「それで、何故にこのよーな事になってるんでありましょーか?」

 何やら結界らしきものが張られた体育館。 周囲には数人の男性がたむろしている。 
 その中央に連れ出された横島は、困惑を顕に尋ねた。

「じゃから、おぬしがどれくらい出来るのか、実際に見せて貰うと言うたじゃろ?」

「もしかして…」

 笑顔のぬらりひょ……もとい学園長に、嫌な予感が走る。
 それを肯定する様に、タカミチが横島の疑念に答を返した。

「なに、ちょっと僕と立ち合って貰うだけさ。
 話を聞いた限りじゃ、君も結構出来るんだろ? 普段通りの力を出してくれればそれでいいんだ」

 こちらもまた、男臭い笑顔でそう曰う。

「な… 何故にぃぃ?!

 

 

 


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GS美神×ネギま! CrossOver Story
  ざ・がーどまん
          その3   
 
逢川 桐至  


 

 

 

 この麻帆良学園都市を擁するこちらの世界において、魔法的な術式行使を行う為のエネルギーは『魔力』と『気』の二つにおおよそ大別出来る。
 『魔力』は周囲・世界に有る万物の持つエネルギーを取り込んで己がモノとなすものであり、相対する『気』は自らの生命力を転嫁させて作り出すもの。

 対して、横島の世界に於ける『霊力』は、魂からのエネルギー供給だ。
 余談になるが、彼の世界に於いて『神力』『竜気』『魔力』のいずれも、規模はともかく霊力と同一概念上のモノであり、その差異は行使者の魂の在り様に伴う特徴的なモノでしかない。
 そして、その回復は主に周囲からの取り込みである為、そう言った点ではこの世界での『魔力』に近いと言える。

 だが、個々の霊能はそれぞれの霊能者個人々々に特化したものであり、ある程度共有される行使形態は有るものの、人によって出来ないものは全く出来ないのが普通。 モノによっては、完全な専用霊能すら有るくらいなのだ。

 その点こちらの魔法は、基本概念と呪文とを覚えれば行使そのものは可能である。 勿論、個々の力量や相性その他で、威力や発動時間などの多寡は有るにしても。
 そう言った面では『魔力』との差異は大きく、『気』に近いと言えよう。

 そんな具合にそれぞれの特徴を有するとは言え、しかしその概念は『魔力』や『気』とはまるで違う。
 故に、『魔力』と『気』が一般概念となっているこの世界では、『霊力』は発達を見せておらず、GSの様な霊能力者もまた居ない。 その為に言葉による伝達では、能力の概要すらきちんと推し量れるか微妙なのである。

 だから、横島の実力を図ろうとしたら、実践で確認する……この場合は実際に戦ってみるのが最も判り易いのだ。

 腰の退けている横島に、にやりと笑いながら学園長が言葉を続ける。

「現在、この学園都市には多くの魔法使いたちが、教師や学生として生活しておる。 彼ら魔法先生や魔法生徒たちの中には、その力をもってこの都市の治安維持に活躍しとるのがおってな。
 おまえさんもこちら側の存在じゃからして、同じ様に警備に当って貰おうと思うんじゃよ。 言うていた通りじゃと、荒事には慣れていよう?」

「そ、そりゃ、まぁ、GSはそう言う仕事やけど…
 そやかて何で異世界に来てまで、危険と隣り合わせにならなあかんのじゃ〜〜っ」

 イヤイヤと首を振り、手をバタバタとさせて、全身で拒絶する。
 元々荒事の得意な人間ではないのだから、本人にとっては至極当然な行動だ。

 とは言え、頭脳労働に向くかと言えば、知性はともかく知識と経験に欠け過ぎていて使い難い為、肉体労働を宛うしかないのが実情なのであるが。

「その代わり、と言ってはなんじゃが…
 君の能力次第で、給料に色を付けようと思う」

 学園長のその言葉に、横島がぴくっと反応する。

 どの道、学園長たちの世話になる以外の選択肢など無いのだ、彼には。 どうせなら、向こうよりもいい生活をしたいと思ってしまうのも、これまた当然だろう。

 がばっと起き上がると、横島は二人ににじり寄る。

「そ、それって、毎日牛丼喰っても平気なくらいっすか?」

「ほへ?
 うむ、そうじゃな… 1日1回くらい寿司を食えるくらいかの」

「や、やりますっ

 その勢いに、周囲から苦笑が上がった。

 尤も、横島の思考を覗き見れていたら、苦笑では済まなかっただろうが。
 何せ、学園長は出前の3000円くらいのソレを想定していたのに対し、彼の認識でのソレはチェーン店のパック詰めしたお寿司なのだから。 それでも、数日に一度の牛丼が贅沢だった横島にとっては、それは豪遊にも等しいのだ。

「よ、よぉし、やるぞ…
 とにかく、俺の薔薇色の生活の為にも、あのおっさんには成仏して貰わねば」

 少し離れた所に立つタカミチに、ちらりと目をやりながら横島は呟いた。 しっかりと腰が引けたままであったが。

「さて、横島くんの準備もいいようだし、そろそろ始めるかね?」

「そうですね」
「良くないけど、いいっす」

 同時に頷くと、二人は互いに目を向ける。

「出来れば、最初の一撃で終わりってのはナシにしてくれな」

「んなもん、やってみにゃ判らんっちゅうの」

 咥え煙草で余裕綽々のタカミチに対し、言い返す言葉にもどこか力が無い。
 元々、対人戦闘自体、経験が多いとは言えない。 まぁ、相手がおっさんだから無意識に手加減してしまうとか、そう言う事は無いだろうが。 ともかく、かつて口にして居た事だが、今でもケンカとかは苦手なのだ。 それ以上の修羅場にすら赴いた事が有る癖に。

「はは…
 それじゃ、もたもたしてるのもなんですし」

「そうじゃな。 時間制限は、取り合えず10分でいいじゃろ。 採用試験じゃから、双方それなりに実力を出す様に。
 それでは…」

 学園長が号令を掛けようとした瞬間、横島の姿が掻き消え。

「お姉さまぁ〜〜〜〜ぐはっっ?!

 奇態な叫びと共に結界の外れ……体育館の出入り口の前で、ガラスの窓にでも当ったかの様にベシャリと止まった。
 不意打ちかと身構えたタカミチの顔が、あっけにとられた後、苦笑へと歪んだ。

「あらあら…」

 潰れたカエルの様な横島の姿を見下ろしながら、おっとりとした声が上がる。 くすくすと零れる声と共に豊満な胸が揺れていた。
 誰と言うまでもない。 源しずな、その人だ。

コレが例の?」

 続けて蔑視混じりの視線をくれたのは、キャリアか秘書かと行った姿の知的な面持ちの女性。

 その隣には、呆れて物も言えないとばかりの表情をした修道衣姿の女性が並ぶ。

「僕、横島忠夫ですっ。 美しいお姉さまたちのお名前は?」

 あっさりと立ち直った横島が、越えられない壁を越えようとしながらも声を掛ける。
 まるでオアズケをくった犬の様だ。 それも鎖に縛られて、食べ物の目の前、後一歩の所で届かないと言った状況のソレに似た。

 ちなみに、彼女たちの後ろには黒人系のすらっとした長身の男性や、如何にもインテリっぽい眼鏡の男性、軽薄な感じのする困った様な笑顔を浮かべた若い男性や、ノートパソコンを小脇にした丸々と太った男性などが一緒に居る。
 …のだが、当然の様に横島の特殊な視界には入っていなかった。

「おや、しずな先生たちも、横島くんの事が気になったのかね?」

 横島の背後から、声を掛ける学園長。

「しずなさんって言うんですか? いい名前っスね」

「あら、アリガト。
 ガンドルフィーニ先生から伺っただけでも、なかなか面白そうな話でしたから。
 でも、高畑先生が相手をされるほどとは思いませんでしたけど」

 軽く笑顔を浮かべて横島をあしらうと、彼女はそう答えて学園長に頷いた。

 まぁ、未知の概念の能力者となれば、治安も担当する魔法先生としては見逃せないと言うのが一番の理由だと、この場の横島以外の誰もが知っては居るのだが。

「いやいや、こんな冴えないおっちゃんなんか、ぺぺぺのぺーですって」

「あら、頼もしい。 じゃあ頑張ってね」

「任せて下さいっ

 しずなに軽くあしらわれてる少年の姿に、並ぶ二人の視線はますます冷たくなっているが、そんな事を気にする様な横島ではない。

「本当に、この子が?」

「えぇ、刀子さん」

 秘書めいた女性の問い掛けに、ガンドルフィーニが疲れた様な何とも言えない微妙な表情で頷く。
 彼にしても、横島はどう捉えていいのか判らないのだ。 墜落現場でのアノ動きや、今目の前に現れた時のソレは確かにこのくらいの歳の少年にしては目を見張るし、遠目に見たあの光る何かも普通でないと認識させられる。
 だが、現在目の前で遮蔽された結界を乗り越えようと足掻く様子は、硝子の存在を知らずに突き抜けようとしている子犬の様で、知性か理性に何か重大な問題を抱えている様にしか見えない。

「学園長。 とにかく、さっさと始めませんか?」

 諦めと苛立ちを交えての言葉に学園長が頷く。

「ふむ、そうじゃな。 シスターシャークティの言葉は尤もじゃ。
 それでは、今度こそ始めようとするかの」

「シャークティさんと、おっしゃるんで? インドかどっかの方っすかねぇ? なんかもうオリエンタル美人って言うか、ぼくぁぼくぁもぉ…」
「はいはい、その辺で。 そろそろ私たちに、あなたが出来るトコ見せてくれる?」

「はいっ」

 嫌悪を顕にしたシャークティを遠ざけるように、しずなが割って入る。
 彼女の言葉に頷くと、横島はさっさと置いてけぼりを食っていたタカミチの正面へと戻っていった。

「では、始め」

 向かい合った二人に開始を告げて、学園長は結界の外へとするりと抜け出した。

 

 

 

 【続く……んだね、兄君】

 


 ぽすとすくりぷつ

 しまった…(^^;
 結局しずなたちを出したら、それだけで1ファイル分に届いてしまった(爆) ホントはタカミチとちょこちょこっと小競り合いさせて、で、そこそこ出来る事を見せて終わるってトコまで持ってくつもりだったのに… ちょっと違う程度ならともかく、倍近く違うのは好きじゃないのでブチりました。
 つーことで、若い女の子の出番は、その5になってからですな。

 それはそれとして予想通りとは言え、男の先生、名前出せずに終わってもーたなぁ(笑) まぁ、フルネーム判ってる魔法先生自体、学園長とタカミチとしずな、弐集院くらいしか居ないしねぇ…


 
 

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