(MOKニュース No.3 / 1995.2.14から抜粋)

 

大地震だ そのとき あなたは何ができますか?

 

ここで紹介する災害関連の特集記事は,「MOK」と「うめだ・あけぼの学園おやじの会」編集部との共同編集です。


今回の阪神大震災で被害に遭われた方々,そして現地にご親戚やお知り合いのある方には,心よりお見舞い申し上げます。連日メディアを通じてその悲惨さ,凄惨さが報告されてきました。しかし,よく見ると,障害者たちの動向はほとんど報道されていない。特に,知的障害をもつ子供たち・大人たちはどうしていたのか,そして今どうしているのだろうか。

今回の災害時におかれた,災害弱者とされる障害者たちの状況から,障害者問題と危機管理について考えたい。


瓦礫の街から (Nifty FEDHANから転載)

阪神大震災被害状況

同じ障害者の親として・・緊急災害アンケートの結果

ドキュメント 被災地の障害者たち!(Nifty FEDHANから転載)

直接,障害児・者を対象とした行政の主な対応

ヤッパリあった「災害弱者防災活動マニュアル」

高齢者の罹災率があまりに高い

自分の中のボランティア

イザに備えて私たちの危機管理

 


 

同じ障害児の親として…
緊急災害アンケートの結果


視覚障害者が地震で大きな被害を被ったと報道されています。幸い助かった障害児・者にとっても,彼らの生活基盤は大なり小なり破壊されており,特に知的障害児・者はその多くが過敏であったり,また薬に頼ったりするものが多いことから,彼らの受けた精神的なダメージは想像にあまりあるように思えます。

そこで,私たちおや(じ)の会では,緊急アンケートを実施。障害児を抱える親として「今回の災害を通じて考えたこと」「家庭で話し合ったこと」等を訊ねました。その結果浮かび上がってきたのは,障害の多様さと問題の個別性。各人の回答がそのまま誰にも参考になると言うことはないものの,それでも共通の課題がみえてきます。それは「障害」をもつという事の意味,「障害者」であるという事の困難。そして何より親としての力強い姿勢でした。以下は寄せられた回答の抄録です。

(アンケートにご協力いただいた,M養護,UA学園の在園生・OB,A養護H分校の保護者に,この場をお借りしてお礼申し上げます。)  


1.障害児の親としての不安,具体的に困るであろうこと

●抵抗力がないため,病気の蔓延と感染が心配 医療と薬,食事 (0,1,8歳)
●子供だけが生き残った時,離ればなれになった時 (2,6,7,9,13歳)
●集団の中や物音,人の声等に怯えてしまうので,避難所生活は困難 (3歳)
●危険への理解,避難,親を探す等様々な判断が子供の能力を超ている (3,6,8,17,15歳)
●集団生活への適応困難,他の人への迷惑   避難所で障害児であることが理解されにくい (3歳ほか多数)
●離ればなれになった時,朝夕のてんかん薬等の服用  大発作が起きた湯合の救急医療と,災害が長期化した際の薬の確保 (5,9,10,15歳)
●食事,水,風呂,トイレのガマン (6,9,17歳)
●子供から目が離せないので親の行動が狭められ,援助無しに避難,配給確保,復旧が困難 (6,10,15歳)
●偏食とこだわりがあり,平常でも健康管理が問題  自閉児にとって被災はあらゆるニガテが集約(6歳)
●万一のとき家族全員で死ねたらいいなあ,なんて思ったり,思わなかったり (6歳)
●学校では先生方がどこまで助けてくれるか,備えはあるのか  学校まで迎えに行くのが大変 (8,10,15歳)
●手をひくか,抱えて脱出できるか (8歳)
●普投でもトイレが問題 (8歳)
●他人に自分の意志や希望を伝達できない (8歳)


2.現在の備え、今後考えたいこと

●子供と家族に必要なものを再度検討,用意 (多数)
●判断力と運動能力が劣るので,親のケアが必要 (2歳)
●地域での日頃の付き合い  母親だけの時でも近所の人が支援してくれるよう,常に子供の存在と状態を知って貰う (3,6,8,9,10,13歳)
●水と3日分程の簡単な食料他を2袋に分けて玄関に  昼間は家族がバラバラなので避難場所を確認した (3,8,10歳)
●危険を認識でき,地震火事から逃れる術を教えたいが,具体的な方法は分からない (3,9歳)
●本人に薬と飲み方,連路先等を書いた紙を常に持たせる (5歳)
●東京から離れた実家などにも薬を備える (5歳)
●震災以後いつも「今ここで地震が起きたら」と考える癖がつく    災害を常に意識するのも一つの備え (6歳)
●避難所で迷惑をかけることを,プラス思考で受け止められるような心の持ち方 (6歳)
●予測される危険の整理,避難の段取り  家族のコミュニケーション (6,8歳)
●サバイバルを普段の生活に取入れる  アウトドア体験で生活の知恵を身に付けさせる (6,7歳)
●指示に従い我慢する事を学び身に付けさせる  そして役に立つ人になって欲しい (6歳)
●どのような災害にも対処できる備えなど不可能  災害にあっても負けないで生きて行ける強い精神力,生きる喜びを忘れない人間にしたい (7歳)
●名前を伝える等,自分の存在をアピールする躾 (7歳)
●処方箋のコピーの用意 (8歳)
●緊急用に携帯電話を購入したが,災害時は充分に使えないようでがっかりした (10歳)
●考えるべき,備えるべきのあまりの多さに,戸惑うばかり  衆知を集め,状況毎の対策を検討すべき (15歳)
●キャンプを通じて,災害時に役立つ道具の使い方をマスターしたい (15歳)
●今回の災害で力を発揮したパソコン通信で,ネットワーク作りに参加 (15歳)


3.行政・社会・学校等へ要望したいこと

●生命を守るための迅速な対応 (0,6,8,10歳)
●人材と資金面の充実 (1歳)
●生死に関わる場合,避弊場所でも医療の確保を (3歳)
●障害児の保護について,しっかりしたマニュアル  弱者から救済して欲しい (3歳)
●通園通学先にも薬を常備できる体制 (5歳)
●総合病院の耐震構造化,医療機関の整備 (5,8歳)
●災害時に限り医師の処方がなくても薬局からてんかん薬の購入が出来る特例法 (5歳)
●マスコミ情報に,知的障害者がなぜ出てこない (6歳)
●一番因っている人,弱い人の事から考えられる私達でありたい  その為に自身が困る事になっても,まず自分がそうありたい (6歳)
●非常時にはためらわず障害者名簿の公開を (6歳)
●知的障害者に,より早く,より多くのボランティア送り込み  平時よりの組織化 (7,8歳)
●障害児の所在確認と,家族と離れたときの適切な保護処置 (6,7,9歳)
●障害児・者とその施設の存在を認識してもらい,地域に溶け込める体制 (8,9歳)
●養護施設,作業所,学校の耐震耐火構造 (8歳)
●一人になった場合の,将来の生活保障(9歳)
●障害者の緊急施設・病院を全都道府県に早急に建設 (17歳)
●障害者も平等になるよう,福祉の充実 (18歳)
●障害者の被災情報の不足から,関係機関の危機管理への認識の低さが窺える (8歳)
●学校は大災害時の対応策を早急に検討 (8,10歳)
●災害時,養護学校を避難先として確保 (13歳)
●今回の教訓を生かして,個人の備えと同時に,国としての充分な備え (15歳)

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高齢者の罹災率があまりに高い

 

5千人を超える阪神大震災で亡くなられた方の過半は,60歳以上の高齢者です。そして,その死因の多くは窒息死でした。暗闇で激しい揺れにあったら,老人や幼児は1秒に20〜30センチしか動けないという実験報告があるそうです。とすれば,数秒で家が崩壊した今回の地震において,高齢者が自力で外へ出ることは絶対に不可能であったことになります。「高齢者の罹災率が高かった」ことは,ゾッとするような事実ですが,実は極めて明快な結論でもあるわけです。

災害弱者はお年寄りだけではありません。私達の子供達もそうです。たとえ生命は助かっても,災害時の被災者達に,平時のノーマライゼーションの論理が通用したのでしょうか?一歩進んで,災害弱者への譲り合い,手助けがなされたのでしょうか?危機の際の人間の行動や理性について,一体,誰が保証してくれるのでしょうか?今回の大きな災害は,障害者問題についての,いくつかの重要な問題を提起しています。

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自分の中のボランティア

 

日赤をはじめとして,各地で様々な団体が義捐金の受付けを行っています。障害者団体も,また障害児諸学校も義捐金や救援物資の受付けを始めたそうです。

新聞やテレビでは,震災の残した傷跡から立ち上がろうとする被災者の支援に,ボランティアが奔走している姿を報道しています。その中には,学生も,主婦も,またサラリーマンの姿もあります。

被災地から遠く離れた障害児の親である私達が,直接ボランティアに参加するには,仕事の面だけでなく外にもいろいろな制限があって現実的にはなかなか難しい面があります。しかし,現地で活躍するボランティア団体を資金的に援助することや,ボランティアに参加する人の後方支援ができるとすれば,それは立派なボランティアだと思います。実際に,緊急食料や物資の段階から(まだ充分ではないものの)ボランティアの活動資金,当事者の生活再建資金へと,ニーズは時とともに変化しています。大災害の復興は気の遠くなるような長期戦です。様々な形で,私達の仲間,被災した障害児・者や,その家族のために今後とも引き続き暖かいはげましの支援をしていきたいものです。

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