勿論、図書館島のアレとは比ぶべくもない。
 規模と言う点で、轡を並べられる場所なぞ そうは有るまいから当然だ。

 だがここが個人の私邸……それも別荘であると言う事を考えれば、壁の中央を這うように埋め尽くしたこの本の群れは圧巻だった。
 吹き抜けになった中央の空間からは、3階までそれが続いているのが見える。 ジャンルに気を配っているからなのか、割と整った背表紙の並びが整頓した者の几帳面さを窺わせていた。
 それが、この家の持ち主なのかは判らないけれど。

 この様子に、図書館組の面々の顔は、傍目にも喜びに満ち溢れている。
 勿論、それは別に彼女たちに限った事ではないが。

 そんな一同へと、呟く様に詠春は口を開いた。

「彼が最後に訪れた、その時のままにしてあります」

「ふん…
 まぁ、ヤツらしいと言えばヤツらしいか」

 紅潮した顔を、それでも不貞腐れたように歪ませて、エヴァは嬉しそうに吐き捨てた。

 

 

 


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
GS美神×ネギま! CrossOver Story
  ざ・がーどまん
          その35   
 
逢川 桐至  


 

 

 

「なぁ、愛衣ちゃん」

「なんですか?」

「高音ちゃん、どうしちゃったんだ?」

 横島をして苦笑でそう尋ねたくなるほど、高音の様子は不審だった。
 キラキラと目を輝かせ、何処か足に地の着いてない様子で部屋の中を眺めているのだ。 普段の一歩退いた落ち着きも、まるで子供の様に消え失せている。

「ああ…」

 愛衣にも、舞い上がっている彼女の気持ちは判る。
 だって。

「この家は、サウザンドマスターと呼ばれた英雄のお家ですから」

「ふぅん… あのガキんちょの親父って、そんなに有名なヤツなんだ?」

「当然です
「ぉうわっと?!

 突然 口を挟んできた高音に、横島は思わず仰け反る。
 そんな様子を気に留めず、彼女は声高に話し出した。

「いいですか、横島さん。 サウザンドマスターと言えば…」
「ちょ、高音ちゃん。 声大きい、声大きいって」

「お姉様、落ち着いて」

 詰め寄って説明を始めたのを、横島と愛衣とで諌める。

「え… あ、私とした事が…」

 二人のみならず、周囲から奇異の視線を向けられていると気付いて、さすがに高音は頬を赤らめ沈黙した。

 離れた所から、「へぇ、ネギ君のお父さんって有名人なんだ」とか、呟きが聞こえる。
 彼女だけは一般人なのだから、詳しい話を聞かれる訳にはいかないのだ。

 尤も、ハルナはすぐに本棚の並びの方に意識を戻したが。
 日本語ではないものの、漫画までもがラインナップに入っていたらしい。

「…落ち着いたか?」

「えぇ… お騒がせしました」

 ぺこりと頭を下げると、彼女は二人を連れ部屋の中を眺める様に歩き出した。
「サウザンドマスターと言えば、『 マ ギ ス テ ル ・ マ ギ
「サウザンドマスターと言えば、『立派な魔法使い』の代表格であり、先の大戦で活躍し世界を救った英雄です。
 私たち魔法使いの中で、最も尊敬された真の偉人。 目指すべき憧れなんです」

 今度は小声……側に居る二人だけに聞こえるくらいの……で話を始める。
 小さい声音ながら、その口調は高いテンションを維持していたが。

 詠春とて同じく生ける英雄なのだが、剣士としての側面の方が強いからか、ナギへほどの憧れは無いらしい。
 その辺、高音は良くも悪くも『魔法の国』の住人そのものだった。

 そんな言葉を聞いた横島は、しかし気のない表情を浮かべる。

「ふ〜ん…」

「なんです、その気の無い声は?」

「いや、んな事 言われたってなぁ…」

 あの子供の父親となれば、いいおっさんだろう。 『立派な』なんて形容詞にも興味は無いし、それが男となれば、もう本当にどうでもいい事だ。
 横島にしてみれば、気の乗る様な話ではない。

 カチンときたらしい高音の視線から目を逸らすと、ちょっと外に出てるわ、と言って彼はその場からそそくさと退散した。

 

 

 

「このか、刹那君、こっちへ… 明日菜君も」

 2階から手摺り越しに詠春の声が掛かる。

「あなたたちにも、色々話しておいた方がいいでしょう」

 その言葉に、ハルナもプライベートに関る事だろうと、意識を読んでいた本へと戻した。 さすがにそこまで踏み込むほど傍若無人ではない。
 とは言え、階段へと向かう3人を気にしているのどかに、ほくそ笑んだりはしているが。

 朝倉は相変わらずソファへだらりと転がっている。 まぁ、彼女も彼女で色々と思う所が有るらしい。 らしからぬほど大人しくしている。

 高音と愛衣は、先程からの何処か観光地にでもいるような様子で、中をふらふらと眺めて歩いていて周囲に気を留めてる節は無い。

 残った面子を見るとなしに眺めて、夕映は内心で頷いた。

「のどか、私はちょっと花を摘みに行ってくるです」

「うん、わかった」

 やはり上を気にし続けたままの のどかにそう言い置くと、部屋の入り口へと歩き出した。
 本棚のある壁の裏に、そう言った水回りや階段、そして玄関が配されているのだ、この家は。

 部屋を出ると、トイレの前を通り過ぎそのまま外へ出る。

「横島さん」

 捜していた男は、ぽつんと置かれたベンチの上で、のほほんと日光浴をしていた。

「ん? どした、夕映ちゃん?」

「ちょっと、今、お時間 宜しいですか?」

 その言葉に、横島はちょいちょいと手招きを返す。
 それを承諾と受け取って、夕映は彼の横、少し離れた所にちょこんと腰掛けた。

 ぽかぽかの日差しが暖かい。
 どう切り出すか悩んで、少しだけその陽光を受け止める。

「んで?」

 口を開き掛けては閉じるを繰り返す少女に、仕方なく横島が口火を切った。

「その、ですね…
 昨夜、私はどうなっていたんでしょうか?」

 夕映は、一番気にかかっていた事をストレートに口にした。

 それに、一晩経って落ち着いたようだし、と横島もまた端的に答える。

「石にされた上で、お腹の辺りを砕かれて真っ二つ」

 それには、さすがにビクっと身を竦めた。 そうして、ぺたぺたとお腹の辺りを撫ぜ周す。

 朝、お風呂に入った時に見た限り、傷の一つも無かった。 既に、朝食も昼食も取っているが、そちらでの不具合も今のところ感じていない。
 しかし、だからと言ってそんな事になって居たと言われたら、彼女にしてもやはり不安は残る。

「ちゃんと治ってるよな?」

「…えぇ」

 その生返事に、横島は苦笑した。
 まぁ、記憶にあったとは思えないし、実感なぞ湧く筈も無かろう、と。

 夕映は夕映で、そんな事まで出来るのかと、そんな驚きにも思考が止まり掛けていた。

 横島がネギを治したと聞いているし、昨夜の言葉もあるから、自分も彼が治しただろう事。
 そして、修学旅行とは関係ない横島がここに居る以上、誰にでも出来る訳じゃないだろう事。

 それくらいの事は簡単に判る。
 それでも、あの少年との対峙やシネマ村での体験を経て尚、驚かずには居られない。

「ところで、なんで夕映ちゃんがあんな事になってたんだ?
 お守り、ちゃんと効いたと思うんだが?」

 逆に横島としては、ソレが気になっていた。

 ちょっとやそっとの魔法じゃ、あの『お守り』を抜けるとは思えない。
 魔法も幾つか見ているが余程のモノでもないと、魔族の攻撃すら抑えたアレを抜ける筈が無いのだ。
 である以上、発動したからには夕映に被害が及ぶ筈は無かった。

 だと言うのに、アレ、だ。

「はい、助かったです。
 あのお守りのお蔭で、のどかたちを無事 逃がす事が出来ました」

 改めてありがとうございます、と頭を下げる彼女に、横島は不審げに首を向ける。
 が、続いた説明に、かくんと顎が落ちた。

「アレが無ければ、あの少年を足留めするなんて、私には無理でした」

「はいぃ?」

 続けて夕映の口からぽつぽつと語られた状況は、横島の想定の斜め上だった。
 思わず頭を抱える。

 その結果としてのあの惨状なのだ。

「それやったヤツって、倒せてないんだよな?」

「聞く限りだと、その様ですが」

 少なくとものどかに聞いた限りでは、そうだ。

 その返事に横島は愕然となった。

 一般的な意味で頭の悪い彼にだって判る。
 明らかに異質なチカラを揮った文珠の所為で、夕映はダメ押しをされる程にそいつに警戒されたのだと。

 それは、彼女が完全に足を踏み込んでしまって、最早 引き返せなくなっていると言う事だ。

 そんな横島の様子を、夕映は不思議そうに首を傾げて見遣る。
 友だちを護る事が出来、結果的に自分も助かった。 だからそこで、らしからぬ事に思考が止まっていたからだ。

 そんな噛み合わない空気に包まれた二人に、玄関から声が掛けられた。

 

 

 

「へぇ、どれどれ?
 どれがネギのお父さんなの?」

 ネギを押し退け、そう言って明日菜は写真立てに手を伸ばした。
 写っているのは、小から大、少年から壮年までの見事にバラバラな6人の男たち。

「この人やって。
 大きなったらネギ君こうなるんかな〜」

 言いながら指し示されたのは、中央に並んだどこか悪ガキめいた表情の少年。

「15の時が20年前って言うと、今35かぁ…」

 年齢はともかく、悪いけどあまり趣味じゃないなぁ、と明日菜は口の中で呟いた。
 彼女の趣味は主に渋さの方に偏っているのだが、示された男は見る限り軽さ寄りだ。

 もう一度ちらりと眺めて、6人の中の一人に目が止まる。

「あれ…」

 写真からも窺える渋さ。 けど、それだけじゃない。
 何かが頭の中で引っかかる。 何処かで会った事があるような、そんなもどかしい既視感。
 それをカタチにしようと、再び写真立てを引き寄せようと手を伸ばす。

 が、それは果せなかった。

「あら?
 よー見ぃたら、クウネルさんちゃうかなぁ、これ…」

 そう言って、木乃香の手が先に掴み取ったからだ。

「近衛木乃香?」
「誰よ、それ?」

 彼女の様子に、エヴァと明日菜は不審げに尋ね掛けた。
 つい昨日まで魔法の事を知らず、ネギの父と自身の父との繋がりすら知らなかった筈の木乃香である。
 写真の中の残る4人とて、彼女が知り合えているとは到底 思われない。

 二人の問い掛けを無視して、木乃香は柵の向こうへと顔を覗かせた。

「なぁなぁ〜 横島さ〜ん、愛衣ちゃ〜ん」

「どうしたんですか、このかお姉様〜?」

 下から、すぐに愛衣が答える。

 彼女の木乃香の呼び方に、ハルナが邪な笑みを口の端に乗せた。
 その辺、朝倉も似た様な物だ。 視線を合わせて笑いあう。 二人共 悪い人間ではないのだが、時として質が悪くなる事がまま有った。

 そんな空気に気付かないのか、木乃香は更に言葉を続ける。

「ちょう二人して、こっち来て欲しいんよ」

「判りましたぁ。 呼んで来ますから、ちょっと待ってて下さいね」

 そう言って踵を返すと、愛衣はそのまま外に向かう。

「おい、高音・D・グッドマン」

「はい、なんです?」

 続けて上から掛かったエヴァの声に、首を傾げつつ高音は2階を見上げた。

「お前も来るといい」

 その為に来たのだろうとばかりに、言葉に反してその声音は命じる様な響き。
 溜め息吐いて頷くと、戻ってきた横島たちと2階へ向かう。

 すぐに上がってきた3人を、木乃香の言葉が出迎えた。

「なぁなぁ、横島さん、愛衣ちゃん。
 これ、クウネルさんやよね? ちゃうかなぁ?」

 そう言って見せられた写真の中。

「げっ、ホントだ。
 って事は、横に居んのがあいつの男か?」

 親指を立てて曰う彼に、愛衣は苦笑しつつも写真を凝視する。
 その点に関しては、興味があったからだ。

「へぇ〜 あの人、こう言う男の人が好みなんですね」

 そう言いながら彼女が見ているのはナギだ。

 筋肉兄貴なラカンやおじさんのガトー、血色の悪いマニア向けな詠春相手だと、ちと生々し過ぎるし美しくない。
 だが残る一人相手では、お稚児趣味になってしまうので、それはそれで面白みが足りない。

「ん? なんやん、そら?」

「あぁ、木乃香ちゃんはあん時 眠らされちゃってたから知らないか。
 あんにゃろは、女好きだが男もいける両刀ヤローなんだとさ」

 さぶいぼたてて、そう教える。
 その説明に、ほへーと木乃香は口をあんぐりと開いた。 せっかく、えぇ顔しとんのになぁ、と。

「もしや、図書館島の…」

 その様子を見ていて、何処で会った相手なのかに、同席していた刹那は気が付いた。
 彼女が知る限り、この3人が一緒に動いていたとなると、あの時しかないのだ。

 それに反応したのはエヴァだ。

「どう言う事だ? 横島、説明しろ」

「いや、前にさぁ、図書館島へ木乃香ちゃんに連れてって貰った事があんだけど。
 そん時、罠にかかりまくって落ちまくったその先で、クウネルっつうちょっちばっかツラのいい、悪ふざけの好きな変質者に会ったんだよ」

 『顔のいい』。 『悪戯好きの』。 『変質者』。
 そして、その写真の中の……つまりALA RUBRA
 そして、その写真の中の……つまり『紅き翼』の一人。

 エヴァならずとも、この6人を知っている者なら、それが誰を指しているかなぞ明白だ。

「こいつか?」

 勢い込んで、ナギの右に立つ男を指差す。

「へぇ。 エヴァちゃんも、あいつの事 知ってんだ?
 あの、おかしな司書とか言う真性の変質者」

 面白くなさそうなその言葉に、詠春は額を押さえて天井を眺めた。
 対してエヴァは、重い空気を纏って俯く。

「ふ、ふふ、ふふふふふ…」

 突然上がった、聞いてるだけでも気の弱い人間なら心臓麻痺を起こしそうな、そんな笑い声。
 言うまでもなく、彼女の口からソレは漏れ出している。

 と、不意に顔を上げた。

「詠春?」

「いえ、私も初耳ですよ、そんな話…」

 当惑気な様子に真実と見て、エヴァの怒りは遠い麻帆良の地に向かった。

「いつから棲みついていた、アルビレオ・イマ…
 いや、それよりもヤツがあそこに居座っていたと言うのなら、当然近衛の爺も知っていた筈だな。 つくづく私を馬鹿にしてくれる。 いい度胸だ、近衛近右衛門」

 髪がうねうねと逆立って、見るからに激怒していると解る。
 横島ならずとも、一歩退く。

「な、なんか、俺、マズイ事 言いました?」

「いや…」

 こそこそと尋ねられ、詠春は苦笑で返した。
 木乃香や彼の様子からは嘘とは思えないし、あの男ときたらこっそり隠れて笑いながらエヴァを眺めていたとしても、何ら不思議の無い性格の持ち主なのだ。 それは義理の父である近右衛門にも言える事で。
 彼にすれば、エヴァの様子も含め、苦笑するしかない。

 仕方なく気を取り直して、後発組にも説明を始めた。

「あなた方もこちら側ですから、まぁいいでしょう。
 この写真、20年前に撮られた私やそこのネギ君の父親とその仲間たちのモノなんです」

「と言う事は、『紅き翼』の?」

「ああ、あなたはご存知ですか。 その最初のメンバーですよ、それが」

 その答に、高音はガバっと写真立てを手に取った。
 愛衣も横からもう一度覗き込む。 彼女たちにとって、そのメンバーは憧れのヒーローなのだ。 特に、ナギは。
 あまり出回らない彼らの、それも活躍当時のモノとあって、特に高音にはこの写真は宝物にすら見える。

「…あれ?
 でも、これ20年前のなら、あの人じゃないのかなぁ?」

「アイツも魔法使いなんだろ? なら、なんとでもなんじゃないのか?」

 愛衣は時間の経過の前ですらそのままの容姿に首を傾げたが、横島は気にならなかったらしい。 そもそも人間だったとは限らないし、もしそうなら目の前のエヴァの様に不老って事だって有り得るのだ。 神・魔族にも知り合いの多い彼にしてみれば、別に珍しいモノではない。

 その様子を目にしつつも、詠春はネギへと顔を向けた。

「まだ少年だったナギと私やその写真の仲間たちは、かつての大戦を闘い抜いた戦友でした。
 それを撮った頃、20年ほど前に平和が取り戻された時。 その時には、ナギはその数々の功績から英雄……サウザンドマスターと呼ばれていました」

 たとい概略でしかなくとも、実際に父を知る者の言葉は、ネギにとっては砂漠の水にも等しい貴重なモノ。
 未だ続くエヴァの不気味な笑い声から耳を逸らして、詠春の言葉をじっと待つ。

「以来、私たちは無二の友だったと思います。
 私がこの京の都に居を移してからも、ナギはここにも定宿を持ち、時には共に戦う事もありました」

「あぁ、スクナの…」

 来る途中でネギが聞いた話でも、20年近く前だと詠春は言った。
 間違いなく、その時の事だろう。

「しかし…
 10年前、彼は突然姿を消した」

 その言葉に、怒りを露にしていたエヴァもがピクリと止まる。

「彼の最後の足取りを、彼がその後どうなったのかを、知る者は誰も居ません。
 …いや、もしかするとアルならば、何かを知っているかも知れませんが」

 組んでいた腕を解くと、顎へと右手を添える。

「失踪の直前にも、彼はナギと会っていたようですし」

「図書館島に居たって言う人がですか?」

 さすがに、父の手掛かりになると思えば、ネギは冷静で居られない。
 エヴァもその言葉を聞き逃すまいと、明らかに聞き耳を立てていた。

「えぇ。 確実に、とは言えませんが」

 その言葉に、ネギは両の拳を握ると目を輝かせる。

「私が知るのはそのくらいです。
 公式に死亡したとされた1993年。 あの時 私には、その真偽を確かめる事すら出来ませんでしたから」

 そう言って、詠春は小さく頭を下げた。

「頭を上げて下さい、長さん。
 それより、父さんの事、教えて下さってありがとうございます。 帰ったら、そのアルビレオさんの事も当ってみたいと思います」

 ネギもそう頭を下げ返す。

 そんな横で、木乃香は横島の袖を引いた。

「なぁなぁ、横島さん、なんや話判った?」

「おう。 もう、全然判らん。
 なにが散々どしたでネギトロ巻きなんだか知らんが、美女の話って訳でもないし、野郎の事なんか聞いてたってなぁ」

「横島さ〜ん。
 それを言うなら『サウザンドマスター』と『マギステル・マギ』ですっっ!!

 堂々と曰う彼に、愛衣がツッコミを入れる。

 その様子をどこかつまらなそうに刹那が眺めていた。
 どう接していいか判らないで、自身は距離を置いている。 それでも、木乃香の脇に誰かが居ると言う状態には、面白くないものを感じていたのだ。
 だが、それが理不尽な我が儘だとも、同時に彼女は理解出来ている。 それだけに、不甲斐ない自身への思いが顔に出てしまったのだ。

 一方。

「あの人ってさぁ… そりゃあ、凄いのかも知れないけど…」

 明日菜の目から見てすら頭の悪そうな彼に、彼女は思わずそう零していた。

 昨夜見たネギへのソレも、後から聞いた夕映を治したという話も、どうにも嘘臭く思われて来る。
 ただでさえ、魔法なんてものそれ自体が胡散臭いのだ。 ネギから齎されたものを中心とした魔法による被害まですら、夢だったんじゃないかと思えて額に手を当てた。

 そんな彼女の肩の上で、白いオコジョが前脚を振って言を返す。

「いやいや、アスナの姐さん。
 あの兄さんはあらゆる意味でスゴイんスよ、実際」

 カモの知る限り、彼は魔法使いの中に於いてですら普通じゃない。

「まぁ、スゴイわよね、イロイロと」

 カレの感慨なぞ理解出来ないから、彼女はそう零して苦笑した。
 どう見ても大した人間には見えないのだ。 ロクでもない、と言う形容詞なら頷けるのだが。

「…それは言い得て妙ね」

 明日菜とカモとの遣り取りを耳にして、疲れた様にぼそりと高音が呟く。 横島がバカな行動に出ないのなら、関係者とは言い難い彼女はここでやる事なぞない。
 …名残惜しげに写真立てを手離せないでいるのは、らしからず微笑ましいが。

 そんな様々な人間模様を眺めて、不意に思い出した様に詠春はネギへと再び声を掛けた。

「ああ、そうそう…」

 そして、すぐ脇の棚をごそごそと漁り、丸められた紙の束を取り出す。

「これを、君に渡しておかなくてはね」

「これは?」

 手渡されて、ネギは彼の顔を見上げた。

「ナギがこの部屋で何やら調べていたモノです。
 どうやら麻帆良に関連したものの様ですし、これらもきっと何かの手掛かりになるかと」

「ありがとうございます」

 小さくないソレを大事に抱き締めると、パっと明るくなったネギはもう一度頭を下げた。

 

 

 

 【おや、困りましたね。 ともかく続きへ】

 


 ぽすとすくりぷつ

 木乃香、アルに会ってますからねぇ、この話ン中じゃ(笑)
 どう言う理由でかは明らかにされてないけど、この20年前と全然容貌に変化有りませんから、気付かない筈も無いし… その辺、横島も愛衣も、ですけど。

 そして、エヴァも彼が麻帆良に居ると知ってしまいました。 学園長の未来も、ちょっと暗くなったかも(苦笑) いや、既に色々大変な訳ですが。
 前にアルの出番はもう無いと口走っといてなんですが、その辺は今後の展開次第と言う事で(__)

 しかし、人数が人数だけに、相変わらずロクに喋らないキャラが出るのがなぁ… orz
 次話、ぢつはまだ京都だったり…(^^;


 
 

前へ
戻る
次へ

 

感想等頂けると、執筆の糧になります。 お手数でなければお願いします。
  

タイトル

お名前をお願いします。
(任意)

差し支えなければ、メールアドレスをご記入下さい。
(任意)

ご感想・コメントをお願いします。

入力内容を確認後、下のボタンを押してください