにはまんだらけが開店(現在は移転)しましたが、私はエレベーターでかたくなに3Fで降り続けました。それはあたかも、普通のレコード屋であるRecofanに通うことで「アキバで普通のレコード屋に通ってる俺は、お前ら一般オタクとは違うんだよ。」と自己主張しているかのようでした。 
 
 
 そんなことに気を使っていた時代は過去に過ぎ去り、今ではそうした傾向とは関係無く単純にCD購入のために通っていましたが、当時と比べて周囲の環境も寂しくなっていることに気付きました。 
 
 
 秋葉原にCDを買いに来るようになった当初は、秋葉原というよりも末広町に近かったDiskmap、潰れたレコード屋の在庫を格安で大量に並べていたリバティ、独自の輸入経路が面白かったヤマギワソフト館石丸電気SOFT1等のレコード店がひしめいていました。なお、リバティと石丸電気は複数の店舗があり、Diskmapはビル全部が店舗だったため、回るだけでもかなり時間がかかっていました。まあ、そうした時間の使い方がとても楽しかったわけなんですけれども。 
 
 
 当時から10年以上が経ち、Diskmapは倒産し、リバティは主力をアニメ・ゲーム関連商材に移行ヤマギワソフト館・石丸電気SOFT1は規模を大幅に縮小し、輸入盤の取り扱いを止めてしまいました。そして今日またRecofan秋葉原店が閉店し、もう中央通沿いにレコード屋は無くなってしまったといってもいいでしょう。 
 
 
 辛うじて、ヨドバシ「AKIBA」ビルの7FにTOWER RECORDS秋葉原店2005年9月にオープンしていますが、これだけといえば本当にこれだけです。 
 
 
 最近は、秋葉原に来ても駅から離れた位置へ出歩くのはRecofanに行くためだけだったりしたのですが、そんな非効率な日々も終わりです。今思えば、もう大人なのにバカなことを続けてきたなと思いますが、ひとつの習慣と化していた行動様式であるだけに、大きな欠落を感じています。 
 
 
 今、最後に秋葉原店で買ってきたキャロル・キング「つづれおり」を聴きながらこれを書いているのですが、70年代を代表する伝説的名盤が妙に心に染み入ります。色んなところで書かれていることですが、押さえ気味のプロデュースが絶妙で38年前のアルバムという古さを感じさせない点に驚かされましたが、それ以上に次々に閉店していくレコード屋に対する葬送曲のように聞こえてきてしまいました。 
 
 
 ”So Far Away”、”It's Too Late”といった曲名も―決してそんな内容ではないはずですが―、それを助長しているように感じられてしまいました。どうにも寂寥感が押さえきれないようなので、とりあえず今日は、被害者意識いっぱいでこのアルバムに浸り、Recofan秋葉原店の閉店を偲ぼうと思います。 
 
 
 それでは今回は、これで失礼します。 
 
 
 
 
  
 
 

2009/3/15 

 
 
 
2008年度アルバムベスト10 
 
 
 
 
 
  今月号の『Burrn!』で恒例の読者人気投票結果(Readers' Pop Poll 2008)が発表されていましたので、それに倣って私の2008年度のメタル生活を振り返り、アルバムベスト10を挙げてみたいと思います。 
 
 
  1.「The Formation Of Damnation」 Testament 
 
  2.「Fortress」 Protest The Hero 
 
  3.「Pedal To The Metal」 Blessed By A Broken Heart 
 
  4.「Diagonal」 Diagonal 
 
  5.「The Bedlam In Goliath」 The Mars Volta 
 
  6.「xGODx」 Serpent 
 
  7.「4」 Dungen 
 
  8.「Scream Aim Fire」 Bullet For My Valentine 
 
  9.「Shogun」 Trivium 
 
   10.「Slania」 Eluveitie 

 
 
 1枚目の「The Formation Of Damnation」ですが、これは内容がどうこうということではなく、単純に2008年で一番聴いたアルバムというだけのことです。正直言って出している音は古く、1999年発表の「The Gathering」の方がモダンさとオリジナリティを上手く融合させていたと思います。しかしそれでも、「バンドが順調だったらリリースされていたはずのアルバム」といった感じのサウンドを完全に再現しているこのアルバムのほうが、私は好きです。 
 
 
 2枚目はProtest The Heroの2ndアルバムですが、「絶対に曲が直進しない」と言われた前作を踏襲したという意味では新鮮味はありませんが、同じ方向性で作ってくれたことが嬉しかったため選びました。メタル・コアか、そうでなければエモかという狭い視野しか許されないメインストリームで、よくこの音楽性で頑張っていると思います。いっそのこと、プログレの方向性に進んでみてもいいのではないでしょうか。 
 
 
 3枚目はBlessed By A Broken Heartのデビューアルバムです。国内盤が売り出される際の謳い文句に、やたらとレイヴ云々と書かれていましたが、ダンスビートが導入されているのは4曲目だけで、それもサビだけです。どうも、単純なハード・ロック系バンドとして売り出すことに抵抗があったようです。しかしながら、これはどう聴いても80年代パーティー・ロックを今の若者がやってみました程度のバンドです。ファミコンのようなキーボードに代表されるサウンド、パーティーナイトしか頭に無いような歌詞、髪型以外は完全にLAメタルなファッション…どれをとっても、グランジ以前のヘア・メタルです。ま、当時のバンドよりは格段に上手いんですが。 
 
 
 4枚目もデビューアルバムです。ここ数年、Witchcraft、Serpentcult、Blood Ceremony等、70年代ハード・ロックの因子を純粋培養したかのようなバンドが続々とデビューしてきていますが、このDiagonalはレベルが一段上のように感じました。純粋培養ではなく、タイム・マシーンで1970年から無理矢理連れてきたような古さを感じます。丁度その頃には、こんな音を出すプログレ・バンドはたくさんいたんだろうな…と偲ばせるほどの古さです。 
 
 
 5枚目の「The Bedlam In Goliath」ですが、前作辺りから鬼のようにリリースされるオマー・ロドリゲス・ロペスのソロ作品と感触が変わらないように感じていたのですが、このアルバムで大幅な改善が見られました。聴き所のフレーズを適所に配置するように努力している節が見え、自分達のやっていることを客観的に見ることができているようでした。あとは、偉大な1stアルバムにどこまで迫れるかというところが勝負でしょう。 
 
 
 6枚目は、随分待たされたSerpentの2ndアルバムです。前作の課題であった録音状態はかなり改善されていて、随分聴きやすくなっていました。また、90年代メロディック・デス・メタル・サウンドはそのままだったのもありがたかったです。逆に、全体的に聴きやすくなったせいかソフトにえ感じました。極端にエッジが欠けているわけではないのですが、その点が不満といえば不満です、とはいえ、3年待たされた甲斐のあるアルバムでした。 
 
 
 7枚目はDungenの4作目「4」ですが、相変わらずスウェーデン語で歌っているため何を意味するのかはサッパリわかりません。しかし今回はインストの比重が高かったため、それほど気になりませんでした。4位に挙げたDiagonalもそうなのですが、どうして彼らの音はこんなに古いのでしょう。彼らの方向性は基本的にフリーフォームで、サウンド的に70年代ハード・ロック、プログレッシヴ・ロックの要素も含まれるため私は聴いているのですが、そのうちテクノだろうとシャンソンだろうとレゲエだろうと、あらゆる音楽が流入しそうで楽しみです。 
 
 
 8枚目はUKメタル期待の星・Bullet For My Valentineの2ndアルバムです。ヴォーカルのマット・タックが喉の手術を受けたせいか、1stに比べるとかなりソフトに聴こえます。一度ここでも書きましたが、「速いLAメタル」という印象です。どうもマット・タック自身がそれにご不満なようで、次作では1stのようなキツいグロウルが全開になってしまうのかもしれませんが、このアルバムの言わば「怪我の功名」的なとっつき易さも忘れないでいただきたいところです。これがあればこそ、幅広いファンの獲得が可能となったのかもしれないのですから。いずれにせよ、彼等と次に挙げるTrivium、そしてAvenged Sevenfoldには、大いに期待しています。 
 
 
 9枚目は、若い若いと思っていたらもう4作目となっていたTriviumです。「Shogun(将軍)」というタイトルからも想像される通り、かなりアメイジングな日本文化の解釈は置くとしても、今のアメリカにおけるスタンダードな形式を押さえながら、それでも伝統的なヘヴィ・メタルに近い感触を残すところは、ただのメタル・コアと括れない強い個性だと思います。ただ、もうグロウルはいらないので、次回は全編普通声で歌ってください。 
 
 
 10枚目は、スイスのフォーク・メタル・バンド、Eluveitieの2作目。デビュー作はスピーディーなメタルサウンドの上に、フィドル、ハーディ・ガーディ、バグ・パイプ、マンドラ等の聞き覚えの無い楽器が乗るという変わったアルバムで、私も衝撃を受けました。今回もその路線は踏襲されていて、前作のファンなら文句無く受け入れられる内容になっていました。インパクトの面でも、まだ2作目なので許される範囲内でしょう。バラード調の曲やコンセプト・アルバム風の作りが新味と言えば新味ですが、それほど成功しているようには感じませんでした。 
 
 
 2008年を振り返ってみて、上記の10枚以外にも相当いいアルバムがあることに気付きました。実は7〜8枚目まで選んだ辺りでかなり悩んだのですが、もう色々と書いてしまった後だったので、タイトルとバンド名だけ記載しておきます。 
 
 
 ・「Watershed」 Opeth 
 ・「Traced In Air」 Cynic 
 ・「The Dream」 In This Morment 
 ・「All Ends」 All Ends 
 ・「Carved In Stone」 Rage 
 ・「Obzen」 Meshuggah 
 ・「Rareform」 After The Burial 
 ・「Motorizer」 Motorhead 
 ・「Cannibalised」 Biomechanical 
 ・「Dramma Di Un Poeta Ubriaco」 Pandra 
 ・「Phoenix」 Asia 
 ・「Fury&Flames」 Hate Eternal 
 ・「魑魅魍魎」 陰陽座 
 ・「Feed The Beast」 Bonded By Blood 
 ・「Let There Be Blood」 Exodus 
 ・「Scatter The Crow」 Slaves to Gravity 
 ・「かくれんぼか鬼ごっこよ」 大槻ケンヂと絶望少女達 
 ・「絶望大殺界」 さよなら絶望先生 

  
 
 よくよく考えてみると、余り聴かないまま手放してしまったアルバムが数多くあることに気付きました。今更ながら、勿体無い思いがしています。何も音楽鑑賞だけに限ったことではありませんが、もう少し時間を上手く使いたいところです。ここのところ、同じことを何度も書いているような気もするのですが…。 
 
  
 2009年も始まって3ヶ月が経とうとしていますが、今年もいいアルバムが続々と登場しています。ここでも触れたHot Leg、Napalm Death、Cannibal Corpse、Destroy Destroy Destroyのアルバムがベスト10.候補です。また来月には、Church Of Misery、Mastodonの新作が予定されており、非常に楽しみです。
 
 
 それでは今回は、これで失礼します。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2009/3/8 

   
  
    
声優パンク 
 
 
 
 
     
 今週は、声優さんがパンクの名曲をカヴァーした企画盤「パンコレ〜voice actresses' legendary punk songs collection〜」を聴いていました。ただ、正直なところ購入は結構躊躇いがありました。というのも、10年前の水準で考えてもオタク的にアウトなジャケットのインパクトが強過ぎて、どうにも手が伸びなかったのです。 
 
 
 6人のキャラクターが全員中指を立てているという構成はいいのですが、どうにも絵が古過ぎます。最近、日本のインディーズ・メタル・バンドがCDジャケットにファンタジックなイラストを使うことが増えてきていて、そのジャケットイラスト群には正直痛いものが多いのですが、このCDのジャケットはそれに輪をかけて痛いものでした。企画や声優さんに不満は無かっただけに、非常に残念でした。 
 
 
 今更言っても仕方の無いことですが、少なくとももう少しメジャーな作家さんを使ってもらいたかったところです。例えば、ミュージシャンネタが頻出するばらスィーさんか、「デトロイト・メタル・シティ」若杉公徳さん辺りであれば、面白いジャケットになったのではないでしょうか。 
 
 
 ただそれでも、このジャケットが残念なCDを購入するため、アニメイト池袋本店7FのCDコーナーに向かいました。しかしやはり、萌え絵全開ジャケットのCDを買うより恥ずかしかったため、同日発売だったDJCD「さよなら絶望放送 第五巻」を上に載せてレジまで持っていきました。 
 
 
 するとレジのお嬢さんは、「こちらの『パンコレ』には、先着順でジャケットポスターが特典で付いておりますが、ご入用でしょうか?」と余計なことを聞いてきました。即座に断り、他の買い物はせずに足早に帰宅しました。 
 
 
 さてその肝心の内容ですが、曲と担当声優は下記のようになっておりました。 
 
 
 01. Sex and Violence (The Exploited)/ 桃井はるこ 
 02. Basket Case (Green Day)/ 池澤春菜 
 03. White Riot (The Clash)/ 清水香里 
 04. Pretty Fly(For A White Guy) (The Offspring)/ 門脇舞以 
 05. Anarchy In The UK (SEX PISTOLS)/ 田中理恵 
 06. London's Burning (The Clash)/ 後藤邑子 
 07. Call Me (Blondie)/ 桃井はるこ 
 08. God Save The Queen (SEX PISTOLS)/ 池澤春菜 
 09. Blitzkrieg Bop (Ramones)/ 清水香里 
 10. Search and Destroy (Iggy & The Stooges)/ 門脇舞以 
 11. Ruby Soho (Rancid)/ 田中理恵 
 12. Smells Like Teen Spirit (Nirvana)/ 後藤邑子 

 
 
 基本的に甘い声質の声優さんが選ばれているせいか、可愛さばかりが目立ちます。加えて曲調も大幅に変更されており、”Anarchy In The UK”や、ピアノのイントロで始まる”Smells Like Teen Spirit”は完全にバラードに変わっています。田中理恵さんや後藤邑子さんによるストレートなカヴァーを期待していたので、これには肩透かしを喰らいました。加えてアレンジも、極端に軽いサウンドになっていたり、派手にキーボードが加えられていたりと、原曲のイメージを大きく崩している曲も少なくありません。 
 
 
 一番気に入ったのは、門脇舞以さんによる”Pretty Fly(For A White Guy)”でした。門脇さんの甘いというよりも幼い声が、曲のイメージを完全に解体していました。原曲の人を食ったような歌い方が無いにも関わらず、こちらをバカにしているように聞こえるところが不思議です。 
 
 
 他には、桃井はるこさんの”Call Me”田中理恵さんの”Anarchy In The UK”、”Ruby Soho”等が良かったと思います。逆にキツかったのは清水香里さんの”Blitzkrieg Bop”でした。流石にここまで崩されると、ジョーイ・ラモーンも草葉の陰で泣いているかもしれません…。 
 
 
 何度か聴いてみたのですが、ここまで年代を広げずに古めの曲に絞ったバージョンも聴いてみたくなりました。バンドとしては、The DAMNED、The Barracudas、Motorhead、Bad Religion辺りも聴いてみたかったところです。 
 
 
 また今後は、パンクに限らず、60〜70年代のオールディーズのカヴァーや、The Beatles、The Rolling Stonesといった超大物バンドに限定したカヴァー集も聴いてみたいような気もします。ま、メタルやプログレは無理でしょうから、期待しないでおきます。あ、勿論やってくれたら嬉しいですけど。 
 
 
 それでは今回は、これで失礼します。 
 
       
  
 
 
     

2009/3/1

   
  
  
日本人は本当にメタルをわかっているのか? 
  
  
 
 
     
 この週末、2作のメタル映画のDVDを観ました。まず1本目は『HEAVY METAL IN THE COUNTRY Nuclear Blast Story』です。その名の通り、ドイツのインディーズレコード会社・Nuclear Blastを、本拠地であるドイツ・ドンツドルフでのメタルのあり方(?)を交えて紹介するという内容でした。 
 
 
 まず驚いたのが、ドンツドルフの激しい田舎度です。バスや鉄道は無いらしく、自動車以外に交通手段が無いというのが凄まじいところです。また、その風景の長閑なことといったらありません。「これは本当にメタルに関係のある映画か?」と疑いたくなるほど、ドンツドルフの風景ばかりが印象に残ります。 
 
 
 また、そこで暮らす人々も印象的です。基本的に農業・牧畜業が主体のようで、とてもメタルが盛んな土地には見えません。そもそもNuclear Blastで働いている人々が、どこにでもいそうな普通のおばさん達というのが驚きです。まして、その普通のおばさん達が何気なく過激なジャケットのデス・メタル・バンドのCDやTシャツ 、アクセサリーを梱包しているとあっては…。 
 
 
 ドンツドルフで暮らすNuclear Blast関係者以外の人々も、基本的に長閑でした。息子や娘がメタルにハマることを危惧する親子の会話で、「母さんは”Caught Somewhere In Time”がIron Maidenの曲だって知ってるだろ?普通の親は知らないぜ」というやり取りがあったり、Nuclear Blastの中でもメジャーなバンドであるSonata Arcticaのリスニングパーティーが農夫の溜まり場で行われていたり、田舎臭さばかりが目立っていました。 
 
 
 ただ出演者の方も言っていたのですが、「メタルは田舎の音楽だ」という意見には納得させられるものがありました。ヨーロッパのメタル・バンドには、どうやっても拭いきれない土着性が付き纏っています。これが、アメリカのバンドととの明瞭な差となっており、アメリカ進出の際には壁となって立ちはだかり、逆に日本(日本以外のアジア・南米でも…?)ではそうした要素が武器になっています。この映画を見る限りは、そうした見方は正しいように感じました。  
 
 
 流行りだして数年が経ったFinntroll、Korpiklaani等のフォーク・メタル、ペイガン・メタルや北欧のヴァイキング・メタルは、まさにこれを地でいっていると言っていいでしょう。決して悪い意味ではありませんが、あの音ではアメリカでは決して成功しないと思われます。なぜなら、彼らの出す音はこれまでの欧州産メタルよりも圧倒的に土臭いからです。特に、あの無意味に剣や斧を振り回すプロモには日本人である私ですら引くのですから、洗練されたアメリカ人にはネタとしか認識されないでしょう。 
 
 
 わずか1時間程度の映画でしたが、普段散々購入しているNuclear BlastのCDをあんなおばさん達が梱包・発送してくれているのかと思うと、今後はもう少し丁寧にCDを聴こうと心を改めました。 
 
 
 2本目の映画は『GLOBAL METAL』です。監督のひとり、サム・ダンは人類学者で、かつてドキュメンタリー映画『Metal:A Headbanger's Journey』(2005年作品。日本公開は2006年)を撮っており、これが2作目のメタル・ドキュメンタリーとなります。 
 
 
 前作では「なぜメタルは嫌われるのか?」がテーマで取材対象・出演者はミュージシャンが大半でしたが、今回はアメリカとヨーロッパ以外の国でのメタル・シーンを巡っていくという内容で、出演するミュージシャンは少なめで一般のメタルファンがほとんどでした。 
 
 
 全編を通じて感じたのは、日本以外の国ではメタルのファンをやるだけでも大変だということでした。日本以外ではブラジル、インド、中国、インドネシア、中東(ドバイ)のメタルファンが紹介されていますが、どの国でも社会からの抑圧が著しく強いため、それに反抗するための音楽として、へヴィ・メタルが選び取られたという印象がありました。 
 
 
 特に、インドとインドネシアと中東では社会からの抑圧が強いようでした。イランではメタルそのものが規制されており、CDの購入すら不可能というのには驚かされました。またこれらの国のファンからは「Westan(西側)」という言葉が良く聞かれ、冷戦が終結した今でも文化的な規制が存続していることが伺えました。 
 
 
 またインドではヒンドゥー教、身分制度、慣習、インドネシアではイスラム教と独裁政治の名残からの社会的抑圧が強く、日本にいて何の問題も無くメタル・バンドのCDを購入することができる自分の境遇が、申し訳なく思えてきてしまいました。 
 
 
 この点に関しては、日本におけるへヴィ・メタルは単に音楽様式のひとつでしかなく、社会への反抗心から選び取っているわけではないのではないないか…という見解を伊藤政則さんが劇中で語っていましたが、私も同じように感じています。「ヘヴィ・メタルもエンターテインメイントのひとつ」と言ってしまうと他国のファンに殺されそうですが、これが私の偽らざる心境です。 
 
 
 無論この話はこのドキュメンタリーの本筋ではなく、クライマックスはインドでのIron Maiden初公演(メジャー・メタル・バンドとしてもインド史上初)を劇中に登場するファン達とサム・ダンが一緒に楽しむ場面なのですが、特典映像の伊藤政則さんとサム・ダン、もうひとりの監督、クリス・マクフェイデンとの対談でも触れられており、監督の二人も深く同意していました。 
 
 
 伊藤さんは、各国のファンの中で女性のファンが登場したのは日本だけだった点を指摘し、日本のファンの特殊性を話題にしていましたが、突き詰めると「日本のファンはメタルをわかっていないんじゃないか?」という結論に至ってしまいそうなところがありました。 
 
 
 私は、確かにわかっていない点があると思います。日本がキリスト教文化圏ではないことが最大の要因だとは思いますが、個人的にも英語のヒアリングができないといった点からも、現地のファンよりも確実に理解度は低いと思われます。ただ、エンターテインメントとしてだけメタルを楽しむ道があってもいいと私は考えます。そうした多様な在り方を許容することが、本当の意味での『GLOBAL METAL』と言えると思います。それでは今回は、これで失礼します。  
 
 
 
 
 
 
 

2009/2/22 

 
  
 
Napalm Deathの長い旅路 
   
  
 
 
   
 皆さんこんばんわ。ここ最近、リリー・アレンの新曲”Fuck You”「Fuck You〜♪Fuck Very,Very Much〜♪」というフレーズが延々と脳内リピートされて困っているアオキです。ここまま放置しておくと、彼女の新作を購入してしまうかもしれません。 
 
 
 今週は、「機動戦士ガンダムOO」の新オープニング曲、ステレオポニー「泪のムコウ」「まりあ†ほりっく」のエンディング曲、「君に、胸キュン。」(YMOのカヴァー)、声優・新谷良子さんの5thアルバム「Marching Monster」等、ヲタ路線まっしぐらなCDを購入していました。ガンダムOOとまりあ†ほりっくの曲に関しては、恐らくサントラが発売されれば購入する予定だったのですが、かなり気に入った曲だったため、つい購入してしまいました。また、新谷良子さんのアルバムに関しては、実は先行して発表されていた2曲があまり良くなかったので購入するのをためらっていたのですが、他の曲が全然いい曲だったので安心しました。 
 
 
 そんな中、変な邦題(「世界平和を願う。」)が付いた国内盤ではなく輸入盤が発売されるのを待っていたNapalm Deathの新作「Time Waits For No Slave」もついでのようにRecoFan秋葉原店で買ってきていたのですが、これがまた素晴らしかったのです。 
 
 
 1987年のデビュー当初はグラインド・コアと呼ばれるパンクにも近いサウンドでしたが、初期メンバーの離脱とともに下降気味となり、1997年「Inside the Torn Apart」辺りから様式化したハード・コア、或いは様式化したデス・メタルというようなサウンドに移行し、バンドの生命力を取り戻していました。ただその時期も既に10年近く経過し、マンネリの気配がここ数作では感じられていました。そんなわけで、私はついでのように買ってしまったのです。 
 
 
 しかし今回は、アルバムに漲る気迫が全然違っていました。様式化して以降のNapalm Deathのアルバムは1曲目で勝負してくることが多かったのですが、今回の1曲目”Strong-Arm”の素晴らしさは群を抜いていました。Napalm Death史上というに留まらず、ハード・コア・メタル界を代表する曲といってもいいでしょう。 
 
 
 とかくNapalm Deathというと、「初期の音楽性から離れ過ぎ」、「シェーン・エンバリーがリーダー面してるけど、アイツはオリジナルメンバーじゃない」、「他のメンバーが全員抜けて、最後まで残っただけだ」、「メタルのくせに政治的な歌詞を歌うな」、「パンクとかハード・コアと近かったのは昔の話だ。メタルのくせにパンクに擦り寄ってくんな」等々、最近は余り芳しくない評価を受けがちです。 
 
 
 加えて、最近の音楽性が様式化したハード・コアな上に完全にメタル寄りなので、様式化という言葉だけでも批判の対象とされ易くなっているように感じています。ですが私としては、最近のその音楽性にこそNapalm Deathの希少価値があると考えています。 
 
 
 先ほどから様式化、様式化と書いていますが、それはフォームとしてのデス・メタルというものに留まります。欧州産のデス・メタルに特に強い傾向なのですが、必ずといっていいほど宗教儀式的、民俗的、地域的雰囲気を醸し出しています。デス声ブラストビートといったデス・メタルの定石と共に、それらは共存しています。 
 
 
 ですがNapalm Deathには、いかなる宗教儀式的、民俗的、地域的雰囲気も感じられません。政治的な歌詞が多いためそう感じられる点もありますが、まず単純なサウンドとしてそうした雰囲気が一切含まれていないのです。ギターソロは特にそうで、悪く言えばただ鳴っているだけです。ですので、ある意味とっつき易いデス・メタルであるとも言えるでしょう。 
 
 
 また、一般的に受け入れられるかどうかはわかりませんが、最近のメタル・コア・バンドに多いグロウル唱法も無いため、私のような高齢者リスナー の耳にもなじみ易いのではないでしょうか。正直、私にはグロウルはデス声よりも暑苦しく感じられてしまい、倦厭しがちです。特に、クリーンな声とグロウルを切り替えながら歌うパターンがなかなか好きになれません。ま、これが今の主流だとはわかっているんですが…。 
 
 
 そうした貴重な音楽性を持つに至ったNapalm Deathを、今後も応援していこうと思います。それでは今回は、これで失礼します。 
 
 
   
 
 

2009/2/15 

 
 
 
ジャスティン・ホーキンス復活 
 
  
 
 
  
 今年に入ってからというもの、ストレスのせいかCDを買いまくっています。去年のリリースシーズンである11月辺りからも買い漁ってはいたのですが、今年に入ってからさらに加速したような感覚があります。先月購入したCDの枚数は30枚以上に達しており、昨年12月にもらったボーナスは底をつきました。 
 
 
 そんな中、disk unionお茶の水店Hot Legというバンドの「Red Light Fever」というアルバムを見かけました。古臭い80年代風のジャケットと読めないバンドロゴだけが印象的だったのですが、よくよく考えてみると「元The Darknessのジャスティン・ホーキンスのニューバンド!」というポップが張ってありました。 
 
 
 数日前に来た、disk union新宿ヘヴィメタル館情報というメルマガでこのバンドの名前は見ていたのですが、余りにも他のメディアで目にしなかったため、存在を忘れていました。確かに、MySpaceでは2月9日に本国で発売されることが告知されていましたが、『Rockin’On』は200年代ロックシーン徹底総括が特集で、『Burrn!』明らかにツアーだけで終わりそうな再結成Mr.Bigが表紙と巻頭特集で、その両誌では大々的に取り上げられていませんでした。 
 
 
 発売元のレコード会社を確認してみると、Barbecue rock recordsという聞いたことの無い会社でした。このマイナーと思われる会社が発売元となっているせいで、日本盤発売の目処がついていない等、何らかの障害でもあるのでしょうか。 
 
 
 それとも昨年のThe Raconteursのように、アルバム製作が完全に伏せられていて、全然情報が入ってきていなかったということなのでしょうか。確かThe Raconteursは、アルバム完成告知から一週間ですべての媒体で発売となっていたはずなので、2月9日という発売告知が2月に入ってからの告知であれば、掲載されなかったのも無理はありません。 
 
 
 さてそのHot Legのアルバム「Red Light Fever」ですが、とても優れたアルバムでした。The Darknessのラストアルバム、「One Way Ticket To Hell…And Back」からゴージャスさを弱めたようなサウンドが印象的ですが、基本路線は変わっていません。ジャスティン・ホーキンスのファルセットが派手に響き渡る、ポップなハード・ロック路線です。 
 
 
 サウンド的なゴージャスさに欠けるのは制作費の問題とも思えますが、ここまで基本路線が変わっていないとなると、なぜThe Darknessから抜けてしまったかが気になります。The Darknessの残った3人のメンバーは、既に追加メンバーを入れてStone Godsというバンドをスタートしていて、The Darknessとはかけ離れた音楽を演奏していると聞いています。 
 
 
 そもそも、ジャスティン・ホーキンスがThe Darknessを抜けたのは、ドラッグ癖からのリハビリが目的と聞いていたのですが、どうもそうではないようです。The Darknessにとってはジャスティン・ホーキンスは重要なメンバーだったはずなのに、音楽活動を再開してもバンドに戻さないというのは、リハビリ以前に決別していたということでしょうか。 
 
 
 大体、残されたメンバーがThe Darknessのバンド名を残さなかったことからして、元々ジャスティン・ホーキンスを戻すつもりなど無かったのかもしれません。残されたメンバーに、彼抜きでやれる自信があ ったということなのでしょう。 
 
 
 まあ新バンドであるにせよ、ジャスティン・ホーキンスが復活してくれたことはありがたいことです。まして、The Darkness級のアリーナ・ロックをやってくれるというのであれば、何も言うことはありません。2枚で終わってしまったThe Darknessは残念でしたが、彼の音楽世界は今後Hot Legで具現化されていくので、今後に期待したいと思います。 
 
 
 それでは今回は、これで失礼します。 
 
  
 
 
  

2008/11/30 

 
 
 
陰陽座劇場 
 
  
 
 
 
 先週の23日、1年振りの陰陽座のツアー・「魑魅魍魎が夜を行く」の東京公演に行ってきました。昨年冬のライヴは、昨年発表のアルバム「魔王戴天」があまり面白くなかったせいか、余り印象に残っていませんでした。ですので、最新作「魑魅魍魎」も前作の不振を吹き飛ばすほどの内容ではありませんでしたから、正直今回も期待できないのではないか、と思っていました。 
 
 
 そんな私の今回のライヴでの目的は、新作のリーダートラックと思われる、”紅葉”、”道成寺蛇ノ獄”、”鎮魂の歌”の3曲を聴くことでした。この3曲は飛び抜けて素晴らしい曲だったので、ぜひライヴで聴きたいと思っていました。 
 
 
 結果的には、上記3曲が聴けただけに留まらない、素晴らしいライヴでした。これまで観てきた中でも、一、二を争う名演でした。 
 
 
 とにかく良かったのは、本編を新作中心にした上、過去の名曲は限りなく少なくして進めていたにもかかわらず、とても楽しめるものだったということです。過去の名曲に頼らず新作のほとんどを演奏しておきながら、私はとても満たされた気分になっていました。 
 
 
 上記3曲もそれぞれが素晴らしかったのですが、”鎮魂の歌”での黒猫の熱唱は忘れることは無いと思います。CDより凄い演奏とはそうそう耳に出来るものではありませんが、この曲はまさにCDより素晴らしい演奏だったのです。 
 
 
 またアンコールを6回もやったのですが、その1曲目に”魔王”を持ってきたことにも驚かされました。この曲は、冒頭でつまらないと書いた「魔王戴天」の1曲目の曲なのですが、こんなにいい曲だとは知りませんでした。確か前回の公演はこの曲でスタートしていたはずなのですが、まさかアンコールの1曲目に持ってくるとは思いませんでした。本当に、とんでもなくいい曲に聞こえたのが今でも不思議です。 
 
 
 そのせいか、6回のアンコールが終了してもそれほど疲労を感じませんでした。無論疲れていないわけではありませんが、6回も追加で聞いた(例によって瞬火の長話含む)割には、感じた疲労感は心地いいものでした。 
 
 
 さらに驚くべきことに、今回の公演では”甲賀忍法帖”、”式を駆る者”、”醒”、”妖花忍法帖”、”鳳翼天翔”、”蛟龍の巫女”、邪魅の抱擁”、”睡”といった重要な曲を演奏していませんでした。バラッドも入れればもっと増えますが、これまで重要な位置を占めてきた名曲達を外してもあれだけの盛り上がりを演出できたことは、特筆に値すると思います。 
 
 
 既に一週間経っていますが、今思い返してもいいライヴだったと言えます。また、すぐにでも陰陽座のライヴを観たいという気持ちが湧き上がってきます。本当にいい公演でした。 
 
 
 今後の陰陽座は、まず2009年1月21日DSゲーム「犬神家の一族」のオープニングとエンディングを収録したシングル「相剋/慟哭」を発売するようです。正直、市川昆監督の映画「犬神家の一族」と陰陽座では世界観がやや離れているような気もしますが、とにかく期待して待つことにします。 
 
 
 この曲の出来次第では、これで短いツアーを組んでしまってもいいと思いますが、いかがでしょうか。それでは今回は、これで失礼します。 
 
  
 
 

 

2008/9/21 

 
 
 
紙ジャケが嫌いです。 
 
 
 
 
 
 とはいっても、最近流行りのアナログ盤を復刻した紙ジャケのことではありません。限定デジパックとか、デラックスエディションとか、初回限定特装ケースとか、そういった際に用いられる紙製のジャケットのことです。 
 
 
 相当前から嫌だったことなのですが、今回書くことにしたのは下記のようなことがあったからです。 
 
 
 先週、久々に「The Departed」(監督:マーティン・スコセッシ、主演:マット・デイモン、レオナルド・ディカプリオ)という映画を観たのですが、そこで使われていたDropkick Murphys”I'm Shipping Up To Boston”という曲が好きになりました。曲調はパンクでしたが、アイリッシュというかケルト風の楽器(バグパイプ等)が多用されていて、このミスマッチが面白かったからだと思います。 
 
 
 そこで、スコセッシは選曲に定評のある監督なので、オリジナル・サウンドトラックとこの曲が収録されているDropkick Murphysのアルバム、「The Warrior's Code」を買いにレコード屋に向かいました。8月末時点で全社営業社員中最下位の業績を叩き出しているにもかかわらず、仕事中に行ってきました。 
 
 
 アカデミーを取った映画なだけに、サントラはすぐに見つかりました。「The Warrior's Code」もすぐに見つかったのですが、デジパック仕様だった上にボーナストラックも入っていたため、とりあえずパスしました。どこの国の盤かによって収録曲や仕様が異なる場合が多いので、他の店で違うバージョンの「The Warrior's Code」を探すことにしました。 
 
 
 しかし、どの店へ行ってもデジパック仕様のアルバムしか見当たりませんでした。通常のプラスチックケースのものあったのですが、それはボーナストラックが2曲も入った国内盤でした。 
 
 
 そもそも、よくよく見てみるとDropkick Murphysの過去作品は、ほとんどがデジパック仕様になっていました。そこで調べてみてわかったことなのですが、今流通している過去作品は、ボーナストラックを追加してのデジパック仕様のリイシュー盤となっているようです。ただでさえボーナストラックが嫌いなのに、さらに嫌いな紙ジャケ仕様とあっては、購入意欲が削がれてしまいます。そんなわけで、未だに「The Warrior's Code」は聴けていません。 
 
 
 …何でこんなに紙ジャケが嫌いなのか、自分で考えてみました。多分、中古CDに親しみ過ぎたからのような気がしています。なぜなら、外側のプラケースがいくら外側が汚れても、中のブックレットさえ無事なら、ケースを代えるだけでそのCDは新品同様に生まれ変わるからです。今よりも金の無かった学生時代は、中古でCDを購入することが多く、中古で購入したCDは必ずケースを交換していましたし、それは今も変わりません。私の部屋には、交換用のプラケースが常に用意してあります。 
 
 
 また、紙ジャケそのものの耐久性にも不満があります。中古コーナーで見かける紙ジャケは必ずといっていいほど破損しており、とても購入する気にはなれません。これも昔からそうでした。これは新品にも当てはまることなので、余計避けています。加えて、安易にアナログ盤に近付けているだけ、という悪いイメージもあります。 
 
 
 それと、このプラケースに入ったCDというフォーマットに愛着を感じているから、という理由もあります。私が音楽を聞き始めた頃はCD全盛の時代で、アルバム・シングルを問わずミリオンセラーが続出していました。そのころはそれほど特殊なジャケットは存在せず、ほとんどがプラケースによるジャケットでした。 
 
 
 このプラケースは、当時から均質化し過ぎているという批判がありました。アナログ盤を愛好する方々からは、「手触りの違いが感じられないし、ジャケットの遊びも少ない。」と直接言われたこともありました。 
 
 
 しかし、私にはこの均質化されているという事こそが重要なのです。一見、プラケースに並べられたCDはどれも同じようなものに見えます。歴史的名盤も、The Beatlesも、パンクもブルーズもジャズもメタルもプログレも、『Burrn!』で10点を喰らったアルバムも、すべてプラケースの外装は同じです。しかし一旦トレイに乗せれば、CDはいきなりそれぞれの顔を見せ始めます。どれもこれも、チャチなプラケースと薄い円盤とペラいブックレットで構成された商品に過ぎなかったものが、聴く人に大きなインパクトをもたらす媒体に変貌するのです。その意外性が、私は好きなのです。 
 
 
 本当は、最近のスペシャルエディションによるリイシューも全然好きじゃないので色々言いたいことはあるのですが、今回はこれくらいにしておきます。それでは失礼します。 
 
 
 
  
 
  
 

2008/4/27 

 
 
 
Children Of Bodom「Blooddrunk」続報 
 
 
 
 
 
 先週「そもそもチャートインできなかったという可能性も否定できません」等と書いてしまったChildren Of Bodomの新作「Blooddrunk」ですが、何と今週の全米ビルボードチャート22位に初登場してきました。大変失礼な予想をしてしまい、関係者ご一同に深くお詫び申し上げます。それにしても、In Flamesの新作「A Sense Of Purpose」28位を飛び越してくるとは、全く予想していませんでした。 
 
 
 フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドが、通算6作目とはいえ、全米ビルボードチャートのトップ40どころか22位にランクインしたという事実は、欧州のデス・メタル・ミュージシャン達に大きな希望を与えることでしょう。ベテランにとっては自分達のやってきたことが間違っていなかったことの証明となるでしょうし、若手にとっては光り輝く目標になることでしょう。 
 
 
 ただ当の本人達、Children Of Bodomには大きな試練が待ち受けています。これはIn Flamesにも言えることですが、6作目(In Flamesは9作目)までアメリカ進出に時間がかかったということは、既にアメリカ国内に彼らに似た音のバンドが存在することを意味しています。さらに悪く言えば、今回の彼らの成功は、彼らの音楽にインスピレーションを受けたアメリカのバンドが、似たような音楽をアメリカで流通可能なように加工して発表し、その結果アメリカ国内でメロディック・デス・メタルの下地が広がり、ようやく受け入れられたという面があります。 
 
 
 恐らくアメリカでIn Flames、Children Of Bodomの新作を耳にしたファンは、「ふ〜ん。最近はスウェーデンやフィンランドにも、この手の音を出すバンドが出てきたのか」と、順番を誤った捕らえ方をすることでしょう。レコード会社としても、「Shadows FallやKillswitch Engage、The Black Dallia Murderの原点がここに!」という売り方ではなく、「似たような音楽が売れるなら適当な国のバンドでも引っぱってきて売っちまえばいいや」程度の打ち出し方しかしないでしょう。 
 
 
 実はアメリカのメタルコア・バンド達は、北欧系メロディック・デス・メタルからの影響を隠しておらず、むしろ大っぴらにリスペクトしていることのほうが多いのですが、その正直な姿勢はファンまで伝わっていないようで、そこがIn Flames、Children Of Bodomの試練として立ちはだかってしまうと思われます。 
 
 
 似ている部分のある音楽を売っていこうとするわけですから、どうしても二番煎じ的な扱いを受けてしまうことは間違いありません。それを覆そうとすれば、アメリカのバンドと違う部分を打ち出す必要があります。しかしここで、ここ数作で批判を受けながらもかなぐり捨ててきた、欧州独特の雰囲気を持つギターフレーズや曲調を全開にしてしまうことは、差別化を通り越して違和感を抱かせることにも繋がりかねない諸刃の剣だといえるでしょう。 
 
 
 彼らは、普通に演奏したのでは差別化は図れず、かといって露骨に欧州臭さを出すことも難しいという、二律背反を抱えた上でアメリカで戦っていかねばならず、単純に成功を喜ぶことはできないでしょう。 
 
 
 私としては、ある程度アメリカで名前を売って成功できたら、無理にアメリカに留まる必要はないと考えています。留まるというのは、地理的にではなく音楽性として、という意味です。アメリカで適当に名前が売れた後で早々に引き上げるというのは、いかにも都落ちのようで格好良いものではないかもしれません。しかし、北欧系メロディック・デス・メタルに影響されたアメリカのバンド/ファンが存在し、In Flames、Children Of Bodomがある程度の音楽性の転換程度で現状のアメリカでも成功できたということは、彼らの作る音楽がアメリカ人にとって強いインパクトを持ったということを証明しているからです。従って、今後は音楽性をアメリカ寄りに近づければ、ある程度の成功はいつでも見込めるはずです。 
 
 
 そういうわけなので、今後は音楽性をやや欧州寄りに戻し、再びアンダーグラウンドからこの手の音楽のファンの底上げを図ってもらいたいと思います。そうすれば、In Flames、Children Of Bodomだけでなく、Arch Enemy、Dark Tranquillity、Amorphis、Soilworkといったバンドの後を継ぐバンドが出てきたとき、これまでよりもアメリカでの成功を得やすくなるからです。 
 
 
 問題は、その後を継ぐバンドが見当たらないことなのですが、それは別の機会に書くことにします。それでは失礼します。 
 
 
 
 
 
 

2008/4/20 

 
 
 
期待の新作 その2 
 
 
 
 
 
 先週、全米ビルボードチャートに初登場28位につけたIn Flames「A Sense Of Purpose」ですが、今週は87位になっていました。まあ翌週は100位以下に落ちることは確実ながら、前回よりもいい結果だったといえるでしょう。またすぐ下の90位に、Sevendustの新作「Chapter VII: Hope & Sorrow」が2週目にして位置していることから、メタル勢にしては健闘だったのは間違いありません。 
 
 
 さて、そのIn Flamesと共に期待していたChildren Of Bodomの新作「Blooddrunk」ですが、まだアメリカでは発売されていないのかチャートの100位以内には見つかりませんでした。何しろ前作は初登場195位でしたから、そもそもチャートインできなかったという可能性も否定できませんが、検索しても出てこなかったことから、アメリカでの発売(というかチャートに集計されるのが)は来週以降になると思われます。 
 
 
 肝心の新作の内容はというと、前作よりはやや劣るものの、それほど悪いアルバムではありませんでした。In Flamesのように、前作よりは良くないという程度を通り越して、微妙な内容になっていないかと不安でなりませんでしたが、それは無かったので安心しました。よくよく考えれば、両バンド共に前作がたいへん素晴らしいアルバムだったので、それを超えるレベルを要求するのが無いもの強請りだったのかもしれません。 
 
 
 ピックアップできる曲もいくつかあり、ラストの半分遊びと思われる曲を除けば、曲のクオリティも揃っていると思います。数曲ある印象の薄い曲でも、ギターソロになるとハっとするというこのバンドのパターンは根強く残っているので、スピーディーな曲が多いことにも助けられ、「いつ終わるんだ」的なダルさは感じずに済みました。 
 
 
 また、随分とブルータルになった印象があり、メロディック・デス・メタルの「メロディック」の部分が薄くなったように感じます。ただこれは、聴き所が減ったということではありません。単に性質が変わったというだけのことで、デス・メタル特有の切り裂くようなリードギターがそこら中から聴こえてきます。無論ヤンネ・ウォーマンによるキーボードもインパクトがある…というよりも前作よりも派手かもしれません。ギターの反作用として流麗なメロディを奏でるのではなく、むしろギターと一緒になってキーボードまでが凶暴なフレーズを奏でていることに驚かされました。 
 
 
 「硬質でスピーディーなデス・メタル・サウンドにキーボード」という組み合わせは、これまでリリースしてきたアルバムの流れを知らない人が聴けば、かなり新鮮に聴こえると思います。普通、ハードなデス・メタルにキーボードが入るなんて思わないはずですから。 
 
 
 ここのところ、In Flamesの不調に始まり、Norther、Ginger、Royal Huntと、悉く微妙なアルバムばかり聴いてしまい、良かったのはHate Eternalのみという状況だったのですが、この新作で随分盛り返したような気がします。まだ届いていないMeshuggah、Rageの新作も早く聴きたいのですが、Testamentの新作もとても楽しみです。 
 
 
 そういえば、Whitesnakeも再結成後初と思われる新作をリリースを今月予定していますが、こちらは正直期待は薄いです。恒例のように『Burrn!』5月号の表紙になっていましたが、ベテランが 誌面でこうした役割を務めた場合、必ずしも内容が伴っているとは限らない…というかいいアルバムだった記憶が無いので、Recofanで安かったら買うことにします。 
 
 
 それでは失礼します。  
 
 
 
  
 
  

2008/4/13 

 
 
 
期待の新作 その1 
 
 
 
 
 
 今月の目玉アルバムである、In Flamesの新作「A Sense Of Purpose」を聴きました。正直微妙な内容でした。前作と比べると、明らかにピックアップできる曲は少なくなっています。全体の雰囲気はよかったのですが、何も考えずに聴いただけではどこが良かったのかをすぐに思い浮かべられません。 
 
 
 通常、いいアルバムを1回通しで聴くと、「あー、どの曲か思い出せないけど、あのフレーズもう1回聴きてーなー」という感覚が残り、ヘビーローテーションしてその気になる部分を確認するというパターンが多いのですが、今回の新作ではそういった部分があまりありませんでした。 
 
 
 ただリリース直後のチャートアクションは良いようで、全米ビルボードチャートの28位に初登場していました。恐らく、1993〜94年に誕生した北欧系メロディック・デス・メタル・バンドとしては、過去最高の順位だと思われます。 
 
 
 ちなみにすぐ上の27位がMobyだったので、その並びの意外さに意表を突かれましたが、ともかくトップ40入りは果たしているわけです。前作「Come Clarity」初登場58位でしたから、ここ数年のアメリカ・ツアーの結果が出たということでしょうか。なお、58位の後112位に下がり、結局100位以内に1週しかいませんでしたので、今回はどれだけ粘れるかが勝負でしょう。 
 
 
 メチャクチャつまらないアルバムというわけではないのですが、やや残念でした。スウェーデンのバンドとしても、20年前のEurope以来と思われるこれだけのチャートアクションを見せながら、内容が前作を超えていないというのはもったいない気がします。 
 
 
 となると、次に期待したいのはChildren Of Bodomの新作「Blooddrunk」なわけなのですが、どうにも不安が拭えません。『Burrn!』5月号のレビューを読むと、どうも微妙な内容ばかりでとても絶賛されているとはいえません。あまりにも不安になったので他誌のレビューも読んでみたのですが、やたらと褒め称えているだけのようにしか見えず、余計不安になってしまいました。 
 
 
 このChildren Of Bodomの新作は、HMVの通販サイトによると4月15日入荷予定となっているので、おそらく再来週には届くと思います。どうしようもなく不安なのですが、この不安が的中してしまった際のリハビリ用のアルバムを探しながら、発売を待ちたいと思います。それでは失礼します。 
 
 
  
 
 
 
 

2008/3/9 

 
 
 
豊作の予感 
 
 
 
 
 
 今年は、年明けにThe Mars Voltaの新作「The Bedlam In Goliath」がリリースされ、またその内容が前作をフォローする素晴らしいものだったので、随分幸先がいいと思っていたのですが、その後も続々といいアルバムが発売されてきています。この調子でいくと、2008年は類をみない豊作の年になりそうな気がしてきました。 
 
 
 いいアルバム、という程度あれば例年そこそこは出ていますし、去年もそれは同じだったのですが、今年はベスト10に入りそうなアルバムが何枚かリリースされています。まだ3月の時点でこの状況であれば、年末までには大量の名盤がリリースされていてもおかしくはないのではないでしょうか。 
 
 
 そういう訳なので、今年に入ってから聴いたアルバムの内、心に残った作品をいくつか挙げておきたいと思います。 
 
 
 
 
 ●The Mars Volta 「The Bedlam In Goliath」 
 
 通算4作目。前作「Amputechture」がわかり易い聴き所の少ないアルバムだったので、このままどんどん歌えない方向にいってしまうのかと不安でした。しかしそんな不安は解消しました。やけに音数が増えたことが印象的ですが、曲の重要な点と散漫な点がはっきりしていて、この点は初期のアルバムに近くなっていました。 
 
 ただ、1曲目を聴いたときは不安でした。サビから始まるというだけの、彼らにしては何の捻りも無い曲だったからです。しかし2曲目からは、相変わらず「サルサ・バンドがKing Crimsonを演奏したような」音世界が繰り広げられていました。なお、ドラムにメンバーチェンジがあったようなのですが、その影響は感じられませんでした。 
 
 
 
 ●Bullet For My Valentine 「Scream Aim Fire」 
 
 通算2作目。ビルボード・チャート初登場4位。随分とソフトになった印象があります。前作「The Poison」はいい内容である反面、かなりハードで汗臭いアルバムだったので、この手の路線に食傷気味だった私は正直引き気味で聴いてみたですが、印象がまるで変わっていて驚かされました。この手のニュー・メタル/エモーショナル・ハードコア勢の特徴として、デスヴォイスとノーマルヴォイスの使い分けによる聴き辛さが挙げられますが、このアルバムではそれが無くなっていました。デス声が無いわけではないのですが、別バンドのように聴き易くなっていました。かなりソフトな仕上りでした。 
 
 調べてみると、ヴォーカルのマシュー・タック昨年喉の手術を受けて影響で声質が変わってしまっていたようです。ただ、ソフトになっていたのは声だけではありませんでした。全体的な印象がソフトになっているのです。前作までの彼らが「歌えるハードコア」だったとすると、今回は「速いLAメタル」といったところでしょうか。私は、断然こちらの路線のほうが好きです。 
 
 
 
 ●Protest The Hero 「Fortress」 
 
 通算2作目。ハードコアには違いないのですが、曲が絶対に直進しないのとヴォーカルがソフトな声質(デス声も頻度が低い)なため、その界隈では評価が低いようです。私としてはその辺りは気にせず、もはやプログレッシブ・ロックとして生きていけばいいと考えています。それほどまでに、このバンドは訳がわからない曲の展開をしています。前述のThe Mars Voltaも、ここ数年でdisk UNIONではプログレ扱いをされるようになったことですし、このバンドもそこに入れてもいいと思います。 
 
 カナダ出身ということが、多くのアメリカ出身のハードコア勢との一線を画させているのだとは思いますが、大きな特徴のひとつであるシンガロングパートをもっと増やして欲しいところです。この手のバンドは、歌えるパートがあるのと無いのでは雲泥の差があると考えているので…。 
 
 
 
 ●Serpent 「xGODx」 
 
 通算2作目。しかし、約3年振りなので「待たされた」感が強くあります。ただ内容は、前作よりも素晴らしいものになっていたので、まず一安心といったところでしょう。前作での最大の欠点であった録音、細かく言うと「ドラムがリーダーなのにドラムの音が一番悪い」という点ですが、ここは大幅な改善が施されていました。ただクリアになった分、唸り型のデス声の迫力不足が際立ってしまった面もありました。この点は、全部吐き捨て型のデス声で歌ってしまってもいいと思うのですが、何かこだわりがあるのかもしれません。 
 
 全体的にスローになっていますが、10年前のイエテボリ・サウンドの再現には何の影響も無いので、気になりませんでした。むしろ、ミドルテンポになった分、聴き所が明瞭になっている印象があります。 
 
 
 
 ●The Dear Hunter 「Act:U The Meaning Of & All Things Regarding Ms.Leading」 
 
 通算2作目。正確には2007年作品かもしれません。これが最初に聴いた作品で、まだ前作は聴いていないため比較はできないのですが、アメリカの懐深さを実感させられたアルバムでした。恐らく、エモ系から派生したCoheed And Cambriaのような出自を辿ったバンドだと思われますが、それにしてもプログレ過ぎです。完全にプログレッシブ・ロックと言ってしまっていいでしょう。 
 
 Coheed And Cambriaが出てきたときもそうでしたが、どうしてアメリカというのはこういった突然変異的に面白いバンドがデビューするのでしょうか。聴いていると、その意外さに打たれるほかありません。もちろん、その希少価値だけでなく、アルバムも素晴らしい内容になっています。プログレにしては曲が短めなので、とっつき易い面もあります。 
 
 
 
 ●All Ends 「All Ends」 
 
 デビューアルバム。昨年のEPに続くアルバムとのことですが、やけにいい内容だと思ったら、作曲にIn Flamesのギター2人(ビヨルン・イエロッテ、イエスパー・ストロムブラード)が関わっていました。しかもヴォーカルがその妹とは…。こういった構成だと、バンドとしてどれだけ活動できるのかという部分はかなり不明瞭だと思われますが、In Flamesの2人がこちらのバンド用にも創作意欲を燃やしてくれることを祈るほかありません。似たようなケースのバンドとしては、Hammerfall、Dimension Zeroがいますが、どちらもそれなりに成功していますから、安心したいところです。 
 
 スタイルは女性ヴォーカル2人によるハード・ロックで、一見最近流行りのゴシック系とも思われますが、あまりゴス臭は強くありません。バックが重い分だけそう感じられますが、歌メロは割と普通な流れになっています。 
 
 
 
 ●Black Tide 「Light From Above」 
 
 デビュー作。全員10代で、ヴォーカルは15歳という新人。謳い文句はオールドスクール・メタルなのですが、全くそのまんまで笑ってしまいました。80年代のLAメタルとスラッシュ・メタルが理想的な融合を果たした音で、いい狙いどころだと思います。方向性だけでなく、曲も揃っています。彼らよりも年長ですが、若手とされるTriviumAvenged Sevenfoldとは違い、完全に古いスタイルに乗っかっているところをどう評価するかで、彼らに対する評価は分かれると思います。 
 
 私がこのバンドの好きなところは、ギターソロがしっかり入っている点です。ここ数年、WolfmotherThe Darkness、Roosters等、音の古さを重宝がられるバンドは数多く出てきましたが、この点が満たされておらす、私としては不満でした。ギターオリエンティッドな作風が印象的なGlyderとは方向性は違いますが、ギター中心という部分では共に頑張って欲しいバンドです。 
 
 
 
  
 今のところはこんな感じですが、注文はしたもののまだ届かないアルバムがいくつかあります。Meshuggah「Obzen」、Rage「Carved In Stone」、Ginger「Market Harbour」、Hate Eternal「Fury And Flames」、Royal Hunt「Paradox: 2 -Collision Course」といったアルバムですが、正直早く届いてくれないと困ってしまいます。 
 
 
 というのも、来月初旬(7日とされています)には、In Flames「Sense Of Purpose」、Children Of Bodom「Blooddrunk」という、メタル界を代表する2つのバンドの新作が発売されるからです。こちらもすぐに届く/購入できるとは限りませんが、時間をかけてじっくり聴きたいと思っておりますので、その前に聴けるアルバムに関してはできるだけ早く聴いておいて、この2枚を聴く時間を確保したいところなのです。 
 
 
 別段他のバンドを過小評価するわけではありませんが、In FlamesとChildren Of Bodomはメタル界における影響は計り知れないものがあり、その動向に注目しないわけにはいきません。まして、両バンドともにデビュー時からリアルタイムで追いかけている思い入れの強いバンドですから、個人的にも楽しみなのです。 
 
 
 特にChildren Of Bodomは、『Burrn!』4月号の表紙と巻頭特集を飾っており、編集部内の評価が紙面の露出に結びつく傾向のある同誌なので、なかなかの内容に仕上がっているのではないかと期待させるものがあります。一方In Flamesの新作も、先行して同じ4月号に掲載されたクロスレビューでは、4名全員からかなり高く評価されていました。 
 
 
 このように、至近の話題だけでも十分に盛り上がるほどに、今年は豊作が期待されることがおわかりいただけたと思います。それでは、様々なバンドの様々な新作に期待をしつつ、今回はこれで失礼します。 






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