「プラクテ・ビギ・ナル・火よ灯れ

 振られた杖の先に小さく、しかし確かに炎が揺らめいた。

「おぉ」

「ゆえ、すごいすごい〜」

 すぐに消え去ったとしても、それは二人が弟子入りして初めての魔法の煌めきだ。
 これは成した夕映だけでなく、まだ至らない木乃香にとっても明るい光だった。

「ふむ。 思っていたより、お前には向いているのかも知れんな」

 エヴァすらも感心した様な呟きを洩らしている。

 昨日の発言ではないが、ここまで届くのに無理押ししている現状でも、7日やそこらは最低 掛かるのではないかと踏んでいた。 外における日曜の内になんとかならなればいい、くらいの勘定でいたのだ。
 勿論それは、初等教程に入る為の下準備までの話。 実際にはまず供給抜きでのここでの成功、更に外での成功と、まだ踏まねばならない階梯は2段有る。
 だがそれでも、見るものある早さなのは確か。 まだ3日目に入ろうかと言うところなのだから。

「とは言え、まだとっかかりに届いたと言う事ですらないぞ。 その事は忘れるな。
 夕映、お前は取り敢えず午前中一杯、このままその感覚を掴める様に努めろ」

「はい」

 先は長いと戒められても、やっと手にした結果に夕映の顔は綻んでいた。

「えぇなぁ… ウチも頑張らなぁな」

 隣りに立つ木乃香は羨ましそうに、だが友の快挙に満足したように拳を握って頷く。
 成果は見えたのだ。 色々と悩み事もあるけれど、今はそこに向かって地道に努力する。 それだけだ。

 

 

 


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GS美神×ネギま! CrossOver Story
  ざ・がーどまん
          その43   
 
逢川 桐至  


 

 

 

 店を出ると、見慣れた寮の近くの商店街が目に入った。

 午後のまだ高い陽射しに、アスファルトが熱されて僅かに揺らめいている。 ゴールデンウィークに差し掛かったばかりにしては、高めの気温だろう。
 だと言うのに、一気に夏から春に引き戻された気がして思わず立ち止まる。 リゾートと言うだけあって、エヴァの別荘は海水浴すら可能な温度設定になっていた。 だが、現実の麻帆良はまだ初夏なのだ。 受ける感覚の差異はどうしたって大きい。

「まだ、日曜の昼過ぎなのですよね…」

 周囲を見まわして、そう夕映は独りごちた。
 日曜だけに、少なからぬ人影が有る。 そんな見慣れた町並みに、だが違和感を感じるのだ。

「簡単にゃあ慣れないよなぁ」

「…えぇ」

 自身より更に大きな包みを抱えた横島に視線を向けて、一拍置いた後、それでも同感だとばかりに深く頷く。
 別荘で既に2日を過ごしたと言うのに、経過したのは僅か2時間。 体感した身から言えば、2時間の時差が発生したとも言える。 続けて入りっぱなしの木乃香のズレは更に大きかろう。

 何故横島と夕映がこんな所にいるかと言えば、昼を済ませた後、予定より早かったから丁度いいと、エヴァにお使いに出されたからだ。

 当然、望んでのツーショットではない。 量的には横島なら一人でもどうにかなるのだが、彼を野放しにする事をエヴァが危惧したのだ。
 それにそもそもこの男、夕映を女性と認識していない節が有るし、また彼女から見ても横島は けして好みとは言い難い相手である。
 組み合わせ自体、互いに不本意の感は否めない。

「んで、今のトコで終わりだよな?」

「その筈です。
 このかも待ちぼうけてるでしょうし、寄り道せずに帰るですよ」

「ちぇ」

 苦笑して舌打ち。
 そんな彼に、夕映は渋い顔で睨み付ける。

 横島も長い禁欲生活……と言っても、目に入る所に射程内が2日ばかり居なかっただけの事なのだが……に、さっきからナンパしようとしては隣の少女に止められるを繰り返していたのだ。

 何と言うか ふりーだむな行動に、彼女としては思いっきり思う所もある。
 …のだが、下手に放置すると、本当にそのまま帰って来そうにない気がするので止めざる得ない。 当然そうなった場合、自身がエヴァに文句を言われる事になる。
 とにかくさっさとあの別荘に戻りたいと、そう思わずには居られない。

 左手で紙袋を抱えると、夕映は残る右手で横島の手を引っ掴んで歩き出した。
 私はどこの保母さんですか、と憮然としながら。

 と丁度、その瞬間。
 どこか微笑ましい二人に向かって声が掛かる。

「へぇ〜」

 それは、夕映にとって聞き慣れた声。
 ビクっと肩を揺らして顔を向ければ、部屋に篭りっきりになっている筈のハルナが、人の悪いあの笑顔を浮かべて立っていた。

 

 

 

 ハルナが表に出てきたのは、食事を兼ねた気分転換の為。
 予定していた戦力が次々脱落してしまった事もあり、孤独な戦いに一息入れたくなったからである。 勢いが大事とは言っても、集中力などそう何時間も持続するものではない事を、彼女は実体験から知っていた。

 そうして動き出したその先で、内なる魂を刺激される光景に出逢ったのだ。

「そっかぁそっかぁ…
 それじゃあ、しょうがないわよねぇ、うんうん」

「ちょ…?!

 いかにも勘繰ってます、な笑顔と声音とに、思わず夕映の腰が退ける。

 だが、仕方有るまい。 ルームメイトであるハルナの知る限りですら、この歳より幼い見た目の少女には、男性の知己がほとんどいないのだ。
 行動を共にする事の多い のどかが、男性恐怖症気味だと言う事もある。 が、夕映自身、理想が高いからなのか、部活などで接する事のある男子と親しく接する事も無い。 やり込められて近付かなくなった者なら少なくないが。

 ハルナは鼻息も荒く喋り出した。

「いやいやいやいや、ついにゆえにも春が来ましたか。
 旅行の前からどっかラブ臭漂わせてたとは思ってたけど、そっかぁなるほどなるほどねぇ」

 頷きながら、彼女の眼鏡の下の瞳が怪しく光る。

 朝から『木乃香と出掛けた』筈の夕映なのだ。
 それが、見た事のある男と仲良く手を繋いで……あくまでハルナの主観でだが……こんなとこで新婚さんよろしく買い物をしていた。 これでは、彼女ならずとも勘繰ろうと言うものだろう。

 ハルナの視線が、逃がさないようにと握った自身と横島との手に有ると気付いて、夕映は思いっきり慌てた。
 ある面において人の悪いルームメイトが、何を考えているのか、それで明確に理解出来てしまったからだ。

 時遅いが、横島の手を放し荷物を押し付けると、彼女へ弁解しようと道の端へと引き寄せた。

 両手に一杯の荷物を抱えて取り残された横島は、苦笑しながら女同士の話に口を挟まない様にと軒先の日陰へと避難する。 下手に口を挟むととばっちりを受けかねない空気くらい、彼にだって読めるのだ。
 何より、ライン的には範疇でも、ハルナは積極的にアピール出来ない中学生だ。 ましてや夕映はアレである。
 らしからぬ配慮は それ故の事。

 道を流れる花々へと意識を向ける。
 残念な事に、場所柄からか中学生が多いのだ。 それでも目の保養が出来てしまうあたり、侮れないよなぁ、と横島は一人、笑いを零した。

 

 

 

 一方、引き離してはみたものの上手く言葉を紡げないままでいる内に、逆に更なる誤解がハルナの口から飛び出した。

「そう言や、朝から下着を取っ換え引っ換えしてたもんねぇ… 夕映にしちゃ変だ変だとは思ってたんだけどさ。
 判ってみれば、そりゃ当然の乙女心だよね」

 あうあうと言葉にならぬ呟きを零しつつ、どう誤解を解いていいか判らない。

 確かにその理由を知らないのなら、ハルナの言う通りにも取れる行動を自分はしていたのだから。
 だが、今 横島と共にいる事を説明するにはエヴァの事を……ひいては魔法の事にまで触れかねなくなってしまう。 それはマズイ。

「今、思い出してみればアレよね。
 ネギ君のお父さんの別荘に行った時も、ゆえってばあの人と密会してたもんねぇ。 ゆえの事だから何で居るのかとか確かめずにいられないだけかと思ってたんだけど、こりゃお姉さん、目が無かったわ」

「そ、そそそそ、それは…」

 ぴくっと、夕映の頬が引き攣る。
 自身としては知られないように行動していたつもりだったのだ。 だが、ハルナは目敏く気付いていたらしい。
 しかも、コレに関しても、やはり理由が理由だけに誤解を解く事が出来ない。

「いやホント、しょうがないって。 のどかも、ネギ君からの呼び出しだって朝倉から電話貰って、見事にすっ飛んでっちゃったしね。
 私だって彼氏と友だちじゃ、男 取るってもんよ。 だから、気にしなくていいよ。 私は私で独り寂しく原稿描きしてっからさ」

 確かに事実を含くんでいる。 …のに、何故かとんでもない結論に到達している。
 認める訳にはいかないのに言えない事が多過ぎて、夕映の頭は更にパニックに陥った。

「ちょ、まっ…」

 そんなんじゃありません、私は別の人が…
 と声にし掛けた所へ、夕映にとっての爆弾が続けて投下された。

「それにしても、ゆえの好きな相手がネギ君じゃなくて良かったわ。
 のどかと競い合う事にでもなったら面白……じゃなくて、ヤバいなぁと思ってたけど、これで私もがっかりって言うか一安心よね」

 その言葉に、一瞬浮かんだ彼の子供先生の笑顔。

 夕映が好感をもって上げられる男性の名なぞ、実際、ほとんど無いのだ。
 なまじ外見の幼さに反して高度な思考を持つだけに、知性・品性・感性に求める水準が高過ぎた。 ただでさえ異性との接触が少ないのだから、実際に指折れるのは昨年の担任だった高畑とかホンの数人に限られるのだ。
 ネギはその数少ない内の一人だった。

 だから自問する。

 わたしは いまさっき なにを いいかけた?

 そう自問する。

 わたしの すきな ひとは…

 自身の頬が熱くなって行くのが判る。

 無駄に回転を始める思考が、さっきまでの買い物で一緒に居た相手がネギだったらと言う置き換えを、意に反して瞬時に行った。

 引き回すようにして彼の手を取る自分。
 交わす言葉に一喜一憂する自分。

 想像の中の自分にショックを受ける。
 だってあの少年は、のどかの思い人なのだ。 そんな思いは持っちゃいけない。 それは大切な友だちへの裏切り行為なのだから。

 そんな様子には気付かずに、ハルナも芝居掛かった動作で上を向いて目を閉じた。 腕を組み、納得気な笑みを浮かべて。

「しかし、あの人、横島サンだっけ? ゆえってばさ、なかなかに難儀な趣味だったのねぇ…
 って、あれ? ちょっとちょっと… 考えてみたら、こっちはこっちで このかもそうじゃない」

 思い出したその事に、焦りながらもにんまりと口が歪む。 京都での事を思い返せば、やはり親しい友だちと呼んでいい木乃香も、少なからず気を寄せていたのは確か。

 早乙女ハルナと言う少女は、観察者としてあらゆるモノを楽しめる……良くも悪くも強い流れを求める嗜好を持っていた。

「大丈夫だって、私はゆえの味方だから。
 どっちにしても美味しいし…」

 ハルナの言葉も耳に入らず、夕映はただ俯いた。
 木乃香と一緒の件に、連想ゲームの様に仮契約が思い浮かび、契約した相手がもしもネギだったら、とまたしても想像の翼が羽ばたいてしまったから。
 その幻想に赤く染まり、思いの背徳さに苦しいくらいの鼓動を抑えて拳をぎゅっと握り締める。

 その様子すらも、ハルナには誤解を真実と認識させる。

 夕映の内心を知らぬ彼女は、こりゃあホンモノね、と描き残している原稿へと意識を飛ばした。
 今からプロットを弄って間に合うだろうか。 だが、この降って涌いたイベントは追加せねばならないのだ。 だから、間に合わせる、何としても。
 そう決意と思考が暴走する。

「よしっ んじゃあまぁ、私はジャマしない様にとっとと帰るわね〜
 ゆえ。 ガンバよっ」

 言いたい事を言い切って、ハルナは笑顔で去って行った。

 小さくなる彼女に向かって伸ばされた手が、そのまま力無く下がる。

「わ、私は…」

 自分がヤバい恋心を持っちゃってるんじゃないかとか、人格がヤバい男に惚れてると誤解されちゃったとか、想像した事も無い状況にテンパって夕映は白く煤けていく。

 穴が開いたような瞳で呆然と立ち尽くす彼女を、荷物を抱えた横島は横目で不思議そうに見ていた。

 

 

 

 部屋の中央に置かれた硝子テーブルをどけ、周囲に置かれたクッションも一旦ベッドへと避難させる。
 けして狭くは無い明日菜と木乃香の部屋だ。 敷かれていたカーペットも畳むと、小さいなりに必要なだけの空間が出来た。

「これくらいあれば大丈夫?」

「おう、姐さん、充分だぜ」

 そう言うと、カモは作ったばかりの空間へと魔法陣を描く。

「兄貴はこっちへ、姐さんは正面に、朝倉の姐さんと嬢ちゃんはそっちとそっちへ」

「のどかさん、朝倉さん手を。 反対の手はアスナさんと」

 ネギ、のどか、明日菜、朝倉と車座になって魔法陣の上に座り込む。 背が低過ぎるネギは膝立ちで、のどかは正座、残る二人は足を斜め後ろに流している。

「アスナさん、僕と額を合わせて下さい」

「えっ、えぇっ?!

 一歩間違うとキスでもしそうな体勢に、明日菜はズサッと仰け反った。
 そんな彼女をのどかが複雑そうな顔で窺う。 どう見ても、ネギの事を意識している様にしか見えないのだから当然だ。

「ナニ焦ってんのよ、アスナ。 ほら、ちゃっちゃとくっつけなさい」

「ちょっと、朝倉… イタっ」

 放した手でガシッと頭を掴んで、明日菜の額をネギのソレにぶつける。

「そしたら、姐さんも嬢ちゃんも、そこへおでこをくっつけてくんな」

 キシシ、と嫌な笑いを浮かべながら、カモの指示が更に飛ぶ。
 ネギと明日菜のくっつけた頭を挟み込むように、のどかと朝倉の額が押し付けられた。 勿論、手は繋ぎ直され円環を形作っている。

「では、行きますね」

「ハイ…」
「おっけ、やっちゃって」
「ちょ、ちょっ…」

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル、
 マーテル・ムーサールム・ムネーモシュネー
 ムーサ達の母、ムネーモシュネーよ…」

 詠唱に合わせて、魔法陣が光を放つ。
 浮き上がるような高揚感が包み、閉じた目蓋の下にも光が溢れる。

 はっと気付くと、周囲には見知らぬ町並みが広がっていた。

「って、きゃ…」

 のどかは小さく悲鳴を上げると、身体を丸めてしゃがみ込んだ。
 寒い訳ではないが、雪の降りしきる何処かの街中で、裸で立ち尽くしてるなんて状況では無理もない。 まして、目に入ってしまった御同輩二人との差は、ソレだけでも彼女に恥ずかしさを呼んでいる。

「何で、私たちハダカなのよっっ?!!
 このエロネギ、スケベガキ、ヘンタイオコジョっっ!!

 のどかに視線を向け、自身もまた全裸と気づいて、思わず胸と股間を手で隠しながら叫ぶ。
 何気にカモへの悪口な気もするが、カレへの明日菜の評価はそんなものでしかない。

『ス、スミマセン。 でも、これ、こーゆー仕様なんで…』

「ネギ君なの?」

 不意に聞こえてきた声に、3人は周囲をグルグル見回した。

 全裸とは言え、実際にはぼんやりと霞んでいる自身に気付いたからか、朝倉は自身より周囲への興味に瞳を輝かせている。
 いざと言う時には、一番肝が座っている彼女らしく、仁王立ちで身体を隠すそぶりも無い。

「あ… アレ、ネギ先生?」

 やはりと言うか、しゃがみ込んだままだと言うのに、その子供を目ざとく見つけたのはのどかだった。

『はい、そうです。 まだ3つだった頃の僕とお姉ちゃんです』

「あ、もう一人小さい子が…
 あらあらケンカしちゃってるよ。 けど、二人共ちょっと可愛いかも」

 その口喧嘩の様子は、まだ中学生に過ぎない少女たちの目から見ても微笑ましかった。
 それぞれに表情を緩ませた3人へと、ネギの言葉が続けて掛かる。

『幼馴染のアーニャです。
 そして、ここは僕がこの頃まで住んでいた村です』

「へぇ、ここが… で、どこにあんの、ここ? イギリス? それとも魔法界とかってとこ?」

『ウェールズです。 今は、もうありませんが…』

 その音ならぬ声音には、深い悔恨が刻まれていた。

 そうと気付いて3人は黙り込む。
 ほんのすぐそこで繰り広げられる、幼い日の微笑ましいネギたちの姿を眺めながら。

 

 

 

 恋心ではなく、尊敬に値する者への好意。
 そう気持ちを落ち付けてみたものの、何処かに何かが引っかかっているかの様に、夕映は集中出来ないでいた。 ただでさえ考え込み過ぎるクチなのだ。 刹那とは違うカタチで、しかし同じ様に深みに足を取られている。

「ナニを気を散らしている。
 昨日のお前は、もっと意識を集中出来ていたぞ」

「は、はい…」

 結局、帰り着いたのは、出てからほぼ一時間後の事となった。
 それ故に、中に居たエヴァ達にとっては、二人は翌日帰って来たと言う事になる。

「まぁ、いい。 二人共、そのまま続けていろ」

 お手本にと思って始めさせてみれば、夕映も夕映でどこか集中を欠いている。
 却って木乃香の方が意気が高いくらいなのだ。

 ちょうど視界の端に、荷物の整理を終えた横島と茶々丸の姿が入った。
 ずかずかと歩いて近付くと、頭一つどころでなく高い横島の襟首を掴んで、むんずとばかりに引き寄せる。

「おい、外で何があった?」

「へ? いや、これと言ってなんも無かったと思うけど」

「ふむ…」

 無理矢理 彼を屈ませたまま、顎に手を当てて考える。
 この男的に何も無かったとしても、綾瀬夕映にとっては何かあった可能性は有ろう。

「では、誰かに出会ったり、何かを見掛けたりはしなかったか?」

「ん〜
 あぁ。 戻りしなにハルナちゃん、だったよな?……あの乳の割と良いカタチの眼鏡っ娘には会ったぞ。
 けど、あの娘は関係者じゃないんじゃなかったか?」

 それを聞いて、何かつまらない事でも吹き込まれたかと舌打ちをする。
 とは言え、彼女たちはルームメイトだ。 遅かれ早かれそうなったとも思えるし、仕方ないと気持ちを切り替えた。
 夕映に関しては、予想より進捗は早いのだし、後で面倒だがカウンセリングの真似事でもすれば良かろう。

 それよりも、と視線をもう一人に向ける。
 やる気は上がっているのだが、あまり長くあのままだと逆に空回りにも繋がりかねない。

「それはそれとして、ちょっと訊きたいんだが…
 貴様の言っていた霊力同期。 アレは魔力では出来んのか?」

「さぁ?
 つか、こっち来るまで魔力っつったら魔族連中のチカラの事だったからなぁ、考えた事も無いし」

 二人が買い物に出ていた1日の間に、その可能性について考えていたのだ。 …話に聞いたソレが魔力にも応用出来ないものかと。
 勿論、究極的には自身の為になるのではないかと考えての事。
 もし、自分の魔力を数千倍にまで引き上げられるなら、今掛っている呪いなぞ簡単に振り解けるだろう。
 とは言え…

「それに、俺って魔力ロクに無いじゃんか。 何ともならん気がするぞ」

「お前に供給した魔力で、ならどうだ?」

「アレで、か? どうかなぁ…」

 もし成せるのなら、それはあまりにも魅力的なのだ。
 この男の能力から導かれる可能性は、明らかになってるモノだけでも異常と言って良い。

 考え込む二人の下に、気になったのか夕映と木乃香が近寄った。

「何のお話です?」

「む? 何だまだ続け… あぁ、木乃香への魔力供給が切れたか。
 まぁ良かろう。 実は、だな…」

 そう言って、聞き出した話を夕映たちにも話し出す。

「何と言うか、何でもありですね…」

「そやなぁ」

 その言葉には、呆れの色が強い。
 座学として聞かされた魔法と対比すると、無茶苦茶もいいところだ。 それこそ、魔法よりもよほど魔法じみている。

「そら、ウチらと出来ひんの?」

「今、エヴァちゃんにも訊かれたんだけどさぁ… はっきり言って判らん。
 霊力は端から持ってっからいいんだけど、魔力なんてどう扱ったらいいかまるっきし判らんし」

 霊力の方すらも、頭で理解して使っている訳ではないのだ。 あくまで経験則と感覚とで、何とか使えているだけ、なのだから。
 まして全く使えない魔力なぞ、どうしたらいいか解る筈が無い。

「と言うか、例えば木乃香と同期させる場合、このかの持ってる魔力と同等の魔力が無いと出来ないですよね、ソレって? このかの潜在魔力はこの国でもトップクラスだと、そう言っていませんでしたか?」

「確かにな。
 だが、こいつの話を聞く限り、同期させるチカラの多寡すらも、文珠によって制御している節が有るんだ。
 実際に行った一例として、同期後に自身側の霊力を上げる事で同期のパワーをも上げる、なんて事までしているんだ、このバカは」

 苛立ちをぶつけるかの様に、相変わらず掴んだままの手を上下に振って答える。
 その言葉に、夕映の眉がピクっと動いた。 それは、いくらなんでも理不尽に過ぎるだろう。

「それってなんか変なんか?」

 当人のこんな思慮の無さも癇に障る。

 しかし、だ。 きちんと考えると、エネルギー的に等価でないと起きないだろう共鳴を、同格程度の広い誤差範囲下で起こせているのだからイマサラである。

「…本当に、ナニモノなんですか、あなたは?」

 思わず零れた疑問に、ほわっと笑って答えたのは木乃香だった。

「横島さんは横島さんやえ」

 実際、それが一番この男の事を的確に表した言葉なのだろう。
 エヴァと夕映は、力無く顔を見合わせると苦笑した。

 

 

 

 【ねぇ、ネギ君、この先どうなるのかなぁ?】

 


 ぽすとすくりぷつ

 同期合体好きだねぇ、私(爆)
 まぁ、文珠の利用の中でもトップクラスの反則技ですが、遊び方次第だとも思ってるもんで。 勿論、戦闘とかに使うつもりはナッシング。 チカラにチカラで対抗するなんて、全くもって横島らしくないですしね(笑)

 後、色々押しが入っちゃってますんで、この先 掲載間隔が変動しちゃったらごめんなさい(__) 44も手が付いてる、程度の進捗でして…(^^;

 そいと、前回の文珠に関して、なんすけど…

 元々、私は誰にでも使えるって認識自体に違和感が強く有りました。
 GS原作で未来横島が文珠の複数使用に関して、「その分コントロールに超人的霊力が必要になる」と言ってるんですよね。 2個目以降はコントロールに霊力が要るけど、1個目は要らないってのは変に感じまして。 なら、書き換えにだって必要だろうと。
 丁度と言うか、原作で書き換えた(と思しき)キャラって、横島以外には美神におキヌ、高島と霊能者ばかりですしね。

 勿論、コレが正解だと言いたいのではなく、私は原作からこう解釈しましたって話ですよ(笑) 正解なんて、下手すると椎名先生の中にすら無い可能性も有りますから(苦笑)
 とまれ、そんな訳で私の書いてる物全てにおいて、霊力が扱えない人間には書き換えられない、がデフォルトになってます。


 
 

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