Last update 1999/03/01

5.感覚統合療法の実際
 1.感覚統合の発達 18new.gif (360 バイト)
 2.では感覚統合療法とは何なのか
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5.感覚統合療法の実際


1.感覚統合の発達

 次は,エアーズの発達表です。

0歳 1歳 3歳 5,6歳  

聴覚(聞くこと)

…… …… 話す能力,言語 集中力,組織力, 自尊心, 自己判断,自己抑制,自信, 教科学習能力, 抽象的思考, 推理力, 左右の特殊化
前庭(重力と運動) 目の動き,姿勢,バランス,筋緊張,重力への安心感 身体知覚,身体の両側の協調性,運動企画,活動レベル, 注意の持続性, 情緒の安定 目と手の協調,視知覚,目的的活動
固有受容器(節と関節) 扱う,食べる
触覚(触れる) 母と子のきずな,心地よい触覚
視覚(見ること) …… ……


 この表を見てもわかるように,一つひとつの感覚(表の左端)は年齢を追うごとにお互いにつながりあっています。
 そして,一番右端が「脳の最終産物」と呼ばれるものです。「脳の最終産物」は6歳以降にできるということになり,この次期に学校に行って,教科学習(国語や算数etc.)を始めるというのは脳の発達にとって当たり前のことなのです。と言うことは,それ以前にはいっぱい身体を動かしたり,いろいろなものに触ったりすることが子どもにとっては必要だと言うことにもなります。つまり,国語や算数ができなかったりというような子ども達は,その前の段階がうまくいっていないのではないかとエアーズは考えたわけです。

 


2.では,感覚統合療法とは何なのか?


 エアーズが唱えている理論の中で,わかりやすい2つの重要な点があります。

(1)『脳の上位中枢はそれ以下の下位の部分に依存する』

 脳の上位中枢を表の右端だと考えてください。そしてそれをピラミッドのようにつまれたブロックの一番上だと考えると,ピラミッドをきちんと支えるためにはブロックがきちんとつまれていなければなりません。下のブロックがぐらぐらしているといつ倒れるかわからないのです。

 つまり,感覚統合療法では,たとえば文字が書けないからといって文字の練習をするのではなく(それは教育として学校でやればいいのだから,学校の先生にお任せしています。),それができない原因をさぐって,そこを治療するわけです。

(2)『子どもは自分の神経系が成長することをよろこぶようにできている』

 誰も教えたりしないのに,子どもはいつのまにかどんぐり返しをやったり,砂遊びをしたり,ブランコに乗ったり,一人でぐるぐる回ったりします。そして,それは世界中どこの子もやっているし,大体同じ年齢でやっています。それらの遊びが自分を成長させていることを,子どもが知っているからなのだそうです。
 逆にかえせば,子どもがよろこばないことはまだ準備ができていないからだということになります。


 感覚統合療法は,この2つの理論を基に,子どもに必要な遊具と場所を提供していくものだと私は考えています。そこで,私は何をするのか?私はそのお手伝いです。

 感覚統合療法では,決まったプログラムは普通は作りません。なぜなら子どもがその日やりたいことを重視したいからです。もちろん目標はあります。しかし,それを無理にやらせるようなことはめったにありません。そのため,ただ遊んでいるだけではないか,保育園でもできるし,公園でもできるではないか,と言われることもあります。

 しかし,治療者と子どもの1対1(慣れると増えてくる)でやることに意味があるのです。この冊子で繰り返し書いてきたように,彼らはプライドが高かったり,怖がったりと集団の中では自由に遊べない子ども達がほとんどです。子ども達がもっている内的な欲求*を大切にして,彼らが自ら動いてゆくように援助していきます。人にやってもらうのではなく,子ども自身がやろうとする気持ちを引き出してゆくのが,感覚統合療法の第一歩です。


内的な欲求*
前述してように,子どもは自分の神経系を成長させることが何であるかを本能的に知っています。たとえ現在はそれが怖いものであっても「やりたい」という気持ちは必ずあります。それが「内的欲求」です。

 

(つづく)

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