「…話を纏めると。
 このかさんの案内で図書館島の地下へ潜り、罠に何度も掛かりまくって辿り着いたその先で、みんなでケーキを食べてきた。
 と言う事になるですが…?」

 自分で口にしておいて、その脈絡の無さに目眩いがする。
 だが、ソレはあっさりと肯定された。

「そうですー」
「お茶も美味しかったよ〜」

 さすがにこの二人では話にならないと見て、夕映は横島へと視線を向けた。

「まぁ、大体そーゆー事になっかなぁ…」

 話せない事が多いだけに、彼は歯切れ悪くそう頷いた。 肝心な部分を省くと、それしか残らないのも確かなのだ。

「そ〜そ〜 おかしな司書って変な人が居てね〜」
「みんなで ご馳走になってきたんだよー」

 そこまで聞いた夕映の瞳が、急に爛々と輝き出す。

 

 

 


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GS美神×ネギま! CrossOver Story
  ざ・がーどまん
          その20   
 
逢川 桐至  


 

 

 

「まさか、伝説の司書? 図書館島の怪人? 本当に実在してたですかっ?!
 何故に、私はその場に居なかったですっっ!!!

「のぉぁ… ロープ、ロープっ」

 やおらヒートアップして立ち上がると、夕映は横島の襟首を掴んでブンブン振り回す。
 何故かこう言う時 彼は力尽くで振り払うと言う事が出来ないから、なすがままになるしかない。

 それを助けたのは史伽。

「昨日、このかさんが言ってたよー
 他のみんな原稿描きだから、今日は一人きりなんだ、って」

 明確な答に、小さな身体がピタッと止まる。
 ぽいっと横島を投げ棄てると、やおら振り返って拳を握り締め宙へと叫ぶ。

「ハ〜ル〜ナ〜っっっ!!

 一瞬何事かと周囲の視線が集まる。 が、本人がすぐにストンと腰を下ろして黙り込んだ為、すぐに散っていく。
 ここ、麻帆良学園都市の生徒たちが騒がしいのは、いつもの事だからと言う事もあるのだろう。

「その司書もその司書です。 何故、私たちが潜る時に出ないですか。 人を見ての差別ですか、資本主義的分別ですか、確かに長瀬さんとでは絶望的な差があるですが、ならばパルとてそう負けては… いえ、そんなささいで記憶の彼方に忘れ去りたい事はともかく、そんな区別そのものが許せないです…」

 ブツブツ呟き出す彼女に引きつつ、ふと横島は気が付いた。

「あれ?
 って、事はこの子も探検部なんか?」

 首を向けてそう尋ねる。

「そうだよ〜」
「私たちのクラスだと、このかさんとゆえさんとのどかさんとハルナさんがそうですー」

 あっさりと返された二人の答に、う〜んと少し唸った後。 ま、いいか、と呟いて、横島は夕映の肩を揺すった。

「…全く許されざる暴挙です。 私たち学生は、不当な差別に対して力を以ってしてでも…
 って、えっ? あ… その、なんですか?」

 自身が彼岸の住人と化していた事に気付いて、顔を赤らめつつもそう聞き返す。

「木乃香ちゃんとおんなじで、夕映ちゃんたちも図書館探検部なんだって?」

「え、えぇ、そうですが…」

「そっか、なら…」

「ぅぇうっ?」

 突然取られた手に、思わず夕映が悲鳴を上げた。

「そ、その、お気持ちは嬉しくないと言うか何と言うか、私の好みとか心の準備とかの問題が色々有りましてですね…」

「おいこら、ナニ勘違いしてやがる。 俺はロリちゃうわっっ
 ともかく、ほれ」

 何気に酷い事を曰いながら暴走する夕映にツッコミを入れ、開かせた掌にポイっと丸い珠を乗せる。

「あんな目に遭うんじゃ大変だしな、気休めにでも持っときな」

「…これは? あ、このかが持ってたお守りですね。
 って、いえ、そんなにして頂く訳にはいかないです」

 今日会ったばかりの相手で、且つ木乃香やのどかが世話になったと言う相手でもある。 揚げ句、ジュースまで奢らせているのだ、遠慮せずに居られるものではない。

「あー ズルイですー
「ヒイキだヒイキ〜 横っちのセクハラ魔神〜〜っっ

「じゃかしいわっっ」

 先にソレの話を切り出した風香にしてみれば、当然文句も出る。
 が、ガーっと威嚇して、横島は再び夕映に向き直り。

「まぁ、それはそれとして…
 夕映ちゃん?」

「はい?」

 キリッとした真面目な顔で、尋ね掛けた。

「年頃で独身のお姉さんとか、居ない?」

 しーんとシラケた空気が流れる。

「いえ、いないです…」

 なんかもうどうでもいい気分になって、『お守り』を握り締めたまま夕映はテーブルに力無く伏せた。

 

 

 

 もう日も落ちて常夜燈が灯り出す頃合い。
 いつもの様にいつもの公園で横島たちと合流した高音が、いきなり彼へと切り出した。

「念の為に聞きますけど、愛衣に変な事はしていないでしょうね?」

 道路から一段上がった潅木の影の芝生の上、横島はガックリと膝を落とした。

「高音ちゃんは、俺を一体なんだと思ってるんだ?」

「だって、横島さんですし…」

 一応 妹分とは、毎日連絡を取り合って話を聞いては居る。
 …のだが、何せ相手は横島だ。

 性格的な事もあって、愛衣もそうそう彼を悪くは言わないだろう。
 だけに、高音としても問い質さずにはいられなかったのだ。 普段の態度が態度だから、横島の自業自得以外のナニモノでも無いが。

「ま、まぁまぁ…」

 どちらの気持ちも理解出来るから、愛衣は苦笑混じりで仲裁に入るしかない。

「中学生相手にンなコトしないっつーの…」

 しゃがみ込んでぶつぶつ呟く横島へ、「そうなんですよね…」と零し掛け、不意に気になった事を彼女は尋ねた。

「そう言えば、なんで中学生だとダメなんですか?
 長瀬先輩とか、高校生どころかモデルって言ったっていいくらいのスタイルなのに…」

 不思議では有ったのだ。
 楓なぞ制服を着て居てすら中学生には見えない。 そんな彼女には手を出さないくせに、ソレなりのスタイルなら年相応に見えない童顔でも高校生へはナンパに掛かる。
 無駄に高い識別能力があるにせよ、その明確な線引きは彼らしからぬとさえ思えるのだ。

「へっ? そりゃあ…」

 言い掛けて、ピクっと身を竦ませ固まる。
 高音と愛衣の不審げな視線の中、横島は続けてブルブルと震え出した。

「……あかんあかんのや、おかんにおこられてまうんじゃ… じぶんよりちいさなおんなのこをだまくらかしたりいじめたりするようながきは、せ、せせせ、せっかんふるこぉすやって…… ぃいぃぃいやなんやぁっっっっ、もうしませんもうしませんごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

 ぶつぶつと呟くその様子に、二人は顔を見合わせた。

「…なんか、トラウマ抉っちゃったんでしょうか?」
「と言うか、この人をここまで怯えさせる人って…」

 愛衣は学習した。 木乃香のような飴を使うだけでなく、度を過ぎた鞭もまた横島を制御する方法の一つだと。
 …まぁ、性格的にそう言う方法は彼女には取れないのだが。

 高音も学習した。 ただ、普段からやっている事を更にレベルアップさせるとなると、全力で掛かっても届かない恐れがあるのがネック。
 なにせ彼は、日々折檻に慣れていっている節が有るからだ。

 3様の理由で黙り込み、場に沈黙が落ちる。

 そんな彼らから少し離れた通り、それに沿って流れて来る沈黙を破る声。
 部活の〆でのジョギングか、ジャージ姿の女性たち……おそらくは大学部の……が走り抜けて行く。

 立ち上がりが早かったのはどっちだったのだろう。
 奇声を挙げ掛け突然飛び出そうとした横島と、アイコンタクトを交わすなり詠唱を始めた高音たちと。
シス・メア・パルス・ペル・トリーギンタ・セクンダス 
「 契 約 執 行 3 0 秒 間
 ミニステル・メイ・ヨコシマ・タダオ!!
 メイの従者『横島忠夫』!!
 ウンブラエ・ウィンクトス
「影よ、捕らえて

 本来なら身体機能を増幅する筈の呪文によって、宙を駈けていた横島の身体が急につんのめるように道路へと転がり掛ける。 他に類を見ない、契約執行による弱体化だ。
 そんな彼の足元から続いて湧いて出た影の繊手が、捲き付くように横島を絡め捕らえた。

 いつもの様に造られた影のす巻きを、愛衣が引き摺るように連れ戻しに掛かる。
 それを見て、高音が溜め息を吐いた。

「…ふぅ。 まったくあなたと言う人は」

「愛衣ちゃんまで、何故にぃ?」

「自業自得ですっ」

 彼女まで機嫌が傾ぐと救いの手が無くなるので、横島もイジケながら裡に篭ってグチる。

「相変わらず、特異体質だね、君は」

「うむ、本当にの。 契約執行で弱くなる人間を見たのは、わしも初めてじゃよ」

「学園長先生?」

 声を掛けてきた相手が誰かに気付いて、高音が驚いた。
 普段、あまり屋外で見掛ける事が無いのだから、当然ではあるが。

「なにか、また横島さんが?」

「えっ? もしかして、私が一緒にいる時ですか? すいません、全然気付けなくて…」

 実感の篭った言葉は、いつもの横島を振り返れば当然の事だろう。 何も問題を起こしていない時の方が、少ない彼なのだから。
 そんな不安そうな二人に、学園長は笑ってそれを否定した。

「あぁ、いやいや… そう言う事じゃなくての。
 たまたま出る用があったもんじゃから、ついでにちょいと足を伸ばしてみただけじゃ。 ガンドルフィーニ君とは、ちょい手前で一緒になっだけじゃしの」

「つか、なんで高音ちゃんも愛衣ちゃんも、俺がなんかしたってのを前提にしとんねん…?」

 足元でぴちぴち暴れながら、横島が抗議する。
 つい直前の自分の行動は、言うまでもなく棚の上どころか意識の端にも存在していない。 美人に出逢った時に、声を掛けたり抱き着いたりノゾキに掛かったりするのは最早習慣的な行動なのだ。 …最初のはまだしも、後二つは軽犯罪以外のナニモノでも無いが。
「取り敢えず、奥のあずまや
「取り敢えず、奥の 四阿の方に行きませんか? 立ち話もなんですし」

「おぉ、そうじゃの」

 ガンドルフィーニの言葉に、一同は簡素な木製の席へと着く。 学園長の指示で買いに行った缶ジュースで、薄暗い明かりの下 それぞれが口を湿らせた後。
 口火を切ったのは、やはり高音だった。

「それで、御用は視察と言う事なんでしょうか?」

「それも気を回し過ぎじゃ。 君らの尽力にはワシも満足しておるよ。
 ちょっとだけ連絡事項が有ったんでの、それが済んだらまた戻って書類仕事せんといかんのじゃよ」
 書類のくだり
 書類の 件でちょっと嫌そうな顔をしたものの、ほっほっほ、と笑って彼女の懸念を払拭する。
 高音も高音で、それなりにだとしても認められていると言われ嬉しそうだ。

「で、本命の用件なんじゃが…
 明後日、14日からの3日間、君らにはすまんが連続で仕事に当って欲しいんじゃ」

「あぁ、そうせざる得ませんね…」

 言わんとするところを汲み取って、ガンドルフィーニも頷いた。

「まぁ、その分ちゃんと払って貰えるなら、俺は構わないんすけど… それはそれとして、何でなんすか?」

 横島の言葉に、確かにと高音も愛衣も上司二人へと視線を向ける。

「ん? 横島君は まだ知らんか。
 実はの、年に2回ばかり、学園都市全体の電気系統 一斉点検を行っとってな。 今期のそれが、この15日なんじゃよ。
 表向きのそれに合わせて、魔法絡みの方の点検も行うんでの。 都市全域が、午後8時から12時まで停電する事になる。 言うまでもなく、警戒網自体にも ちっとばかり隙が出来てしまう。
 しかも、こっち側のチェックの為に人手が足らなくなってしまうんでな、君らにも手を貸して欲しいと言う事なんじゃよ」

 点検の言葉で、高音と愛衣は、そう言えばと思い出す様に頷いた。
 都市内警戒網の維持には、電気系統を必要とするシステムも多用している為、常よりも高いレベルでの警戒が要求される。 故に、使える人間はほとんど警邏に駆り出される事になるのだ。
 実際、前回の時も二人は揃って警備に周されている。

「へぇ… なんか大変そうっすね」

「そうだね。 警戒網に人手の問題で穴が開き易いから、いつもより忙しくなる事も有り得る。 当日は出来るだけ真面目にやって貰えると助かるよ、横島君」

「へぇ〜い」

 べちゃっとテーブルに潰れる彼を見て、高音と愛衣が仕方ないなぁと苦笑いを浮かべる。

 それでも苦笑い程度なのは、横島が実際にその場に立てば、それなりにちゃんと行動するだろうと理解しているからだ。
 半月程の短い付き合いだが、その間に けして少なくない比率で問題に出くわしており、それを共に処理していればこその信頼である。 なんだかんだで、愛衣のみならず高音との間にもソレは有った。

 横島も、二人に……特に高音に対するアピールも有って、相応にしっかりと仕事をこなして来ている。 彼がビビる様な相手ならともかく、これまで出くわしてきたのは雑魚霊クラス程度の相手ばかりだった、と言う事も有るのだが。

 そんな3人の様子を面白そうに見遣った後、ポンと手を打って学園長が横島に向き直った。

「そう言えば、木乃香が色々世話になったようじゃな。 手を掛けさせてすまんの」

「い、いえ、別に大した事はしてないっすから」

 言葉は確かに礼なのだが、何故か凄みを利かせてくる老爺に、思わずプルプルと首を振る。

「ならばいいんじゃが…」

 そう言ってホッと一瞬笑った後、学園長は片目だけ開けて再び横島を見据えた。

「ワシもアレの親も甘やかし過ぎたか、ちとぼーっとした所もある娘じゃてなぁ。 それでも、ワシらにとっては目に入れても痛くない可愛い可愛い孫じゃ。
 ちと心配し過ぎかも知れんがのぉ、大事なればこそワシも木乃香の周りに目を光らせぬ訳にもいかん。 判ってくれるな?」

 なんぞしたりした時には覚悟しろや、とばかりの笑顔に、横島は更にコクコクと頷いた。
 側で聞いている高音や愛衣には、とても口を挟めない空気が漂っている。

「さて、そろそろ仕事に戻らねばならん。 ではガンドルフィーニ君、後は頼むぞい。
 3人とも今日も気を付けてな」

 そう言い残して去るその後ろ姿を、4人は何とも言えない顔で見送った。

 

 

 

 【続きやったら… そやなぁ、そのうちなんとかなるんちゃうかなぁ】

 


 ぽすとすくりぷつ

 祝、高音ちん復活(笑)
 あぁ、長い雌伏の時だった……って、書いてるん私やん(爆)
 しかも、実際には何してるでないし… orz

 それとイマサラなんですが、ネギま原作では双子の語尾、伸ばす際には『〜』が二人共に多用されています。 が、この話の中では書いてる私の混乱を防ぐ為、風香は『〜』、史伽は『ー』と書き分けています(^^; 一人称とか、それぞれ違ったりもするんだけど、会話文だと見分けつかなくなる事も少なくなくてねぇ、この二人…

 次もちょっと間隔開いて、月末近くになると思います、ごめんなさい(__)


 
 

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