「どうですかい?」

 そう言って、燻らせた煙草の先をチッチッと振ってみせる。

 ニヒルに決めたつもりなのだろう。 だがそんな仕草も、小動物の姿では締まらないこと夥しい。

「…い、イタチが喋っとる」

 唯一その正体を知らぬ横島の呟きに、そいつは大袈裟に肩を落としてみせた。

「おこじょ妖精ですよ、アレ」

「おぉ、アレが魔法をバラした罰ってヤツか」

 愛衣の言葉に、横島は器用にポンっと手を叩いた。
 くどい様だが、彼は未だに す巻きのままだ。

 そんな横で、ガンドルフィーニがおこじょに話し掛けた。

「君は?」

「俺っちはアルベール・カモミール。 見ての通りのしがない おこじょ妖精でさぁ。
 気軽にカモとでも呼んでおくんなさい」

 そう答えて紫煙をフっと吐き出した。

 

 

 


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GS美神×ネギま! CrossOver Story
  ざ・がーどまん
          その12   
 
逢川 桐至  


 

 

 

「っとと、ちょっといきなり過ぎやしたかね。
 俺っちはネギの兄貴の使い魔をやってやす。 兄貴を追ってこっちにゃ来たばかりなんで、散歩がてらにうろついてたワケなんスが…
 たまたま通りすがりにダンナ方の話を耳にしたもんで、ついついでしゃばり口を」

 胡乱な視線に、慌ててカモは言葉を足した。

「ネギと言うと、ネギ・スプリングフィールド先生の事かね?」

「お、ご存知でしたかい」

 なら話は早いと、彼は顔を緩めた。

 ガンドルフィーニにしても、身元が確かなのならば任せる事に異存は無い。
 ネギは色々な意味で有名人だが、彼の居るこの関東魔法協会のお膝元でその名を騙りに使うのは、どう考えてもリスクの方が高いだろう。 それに、オコジョ妖精たちが仮契約執行によって報酬を得ている、と言う話も小耳に挟んでいたからこの申し出にも納得がいく。

「届け出は上に出してるんですの?」

「今日 明日にでも届ける予定っスよ。 俺っちも兄貴の立場は判ってるんで」

 高音のだめ押しに、ちっちっちと煙草を振って頷く。
 ここ麻帆良は、一般人も居る場だ。 こちら側の存在は、だから協会サイドで管理しておく必要がある。

「ふむ… なら頼めるかね?」

「え、それでいいんですか?」

「高音くんにしても、嫌な事はさっさと済ませたいだろうしね」

 申し分けなさそうな視線の先、強ばってる高音の姿に愛衣は微妙な表情を浮かべた。

「よっしゃ、決まったら早く早くぅ〜」

「おっしゃ、描き上がりましたぜー」

 嬉しそうにぴょんぴょん跳ねるす巻きの周りを、カモがぐるっと一周してあっさりと魔法陣を描き上げる。

「ささ、姐さんも、覚悟を決めてとっととブチューっと」

「ちょ、ちょっとは待ちなさい」

 そう言いながら深呼吸。 この状態ですら襲い掛かられそうで、どうにも近付くのが躊躇われる。
 そんな高音の気持ちに気付いてか、愛衣はちょっとだけ苦笑すると横島を背後から捕まえた。 今から代わると言っても、それはそれで受け入れまい。 なら、せめて彼の方を抑えておこうと思ったのだ。

「はう、背中にぃっ?!
 あ、あかん、愛衣ちゃんは中学生、愛衣ちゃんは中学生…」

 背後から抱き締められ、横島の奇怪な動きが奇態な悶えに変わる。

「お姉様、横島さんは押さえてますから、今の内に」

「わ、判ったわ」

 嫌々ながら、そろりそろりと高音が近付く。
 背中から正面に意識が戻った横島が、待ちきれなさそうに唇を突き出し、愛衣が引き摺られまいと足に力を篭める。

「やっぱり私っ」

「たぁかねちゅわぁ〜ん
「きゃあっ?!

 最後の最後で踏んばり切れずに逃げた高音を追って横島が飛び、当然しがみ付いていた愛衣も宙を舞う。

 3人が縺れる様に倒れ込んだ瞬間、魔法陣は輝きを放った。

「あっちゃあ〜 ナニやってんですかい、兄さん方」

 カモが呆れたような声を上げる。

 その視線の先で、しかし横島は緩みきった顔でデヘデヘと笑っていた。 両の頬を押さえて。
 高音と愛衣は、そんな彼から離れるようにさっさと立ち上がっている。

「かなりアバウトとは聞いていたが、これはまた…」

「俺っちも初めてっスよ、こんなん」

 カモとガンドルフィーニ、その二人が見詰めているのは、出来たばかりのマスターカード。 …但し、当然の様にスカ。

「従者が複数ってんならまだしも、マスターがってぇのは、ねぇ?
 いくらスカカードっつっても、普通は先にした方 優先の筈なんスけどねぇ…」

 それも、2枚。

「まさか愛衣ちゃんとまで… いや、でもまだ中学生。 高音ちゃんの唇も柔らかくて、でへへへ…」

 どちらも頬にだったのだが、横島としてはコレはコレでアリだった様だ。
 まぁ、除霊作業中の事故で触れただけで、呪いを打ち破れるほどなのだから、それがダブルだっただけで文句なぞ僅かにも湧かないのだろう。

「あの、先生…」

「何かね?」

「これって念話とか召喚とか出来るんでしょうか?」

 カードを手に取った高音の問い掛けに、ふむとガンドルフィーニは顎に手を当てる。

「どうだろう?」

 少し考えたがさすがに判らず、そのままカモに話を振る。

「さぁ、それくらいなら何とかなる気もしやすが…
 俺っちとしちゃ、出来りゃちゃんとした契約の方がいいんですけどねぇ」

 カモとてスカカードのまま契約を続けた話なぞ聞いた事がないから、自信なさげに答える。 それに何より、ちゃんとした契約でないと報酬が入らないのだ。

「なら、お姉様。 試してみたらどうですか?」

「そうね。 
 …いいですか?」

 愛衣の提案に、高音は一も二もなく乗った。 こんな事故みたいなモノで終われるなら、最善と言えるのだから。

 ガンドルフィーニも、彼女に負い目を感じてるだけに頷いて返す。

「済まないが、コピーをどちらでもいいから彼に渡してみてくれないかね。 礼なら後でこちらからするから」

「はぁ… そんなら、まぁ、いいっスけど。
 そいじゃ、そっちの姐さんのを」

 しぶしぶとカモが手渡したカードに、悶えていた横島の喜びは失せた。

「…なんじゃこりゃ?」

 まぁ、無理も無い。
 

Cut : shinさま

 デフォルメされた横島と思しき落描きの上に、こんな贔屓目に言っても悪口以外の何物でもない記述が載っているのだから。

『事実ばかりじゃない。
 それより、コレ聞こえてる?』

「誰が見た目通りの変質者やねんっ …って、え?」

『あぁ、良かった… ちゃんと聞こえてるんだ』

 声では無いと気付いた横島が見回せば、同じ様なカードを額に当てた高音の姿。

『このカードか?』

『少なくとも念話は問題ないみたいですね』

 言葉はすれども、彼女の口は動いていない。
 おぉ、と感心した声を上げて、横島は自分のカードをまじまじと見詰めた。

「あの、お姉様…」

「なにかしら、愛衣?」

『その、私の方へも届いてるんですけど…』

 そんな戸惑いが、横島の下へも声無く届く。
 愛衣自身の図案のカードではなく、出たばかりのもう1枚のマスターカード越しで。

『確かに愛衣ちゃんの声も聞こえてるなぁ』

「愛衣のとも繋がってるなんて?」

 高音の驚いたような言葉に、カモとガンドルフィーニも3人の戸惑いを理解した。

「どっちとも話せるんなら結構 便利じゃん、これ」

「そんなバカな?」

「つーてもなぁ… 実際、高音ちゃんと愛衣ちゃん、どっちとも話せてるし」

 ぽろりと煙草を落としたカモに、便利で良いとばかりに横島は笑って返した。

「これなら、別にこのままでも良くないですか、先生?」

 高音の提案と言うより懇願な声に、ガンドルフィーニも苦笑した。
 さすがに召喚は無理だろうが、確かに高音と愛衣、双方と横島が繋がるなら、これもこれで充分メリットたり得よう。 それに横島の事では、いくら上からの要請の結果とは言え、彼女に負担を掛け過ぎている自覚もあるのだ。

「けど、魔力供給とかロクに出来や、いや別になんでもないっス」

 カモの考え直さないかと言う言葉が、高音の視線で翻される。

「ところで、コレってアーティファクト出るんでしょうか?」

 初めて見たスカカードだ。 愛衣にとっても、興味深い代物に変わりない。
 そもそもスカのままにしておくなぞ、前提を考えればまず有り得ない事なのだから。

「さぁ? 俺っちには、何とも…
 それも試してみたらどうっスか?」

「それもそうね」

 当てが外れて投げ遣りなカモの答に、高音も頷く。

「んで、そのアーティファクトってなんなんすか?」

「契約によって、先に言った念話・召喚の他に、その従者専用のアイテムが手に入るんだ」

「はぁ、専用アイテム、ねぇ…」

 ガンドルフィーニの答に、ピンとこない横島は再びカードを眺める。
 道具と言われても、美神と違って身一つで全てをこなしてきた彼には、大した重要性は感じられないのだ。
「こう言うのです。  アデアット
「こう言うのです。 来たれ」

「ほほぉ、騎士団の制式箒とはまたシブイ物を」
 愛衣が自身のカードで取り出した『ファウォル・プールガンディ
 愛衣が自身のカードで取り出した『オソウジダイスキ』を見て、カモが感心したように呟く。

「知っているのか雷○?!

「誰が禿の大男っスか…
 こりゃあ、本国の異界国境魔法騎士団が採用してる制式箒とおんなじモノっスよ。 アーティファクトとしちゃ割とありふれてると言えなくもないが、逆を返せばそれだけ使い勝手がいいって事でさぁね。 発動体としては勿論、飛行用にも使える、なかなかの代物っスよ」

「で、こいつでも出せるんか、それ?」

「だ・か・ら、試してみないと解らないって話をしてたんです」

 カモの答に少し興味が出たのか。 横島のそんな問いに、高音が眉根を顰めた。

「アデアットと唱えりゃ、少なくとも正式なカードでは出るんスけどねぇ… 兄さんのみたいなスカカードじゃ、さすがにムリじゃねぇかと」

 その言葉に、横島が考え込んだのは一瞬。
 すぐに「アデアット」と口にした。

「な…?!

 内心では誰もが無理だろうと思っていただけに、驚愕の声が口々から漏れた。

「…って、なんでやねん?」

 横島の手に現われたソレは、いわゆる『ヒゲメガネ』。
 安っぽいプラスチックか何かのフレームの眼鏡に、塩ビか何かで出来た鼻と髭とが付いた、良くあるお子様用のお笑いアイテムだ。
 これで微妙で微かな魔力さえ漏れていなければ、その物だと言われても納得されただろう。

 硬直する彼に、愛衣が無自覚に追い打ちを放つ。

「お、お姉様…
 確か、アーティファクトって持ち手の本質に合わせた物が来るんでしたよね?」

「ま、まぁ、横島さんですもの。 こう言うのもきっと…、ねぇ?」

「彼の事だからねぇ、多少おかしくても、まぁ…」

「ツッコミどころ満載だが、なんつーか、すげぇ兄さんだぜ」

 思い思いの言葉が漏れた後、周囲の宵闇より深い嫌な沈黙が場に満ちた。

 例外は、

「コレが俺の本質? 俺の本質ってお笑いって事か? そうかぁ… はは… はははは…」

 と笑う、横島の虚ろな呟きだけだった。

 

 

 

 【続ける気かよ、オイ…】

 


 ぽすとすくりぷつ

 ホントは前回の内にここまで行きたかったんだよなぁ… なんでこんなに無駄に文字数喰ってるのやろか…?(T_T

 それはそれとして、やってしまいました、スカ アーティファクト(爆)

 これは勿論、念話とかもスカカードじゃムリじゃないかって気もしますが… まぁ、少なくとも原作に否定する描写は無さそうですし、魔力供給も僅かな間とは言え熟してますから、こう言うんもアリって事にしといて下さい(__) 明日菜の誤作動アーティファクトの例もありますし…

 つか、プロットに組み込んぢゃってるんで、外せないのよ(苦笑)


 
 

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