独断と偏見の
まんがレビュー 2007年7月

2007年7月3日(火)
タイトル HONEY VOICE
著者名 おーはしるい
巻数 全2巻(BAMBOO COMICS)
出版社 竹書房
発行年 2006〜2007年
ジャンル 放送部ラブコメ4コマ
評価 ★★★  :放送部だった方へ。
ストーリー

 一条うららは、高校入学早々遅刻しそうになり、塀を乗り越えて校内に入っていった。そこを、放送部2年生のダミーこと高倉直樹に見つかってしまう。うららのかわいい声に惹かれたダミーは、うららを放送部に勧誘したのだったが…。

コメント

 私は、高校生の時に部員でもないのに、ちょくちょくと放送部の部室に遊びに行っていました。というのも、同じクラスの友人何人かが放送部員だったからです。また、上の学年の人とかもいましたが、結構まったりとしたところでついつい長居していました。

 なお、私の通っていた高校では放送部ではなく放送委員会と呼んでいました。ただ、委員会だけども活動は通常の文化系と同じでした。異なるのは、呼び出しなどの校内放送も行っていたことです。半官半民みたいな感じですね。そのためか、待遇は他の部活動に比べて良かったようです。

 というのも、放送委員会の部室と言うのは、他の部に比べて遥かに快適なんですよね。活動の関係上、CDプレーヤとかがあって音楽をかけることができたり、なぜか冷蔵庫とかありましたから。また、教室や部室にも冷暖房の無い高校でしたが、放送委員会だけは扇風機やヒーターがあったように記憶しています。さらに床はカーペットになっており、寝ころぶこともできました。

 私自身は放送部には所属していなくて、単に遊びに行っていただけでした。でも、大雨で登校時にずぶ濡れになった時などは、放送委員会の部室のヒーターで靴下を乾かしたこともありました。所属していないのに靴下まで乾かすとは、無遠慮にもほどがありますね。

 なお、その後は他の部に遊びに行くようになってから、放送委員会とは遠縁になってしまいました。

 そんなわけで、後述の放送部を舞台にしたこの4コマには親しみを覚えました。実際、校舎の窓から外に向かって発声練習をしたり、大会向けのテープなどを作っているのを知っていましたから。

 余談になりますが、この大会向けのテープを聞かせてもらったことがあります。普段関西弁の友達がこのテープでは標準語を話していました。内容は良く覚えていませんが、この関西の人間が標準語を喋るという違和感だけは今でも鮮明に覚えています。ちなみに、後述の4コマではテープではなくCDに録音してありますね。ここら辺に時代を感じてしまいます。

 そんなわけで、放送部が舞台である、おーはしるい氏の「HONEY VOICE」を紹介したいと思います。

 まず、絵についてです。絵はいつものおーはしるい氏の絵と少々違っており、若干線が細く多い感じです。特に目の描き方が異なるのは、掲載誌を意識してのことでしょうか。

 内容は典型的なラブコメといった感じです。主人公のうららはなかなか自分の気持ちに気付かず、またダミーは好きな子にいじわるをするためなかなか相手に気付かれない、という古典的な展開ですね。さらに、2巻では放送部だけにとどまらず、放送部と生徒会とが敵対するエピソードがあるなど、一昔前の学園ものを見ているような展開です。

 最大の特徴的はセリフのフォントでしょう。普通、誰がしゃべってもセリフのフォントは同じですが、この「HONEY VOICE」では各々のキャラの声質にあわせてフォントが変更してあります。

 普通の人は普通のフォント、かわいい声には丸っこいフォント、ダミ声にはかすれたようなフォントが使われています。きっと、詳しい方には正しいフォント名が分かるのでしょうけど、残念ながら私は知識不足のためフォント名までは分かりませんでした。

 著者のおーはしるい氏自身も放送委員だったということで、現役及び元放送部だった方にお奨めしますよ。もちろん、私みたいに部室に遊びに行っていた方なども。あと、典型的なラブコメが好きな方にもね。

 蛇足です。カバー下には表紙ごとに1コマまんがが収録されています。持っている方は要チェックですよ。

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2007年7月11日(水)
タイトル 東京奥多摩のヒカリ
著者名 磯本つよし
巻数 全1巻(YKコミックス)
出版社 少年画報社
発行年 2007年
ジャンル バイクまんが
評価 ★★★  :1980年代の懐かしさを味わえます。
ストーリー

 ヒカリはバイク好きで腕に覚えのあるの警察官。相棒のさんちゃんは、警察官でないもののヒカリのブレーン的存在。今日も、奥多摩で発生したトラブルを解決するため、バイクで奥多摩を駆け巡るのだった…。

コメント

 「水出し珈琲始めました」
と、いきなり「冷やし中華始めました」のような見出しで始まったりします。私は珈琲が好きで、いつも飲んでいます。パソコンに向かって仕事をしながら飲む事も多く、私の仕事には欠かせません。

 ところで、何年か前に水出し珈琲が流行ったことを覚えているでしょうか? この時、私も影響されて試したいと思いました。しかし、私が行く珈琲豆屋さんには手頃な水出し珈琲の器具がなく、そのまま時間が経っていきました。

 そして、つい最近のことです。近所のスーパーに行ったら、ハリオの「水出し珈琲ポット」が安売りしていました。サイズも2種類あり、どちらも900円を切っていました。まんが900円なら何の迷いもなくレジに持っていくのですが、それ以外のものはちょっと悩んでしまいます。が、結局買ってしまいました。

 結論から言いうと、買って良かったです。比較的安い珈琲豆で試したのですが、それなりの味が得られました。上記のハリオのサイトにもあるのですが、低温でゆっくりと抽出しているため、まろやかな味わいに仕上がっていました。

 実は、珈琲を淹れるのって意外と難しいんですよね。私はペーパードリップ方式で自分で淹れているのですが、その時々で味が変わります。なかなかうまく安定して淹れる事が出来ません。単に私の腕が未熟なせいなんですけどね。

 ところが、この水出し珈琲方式ですと、時間はかかりますが誰でも美味しく淹れることができます。実際、非常に簡単なんです。そのため、ペーパードリップ方式よりも、珈琲豆自体の味を確認するのにも適していると思いました。

 なお、ペーパードリップ方式で淹れている私として、ストレーナーがメッシュであることに懸念がありました。というのも、過去にメッシュ式のドリップや、金属製のメッシュ式ドリッパーを経験したことがあり、このときは珈琲の嫌な成分まで入ってきてしまっていました。細かい珈琲豆のカスなども除去されずに抽出されてしまいましたしね。

 しかし、これらのことは杞憂でした。お湯ではなく、水でゆっくりと抽出するため、いやな成分や味はでてきませんでした。細かい珈琲カスは一緒に抽出されてしまいますが、長時間置くことによりポットの底に沈んでしまいます。ポットが縦長なのでカップに注いでも、それらの珈琲カスは入ってきませんでした。

 買うとき散々迷いましたが、やはり買って良かったです。特にこれから暑いシーズンになりますので、冷たい珈琲を飲みのに活用できそうです。今も冷蔵庫で、このポットを使って水出し中です。

 なお、ホットが好きな方は水出しした珈琲を暖めてホットにするということもできるようです。ただ、うまく加熱しないと風味がとんでいってしまうので、要注意ですよ。私は加熱に失敗して、味がスカスカの珈琲風味のお湯になってしまいましたので。

 そんなわけで、缶珈琲を飲んでいるシーンが登場する、磯本つよし氏の「東京奥多摩のヒカリ」を紹介したいと思います。

 とりあえず、何の予備知識もなく読みました。もちろん、表紙からはバイクが関係するまんがであることは想像つきましたけどね。読んでみた感想としましては、
「懐かしい!」
という言葉が出てきました。これは良い表現をした場合で、悪く言いますと、
「古い!」
です。というのも、この「東京奥多摩のヒカリ」は1980年代の香りがするからです。

 実は、この「東京奥多摩のヒカリ」を読んで、あるまんがを思い出しました。それは何かというと、藤島康介氏の「逮捕しちゃうぞ」です。この「東京奥多摩のヒカリ」は「逮捕しちゃうぞ」の初期に良く似ているんです。「逮捕しちゃうぞ」の連載開始は1980年代後半でしたから、1980年代の香りがするというのもあながち間違いじゃないですね。

 キャラクターも熱い肉体派のバイク乗りのヒカリは夏美に、ちょっとクールで知的な4輪乗りのさんちゃんは美幸に該当します。さんちゃんは違いますが、ヒカリが警察官であるというのも同じですね。

 また、物語もこの2人のペアで、トラブルを解決するというパターンで成り立っています。ここら辺も同じですね。

 ただ、「逮捕しちゃうぞ」はバイク以外にも様々なホビーをネタにしていたのに対し、この「東京奥多摩のヒカリ」はバイクだけに絞ってあるという違いがあります。そういう意味では、この「東京奥多摩のヒカリ」は内容にあまり広がりがありませんでした。

 バイクに関連したものに絞るならそれで構わないのですが、もう少し色々な種類のバイク、例えばアメリカンから、オフロードバイク、サイドカー、変わったところでは電動バイクなどと色々広げてみればもう少し広がりがでたことかと思います。

 「逮捕しちゃうぞ」は街中が舞台でしたので、田舎という舞台をあまり活かせなかったのが残念でしたね。そういう意味では、「逮捕しちゃうぞ」を越すことができませんでした。

 なお、主人公のヒカリとそのライバルのマサの2人の間に出来た娘が、磯本つよし氏の別の作品である「東京クレーターのアカリ」とのことです。こちらはSFで、普通のバイクではなくエアバイクに乗っていますよ。

 そんなわけで、バイク好きの方、特にDUCATIがお好きな方にお奨めしますよ。

 蛇足です。カバー下には、カバーとは異なるまんが(?)が収録されていますが、どういうネタなのかちょっと分かりませんでした。持っている方は要チェックですよ。

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2007年7月26日(木)
タイトル いつも心に南風
著者名 丹沢恵
巻数 全1巻(BAMBOO COMICS)
出版社 竹書房
発行年 2007年
ジャンル 南の島4コマ
評価 ★★★  :まったりとした南の島の生活に憧れている方へ。
ストーリー

 南野風華は、観光で南国の小さな島にやってきた。その魅力に触れ、東京の仕事をやめて移住することにした。そんな風華の南国での生活が始まったのだった…。

コメント

 先日、NHKのBSハイビジョンで、「モーターサイクルダイヤリーズ」という映画を見ました。

 この映画、名前だけは知っていました。以前、単館系の映画を見に行ったときに、もらったパンフレットに近日上映する映画として紹介されていたからです。そこに掲載されている写真は、バイクに楽しそうに乗った2人の青年が描かれていました。そこで、私はバイクの旅に出た青年達の青春映画だと思っていました。

 が、見始めてみると大違いでした。途中でバイクは壊れてしまいます。旅こそ続けますが、バイクは登場しなくなります。何巻かは忘れましたが「さよなら絶望先生」で「モーターサイクルダイヤリーズ」のことを、タイトルと異なり物語の最初しかバイクは乗らない、みたいなことを描かれていたのですがその理由が分かりました。

 内容は、資本家達に搾取される南アメリカの先住民族の貧困を目の当たりにし、あの革命家チェ・ゲバラの心情の変化を描いた物語です。最初から最後までしっかり見たわけではなく、途中飛び飛びでみていたのですが、なんとも不思議な映画でした。

 私は元々のチェ・ゲバラの手記である「The Motorcycle Diaries(チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記)」を知らないので断定できないのですが、どうも理想的すぎるというか、一部の感情を意図的に省いているような気がしました。

 というのも、アメリカ合衆国の敵国キューバ建国の立役者を、イギリス・アメリカ資本で描く作品であったためか、本来もっとチェ・ゲバラ本人が考えたであろうことが省かれているような気がしました。そういう意味では後に形成されるチェ・ゲバラの政治的な考え方の形成についてほとんど触れられなかったのは残念です。

 話は飛びますが、革命の指導者というのはそれなりに裕福な家の出身が多い気がします。キューバ革命のチェ・ゲバラやカストロ議長しかり、ロシア革命のレーニンしかり。裕福な家の出身者であるということは、それなりの教育を受け、人間的な道徳心を身につけ、かつ自由に考える時間を持っている、ということなんでしょうね。

 貧困層の出身者の場合には日々の暮らしだけで精一杯ですし、教育を受ける機会を逸しているため、今の自分の暮らしや生活、社会を変えたくてもどのようにやったら良いのか分からない、はたまた変えることができるとも思わないのかもしれません。

 もちろん、単発的な一揆のようなものはありえるでしょうが、社会システム全体を変えるようなことは難しいのでしょうね。実際、日本でも明治維新の立役者というのは、結局上のクラス(階級)である武士達だったわけですから。

 この映画を見て、漠然とそんなことを思ったのでした。

 そんなわけで、旅で人生を変える事になった主人公がキャラの、丹沢恵氏の「いつも心に南風」を紹介したいと思います。

 タイトルからも分かるように、南国の小さな島が舞台となっている4コマまんがです。モデルは、竹富島とのことです。全般的に、のんびりとした感じが良くでているまんがです。

 ただ、単にのんびりとした良いところだけでなく、職がないので島の若者はみな島を出て行ってしまうという現状も描かれています。ここら辺は、島に限らず田舎全般にいえることかもしれません。反面、島の出身者以外の人が、この島の魅力に惹かれて移住してくるという不思議な矛盾もありますけど。

 余談ですが、主人公の風華が仕事でのイラストの送付や、ショッピングを全てネットで行うという描写があります。これって、結構的を射てると思うのですが、どうでしょう?

 というのも、都会よりも田舎、特に離島や山間部の集落などにこそ、高速なインターネット回線が必要だと思うんですよ。都会であれば本であれ、服であれ街中で、それこそ近所で買うことができますし、お店も沢山あります。

 ところが、そういった離島や山間部の集落ではそういったお店自体がありません。それを補完するのがインターネットだと思うのです。買い物なんかでもネットを通じてやればお店自体が必要ないですし、レンタルビデオ店なんかなくても、インターネットでテレビや映画を見られれば便利ですよね。

 ただ採算のとれないこれらの地域は後回しにされているのが現実です。プロバイダ等もサービスを展開しておらず、光ファイバーなどを自治体が引くところもあるようです。なかなか厳しいですね。

 そんなことを、光回線を引いている都会の人間は漠然と思ったのでした。

 そんなわけで、のんびりとした南国の生活を憧れている方にお奨めします。まったりと読むのが良いと思いますよ。

 蛇足です。カバー下にはあとがきが収録されていますので、持っている方は要チェックですよ。

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