「問題は、横島さんだけに任せて大丈夫か、よね…」

 憂い混じりの言葉に、愛衣は首を傾げた。

「えぇと… 何が問題なんですか、お姉様?」

「近衛さんは、将来を嘱望される日本の魔法使いのサラブレッド。 いつか、東西を統括するかも知れない鳳雛よ。
 そして綾瀬さんは、友の為に命すら賭けられる、『立派な魔法使い』にすら届くかも知れないメンタルの持ち主だわ」

 本人たちが聞いたら、きっと苦笑を浮かべる事だろう。
 だが、愛衣にその言葉への異論は無い。 木乃香は言うまでもなく、京都で聞いた話からすれば夕映もまた尊敬出来る先輩なのだ。

 頷く妹分を見て、高音は拳を振り上げた。

「しかるにっ
 その二人を、あの『闇の福音』が、手を取って導くだなんて」

 あぁなるほどなぁ、と愛衣も漸く納得した。

 エヴァへの評価は、人界よりも魔法界の魔法使いの中での方がより悪い。
 何せ子供の内から典型的な悪役として、繰り返し繰り返しその悪評を刷り込まれるのだ。 悪くならない方がどうかしているだろう。

 逆に愛衣の様に人界で生まれ育った魔法使いには、必ずしもそれほどではない。
 何せ魔法使いの子と生まれても、魔法の事を知らずに育つ場合すら有るのだ。 そもそも一般人に接触する事が避けられない以上、戸を立てられない子供には言えない事が多い。
 言うまでもなく、『闇の福音』の話もその一つだ。 彼女が出した被害の大半は、征伐に向かった魔法使いたちやその従者・仲間たちへ、が中心なのだから。 真祖と括られる者にしては、エヴァが一般人に出した被害は驚くほど少ない。 基本的に反撃しかしていないのだから、当然かも知れないが。

 ともあれ、そんな違いもあって、愛衣は自身が見た範囲でエヴァを評価していた。
 だから、高音の危惧がピンとこないのだ。

「でも、大丈夫だと思いますけど?
 エヴァンジェリンさんって、言われてるほど悪い人には見えませんし…」

「え…?!

 妹分の口から出てきた言葉に、思わず思考が止まる。

 彼女とて、魔法界出身者と人界出身者の間に、意識的ギャップが有る事は知っていた。
 ただ、その差異を理解してはいなかったのだろう。

 固まり続ける高音を、愛衣は不思議なモノの様に見ていた。

 

 

 


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GS美神×ネギま! CrossOver Story
  ざ・がーどまん
          その40   
 
逢川 桐至  


 

 

 

「と、話が逸れたな」

 夕映の向ける何とも言えない視線に、楽しみに緩んでいた頬を引き締めてコホンと一つ咳をすると、エヴァは再び話の続きを口にした。

「さっき言ったが、契約のラインを通してお前たちに私の魔力を送り込めるんだ。
 そうやって強制的に魔力の高い状態を維持し、そのまま魔法の行使を行えば、普通に反復練習するより早い習得が見込める」

「あの…」

 夕映が手を上げて口を挟む。

「なんだ?」

「さっき、横島さんと話していた内容からすると、身体機能の底上げが主に感じられたのですが?」

「あぁ…」

 やはり頭の巡りは悪くないと、同じく発育のあまり宜しくないクラスメートへと笑い掛ける。

「本来、魔法使いの従者とは、呪文詠唱で隙の出来易い魔法使いの楯だからな。 当然、魔法使いではない事が多い。
 なれば、重点が置かれるのはどちらなのかは明白だろう?」

「なるほど、それならば当然ですね。
 では、マスターから送り込まれた魔力は、従者の魔力とする事も出来る、と?」

「ああ。 多用される使い方ではないと言うだけで、出来ない事ではない」

 そう言って、再び黒板へとチョークを走らせる。

「横島の霊力とやらはさておき、現在一般人ではない者たちが使う技能は、『魔力』と『気』そのどちらかに依存する。
 魔力とは、世界に充満するエネルギーを意志で従えた物、と言い換える事が出来る。
 対して、気とは自らの中に有る生命エネルギーそのものだ」

 カードの絵の様な彼の顔を描いた上から×を付け、続けてデフォルメされたネギらしき姿と、楓らしき姿を描き出す。 人選は、単に目の前の二人に判り易いと言うだけでのものだ。

「つまり、魔力は精神力に、気は体力に依存している、と言う事ですか?」

「おおまかに言やぁ、そんなもんだな」

 暇そうにしていたカモが答える。
 エヴァに顔を向ければ同意するように頷かれ、夕映は更に考え込んだ。

「…だとすると、何故魔力で体力が増強出来るのでしょうか?」

 聞く限りでは、基盤とするモノが違うのだ。 魔力と気、双方が出来る事を知らない彼女にしてみれば、疑問にも思う。

「簡単な話、森羅万象に満ちるエネルギーを基にしていると言う点で、どちらも同じモノだからだ。 取り出し方と使い方が違うに過ぎん。 単に方法論の問題だな。
 だから、魔法で体力を上げる事が出来るし、逆に気を用いて何も無い所に火を熾したり雷を呼んだりも出来る」

「ゆえっちは見てないだろうが… 京都の方の連中が使ってた陰陽術や、刹那の姉さんの神鳴流の技なんかは、モロにそっちだな」

 カモが補足するのを聞きながら、エヴァはチラリと一瞬視線を逸らした。

「え… せっちゃんがやってるゆう、あれ?」

 そこまで聞くに徹していた木乃香が、そこで口を挟む。

 かつて共に遊んでいた時には、既に刹那は神鳴流の修行を始めていた。
 そして本格的に取り組む為にと、彼女は木乃香と疎遠になっていったのだ。

「そうだ」

「そっかぁ…」

 大変やったんやろぉなぁ、と刹那の事を考える。
 今の木乃香が話を聞いてるだけでも難しそうな事を、あの少女は小さな頃から習得しようとしていたのだろう。 おそらくはあの時の事をきっかけにして、より強く。
 刹那の事情の一端を理解して、彼女は幼馴染へと思いを馳せた。

 その横で、茶々丸はエヴァに耳打ちすると歩いて塔の中へと向かう。 詰らなそうにしていたチャチャゼロも一緒に。

「さて、説明はこの辺にして、そろそろ実際に身体に覚えこませる段階に入るぞ」

「身体に覚え込ませるって、なんかヤラしい響きだなぁ」

 横島の余計なツッコミに、顔を赤くして怒鳴りつける。

「そこ、喧しいわっ
 とにかく、さっさと始めるぞ。
 システィス・メアエ・パルテース
  契 約 執 行。
 ミ ニ ス テ ル ・ エ ヴァ ン ジェ リ ン  コ ノ エ ・ コ ノ カ 、 ア ヤ セ ・ ユ エ
 エヴァンジェリンの従者『近衛木乃香』、『綾瀬夕映』
 ついでに『ヨコシマ・タダオ
 ついでに『横島忠夫』」

 チカラ有る言葉に、3人の身体が柔らかい光に包まれた。
 湧き上がる異質な感触に、少女たちから艶めいた吐息が漏れる。

「あ…」

「ひゃっ…」

「くっ… 木乃香ちゃんたちは中学生中学生…」

 二人の様子に、横島は思わず顔を逸らした。

 大の大人でも、時として子供の何気ない仕草に色気を感じさせられる事があると言う。
 まして彼ときたら、制御しきれない煩悩を抱えた青春真っ盛りの年頃なのだ。 色々な刷り込みもあって半端に構築されているモラルも、けして磐石なものではない。

「どうだ? 自分たちの身体に力が注ぎ込まれたのが判るか?」

 妙な葛藤に身を震わせる横島を面白そうに横目で見ながら、エヴァが木乃香と夕映へと問う。

「なんや、気持ちええゆうか…」

「えぇ、何と言うか、こうくすぐったいのですが、コレが?」

「それだぜ、ゆえっち。 ネンネにゃ、ちょっとキツイか?」

 ゲヘヘヘヘとエロオヤジ全開で答えるカモを踏みつけ、エヴァは横島へと顔を向けた。

「で、横島、貴様はどうだ?」

 それが知りたくて、必要の無い供給を彼にも行ったのだ。
 言われて気付いた様にポンと手を打つと、すぐにエヴァへと答が返される。

「あ… そう言われりゃ、いつもの萎える感じは無いな。
 なんでだ?」

「貴様が言っていた通りだったと言う事だろう。 そっちの二人同様、魔力の嵩上げだけを行っているからな」

「ああ、身体になんかしようってんじゃないからか」

 身体の中にナニカあるのは何となく判るが、ソレだけだ。 木乃香たちの様に、何らかの刺激を感じると言う事も無い。 この辺は霊能者と一般人だった二人との差かも知れないなぁ、と一人納得する。
 手で身体のあちこちを触れてみるが、横島には僅かな違和感すら感じられなかった。

 そんな様子を面白そうに見遣りながら、木乃香たちへと視線を戻す。

「そうだ。
 まぁ、そんなことはさておき。 近衛木乃香、綾瀬夕映。 杖を準備して、火を熾したいと願いながら唱えろ。
 『プラクテ・ビギ・ナル・アール・デスカット
 『プラクテ・ビギ・ナル・ 火よ灯れ 』と」

 そう言って詰らなそうに振られたエヴァの持つ短い杖の先に、ポっと小さな炎が灯った。

 

 

 

 それぞれ椅子に腰を降ろし、茶々丸がワゴンを運んで来てのティーブレイク。
 彼女が先に席を外したのは、この準備の為だったらしい。

 2時間近く詠唱練習を繰り返した。 だが、結果から言えば、二人は発動に至れていなかった。
 エヴァが疲れたと言いだしたので休憩に入ったが、達成出来ない不完全燃焼で徒労感は小さくない。

「なんや、なかなか出ぇへんもんなんやなぁ…」

 茶々丸が淹れてくれた紅茶を一口啜って、木乃香が呟いた。

「そりゃそーだ。 そんなに簡単に出来るんなら、世の中魔法使いだらけになってるってぇもんさ」

「まぁ、そうだな」

 器用にお茶請けのスコーンを齧りながらのカモに、エヴァも出来立てのソレにマーマレードを付けて食べると、カレに短く同意した。

 実際、如何に基礎的な魔法とは言え、その感覚が掴めない内は簡単に発動するものではない。
 一度しっかり感覚を掴めれば、その先は論理的な構成の解釈と基本的な呪文の記憶が、魔法習得における大きな比重を占める様になるのだが。
 木乃香も夕映も、今はそれ以前である。
 仮契約の瞬間に、自身からナニカが湧き出た自覚は有ったが、自発的に使おうとするには届かない。 夕映のアーティファクトも、そのラインを越えない事には有る意味 宝の持ち腐れだ。

「身体に送り込まれたモノを感じ取れても、動かすに動かせないのが、どうにも もどかしいです」

 ペタンと上半身をテーブルに投げ出して、夕映が呻くようにボヤく。
 判らないならともかく感じ取るまでは出来ているだけに、かゆいところに手が届かない様な苛立たしさを彼女は持て余していた。

「感じ取れる段階から始められるだけ、充分恵まれているんだがな」

「習うより、ムシャ、慣れろって感じみたいだし、ムシャ、まぁ、ガンバレ。
 あ、もう一杯お代わり」

「はい」

 能天気に茶々丸の給仕を受ける横島へ、じとっとした視線を夕映が向ける。

「他人事だと思って…」

「いや、実際 他人事だし、んく」

 意地汚く飲み食いする彼は、二人と違って お気楽さを隠さない。
 命じられて同じ事をやったのだが、何分、魔法を覚えなければならない切実な事情は、横島には無いのである。 出来りゃ便利だとは思うが、別に出来ない事への焦りなぞ有る筈も無かった。
 何より彼には文珠と言う奥の手もあるのだ。

「そう言や、兄さんに訊きたい事があったんスけど?」

「ん?」

「ネギの兄貴や ゆえっちを治した時、兄さんは何をやったんスか?」

 カモのそんな問い掛けに、しかし横島以上に反応した人物が居た。

「そ、そうです
 それで思い出しましたが、横島さん。 あなたは、なんて事をしてくれたんですかっ

「へっ?
 もしかして、何か問題が有ったのか?」

 ムクっと起き上がるなりの剣幕に、ナニカ大きな不都合でも起きたのかと横島の顔色が変わる。
 木乃香も自身が願っての事だっただけに、心配そうに彼女を見遣った。

 二人の心配そうな視線に見据えられ、夕映はソコで口を開いたり閉じたりしながら赤くなる。

「で、なにかどうしたと言うんだ?」

 中々続きが出て来ない事に焦れて、エヴァも口を挟む。

「それが、その…」

「なんやの?」

「えぇと、ですね…」

「何か問題あるなら、ちゃんと言ってくれんと」

「その、私の… ですね…」

 怒っていた筈なのに一転して もじもじとし出した夕映の様子に、最初に切れたのはカモだった。

「かぁっ、ぢれってぇ
 すぱっと、口にしちまえって。 別に横島の兄さんに惚れてるとか、そんなんじゃねぇんだろ?」

 周囲の顔が程度の差こそアレ、似た事を感じていると気付いて、夕映は思い切って口を開いた。

「その… 帰って来てから気付いたのですが…
 わた…私の、その… 下着が、合わなくなってしまっていたです」

「へ?」

「だから、その… 胸囲が増えているんですっ

 かくん、と少女たちの顎が一様に落ちた。

 そんな中、思い当たる節が無くもない横島は、彼女の身体をじろじろ眺める。
 しかし、視線は上から下へと、遮るものなくストーンと落ちた。

「どこが?」

「胸です、胸っっ
 お気に入りだったブラが、どれを着けてもキツくて、こんな事 旅行の前では無かったですっ!!

 真っ赤になりながらもそう口にした夕映だったが、いかんせん横島にはそれが認識出来ない。

 もし彼女が平均以上のスペックを持っていたのなら、出逢った時にその数字を読み取るくらいしていただろう。
 だが、この場に居る面々は、一人を除くと悲しいくらいに大平原の小さな胸なのだ。 …勿論、横島の視点でだが。 例外の茶々丸とて、そそられるほどではない。 まぁ、彼女の場合、構造的にもそれ以前だったりするが。
 ともかくそれ故に、そう言う方向へは欠け片の興味も惹かれなかった。 何年か後に期待、と言う所か。

 対して、少女たちには重大関心事だ。

「…それ、ほんま?」

「えぇ、今朝方どれも合わない事に気付いて自分で計ってみましたが、胸囲に+2cm強、胴囲に−1cmちょっとの誤差が発生していたです」

「そ、そないにも…?!

 額まで朱に染め上がりつつも、一度口にして開き直ったか敢えて数字まで口にすると、木乃香の顔が愕然としたモノに彩られた。

 数字が小さ過ぎると笑うなかれ。 夕映ほどの小さな身体では、その僅かな数字が けして小さくないのだ。
 単に胸囲の数字を上げるなら、それでも彼女は木乃香より5cmは少ない。 だがしかし、身長にして10cm以上体格差があるのだ、彼女たちには。 その僅か2cmほどの成長が、イコールだった二人のカップのサイズを1つ変えてしまっている。

 AとBの間には、深遠なる谷が挟まっているのだ。
 …少なくとも彼女たちにとっては。

 その話には、エヴァも少なからず気を惹かれていた。

「ほ、ほう… それは間違いないのか?」

「えぇ、何度も計り直したです。
 去年とついこの間までの差より大きい変化が、この数日で発生した以上、思い当たるのは横島さんの事だけです」

 言ってて悲しいが、それが厳然たる事実。

「んな事言われてもなぁ…」

 キツく睨まれても、何とも言い様が無い。
 渋々 木乃香から受け取ったイメージを思い返してみるが、如何せん足らない。 はっきり言って足らない。 どうにもこうにも全くもって足らな過ぎる。
 思い描いたビジュアルからは、公園で水遊びをして居る子供の様な微笑ましさしか感じない。

 だからアレに2cm足されたと言われても、横島的にはなんの意味も感じないのだ。
 彼にとって、C未満は板でしかない。 と言うか、本当に増えたのか、それすら怪しく感じる。

「それっぽっち増えたか…るぁ?!
 こ、木乃香ちゃん、ナニを…」

 プルプル震えた腕には しっかとトンカチが握り締められ、こめかみに筋を立てた笑顔が横島を見据える。
 抗議し掛けて、彼はすごすごと口を閉ざした。

「ゆぅたやろ、セクハラはあかんて…
 女の子には大事な事なんやえ。 横島さんは、デリカシーゆう言葉 覚えなあかん」

 見遣れば、エヴァも夕映もうんうんと頷いている。
 エヴァの足から何時の間にか脱出していたカモは、イヤな顔で笑いつつスコーンに夢中とのフリをしていた。 この分では助けてはくれまい。
 かと言って、残る茶々丸が味方をしてくれる筈も無いから、横島は全面降伏するしかなかった。

「えっと、その… したら、じゃあ俺はどうしたらいいんだ?
 その2cm減らせばいいのか?」

「…う゛」

 そう言われると、夕映も困る。

 全てのブラがキツくなって困っているのは事実だが、数字が増えた事それ自体は必ずしもイヤではないのだ。
 ほんの僅かでも、その変化は嬉しさへも天秤を揺らしている。 この男の手によってなされたと言う点、それさえ除けば望ましいコトですらあるのだから。

「と言うか、そんなに簡単に出来るものなのか?」

「いや、俺にもちょっと断言出来ないけど、胸から腹に脂肪を移したりとかなら出来んじゃないかと」

「ちょっ、それは…

 エヴァの問いに返された答は、更に看過し難かった。

 いや、自身の数字の変化を考えてみれば、元々お腹に有った分なのかも知れない。
 だがしかし、そんな事を今更されては、それはそれで余りに悲し過ぎる。

「…そやったら、ウチもお腹から胸にって出来るん?」

「木乃香ちゃんは、どっちかっつーと痩せぎすだから、しない方がいいんじゃないか?」

 それを言ったら夕映もだろう。
 ともあれそれ以前に、何かこう整形手術みたいなのは男としては好ましく感じないと言う意識もあっての事。 自然に育まれた美しいフォルムだから尊いのだ。
 女の子に言わせれば、夢を見過ぎだとか返されそうだが。

「ならば、成長させるとかなら、どうだ?」

「ん〜 瞬間的にっつうんなら、何年分でも出来るだろうけど…
 たぶん、完全に変化させるとなったら、『成』『長』とかでやってもそんなに育たないんじゃないかなぁ?」

 過去を思い返して、考え考え答える。
 無からナニカを産み出す様な大きな変質は、ほとんどの場合 時間制限付きだったのだ。 現状の夕映の場合、おそらく体積とか質量的には変化していない筈。 カタチが変わったと言うだけなので、制限が掛っていないのだと思われる。

 そう聞いて、やはりか、と呟きつつもエヴァは舌打ちをした。
 人の身の木乃香たちならまだしも、それでは不老の彼女には意味が無さそうに思える。

 それでもと頭の中にメモしていると、カモが横島へと問い掛けた。

「つか、少しなら出来るんスか?」

「あぁ、たぶん、だけどな」

 あっさりと彼は頷いた。

「兄さん… あんた、一体ナニモノなんスか?!

 らしからぬ真剣さに、木乃香や夕映の視線も横島へと向かった。

 彼女たちにとって、横島の異能も不可思議と言う点では魔法と何ら変わりない。 だがカモの様子から、どうやら違うらしいと感じたのだろう。
 実際には、概念の段階から異なっているから可能不可能の範囲が違うだけで、総熱量的に見たらそれほど優れてると言う訳でもないのだ。

「ナニモノっつわれても…
 俺はただのGS見習いだしなぁ」

 当人として真実そのものの言葉。
 それを、能力を知って尚 納得してしまうのは、やはり普段の彼の言動故だろう。

 

 

 

「あ、いたいた」

 横合いから声を掛けられ、ネギと明日菜は立ち止まった。

 STARBOOKSでの真名・楓・古菲との会談を終え、寝込んでいると言う学園長の見舞いに行こうとした道すがら。
 日曜、正午前の学校区画。 人通りが少ないだけに、誰が声を掛けてきたのかはすぐ判った。

 カメラ片手の、麻帆良パパラッチこと朝倉和美である。

「あ、朝倉さん、こんにちは」

「なに、またなんかの取材?」

 にっこりと挨拶するネギに対し、明日菜は何処か警戒心を持って尋ねる。

 悪意有ってではないが、時として彼女の行動は質が悪い。
 面白さが天秤に掛かると、悪ノリし過ぎる事がままあるのだ。 報道の為には手段を選ばない所も少なからずある。
 ピンポイントで捜していたとなると、少なくとも魔法絡みでだろう。 今となっては大丈夫だろうと思うが、さりとて無警戒と言う訳にもいかない。

 仔を守ろうとばかりに噛みついてくる彼女に、朝倉は苦笑を浮かべた。

「いや、そうじゃないけど…
 って、アレ? カモっちは?」

 目当てのもう一人が居ないと、周囲を見回して訊ねる。

「カモ君ですか? 今朝、いつもの様に出掛けてから、戻ってきてないんですけど」

「そうなんだ…
 そしたらどうしようかなぁ」

 彼の答に、考え込む。

 そんな様子に、明日菜はますます猜疑心混じりの視線を強くした。
 カモと朝倉。 このセットは既に一度、騒動を巻き起こしているのだ。
 彼女の警戒も当然と言えよう。

「ちょっと、今度はどんな悪巧みよ」

 ただでさえネギの秘密を知る者が、修学旅行を機に増えてしまっている。 あの夜の大騒ぎもその一端を担っているのだ。
 魔法の秘匿と言う看板は、しかし言葉だけでなく罰則をも持っている。 …筈だ。
 明日菜の持前の気性が、当人以上にオコジョへの道を警戒させていた。

 言わんとする所が読めたのだろう。
 朝倉は誤魔化すように笑った。

「え、やだなぁ、悪巧みなんてしてないって。
 ただちょっと、カモっちとネギ君に相談って言うか、お願いが有ってさ」

 そんな言葉に、ネギは子供っぽく首を傾げた。

「お願い、ですか?」

「そう。 …なんだけど、カモっちが居ないとなるとどうしようかなぁ。
 ま、どっちにしても、後で言う事になるしいいか」

「なによ、一体?」

 勿体ぶった言い回しに、明日菜は胡散臭そうな表情を隠さず見詰めた。
 物言いたげなその視線を意にせず、朝倉はネギに向き直る。 がしっと両手で彼の肩を掴むと、まっすぐ見詰めて話し出す。

「ネギ君さぁ」

「はい?」

「あたしとキスしてくんない?」

 にんまりと口を歪めた、チェシャ猫の笑い。

「は…?
 ぇえぇぇぇっ?!!

 一瞬キョトンとした後、二人は驚きの声を上げた。

 

 

 

 【続きなら、私が用意しましてよ、ネギ先生】

 


 ぽすとすくりぷつ

 例によって、説明部分は本作内においての以下略、ですんでご注意下さいまし。

 んでもって、気にしてる人の多かった夕映のアレ(笑)
 ここでは、カタログスペックから夕映・木乃香・刹那あたりは、揃ってAだと言う事にしてます。 つーても、B>木乃香>刹那>夕映>AAって差は有りますが(^^; あくまで胸囲の数字ではなく、カップの大きさって事で。

 それはそれとして、最近、A・Bパートで1話どころか、3回4回でも1話になったかな?みたいな感じになってきてる… 展開と増えた人数とで書く事も多くて、2回で一纏まりの構成、取れなくなっちゃってるのよね(^^; 文字数そのものは増やしてるのに…
 プロットから起したコンテだとそうでもないんだけど、書き進めてる内に追加された描写に合わせて、どんどん文章増えちゃっててなぁ。
 特に夕映とか、朝倉とか(苦笑) 逆に、高音ちゃんと愛衣ちゃんがその煽り食って、出が減っちゃっててねぇ… orz キャラの多様さはネギ原作の長所でもあるのだけど、引っ張られて冗長になってきてるよなぁ(^^; 3−Aの半分は無視ってるんじゃが…

 そいと別荘… 24倍って大き過ぎだわ。 外と整合しようとすると、すごく合わせ辛い…(T_T
 まだ、旅行明けの日曜の昼過ぎやえ。 37〜40で4〜5時間(爆) 横島たちには、+1日なんだけど。
 このペースやとGW終わるの、果して何回掛かるんやろなぁ…


 
 

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