Last update 1998/09/29
9)おもちゃをちらかすだけであそべない
9)おもちゃをちらかすだけであそべない
けんちゃんはいつもおもちゃをちらかします。輪投げをひっくり返したかと思うと,積み木の箱をひっぱり出して,パズルをひっくりかえし…,私とおかあさんはいつもお片付け。
ある日ふと,「今日はちょっとけんちゃんを見ていてみよう」と思いました。いつものように,けんちゃんは輪投げをひっくりかえし,積み木をバラバラにして,パズルを出して…。ところが,次にけんちゃんがしたことは,輪投げに戻ったのです。輪投げのところへ行って,ちょっと1つの輪に触ってみる。そして,積み木の1つを積もうとしてみる。でも,うまく積めないから投げる。パズルの1ピースを手にとって「何じゃこりゃ。」とひっくりかえしてみる…またまた輪投げに行って,今度は輪を両手で引っ張ってみる。でも,何の変化もないから積み木に行ってみる。積み木を2つ持ってカチカチ音を出してみる。「ヘエ,音がするんだ。」としばらくカチカチいわせて飽きがきたのか,パズルに行って今度はピースをかんでみる…。
「何だ。そういうことだったのか。」
私は初めて気づきました。子どもが1つのおもちゃで,10の遊びをするとします。しかし,けんちゃんは,いくつかのおもちゃを1,1,1 2,2,2 3,3,3…というようにして遊んでいたのです。私が片付けたことによって,けんちゃんは1,1,1のあと,「あれ,またなくなっている。」と(0,0,0に戻ったのですから),また1,1,1,そして0,0,0。またけんちゃんが1,1,1…。これでは遊びが発展するわけがありません。何と犯人は私とお母さんだったのです。
その日,私はおかあさんに言いました。
「おかあさん。片付けるのはやめよう! もしも,片付けなきゃならない情況になったら「危ないから片付けるからね。」とか「ご飯だから片付けようね。」って言えばいいじゃない。その時,片付けてもいいのなら,「いいよ。」って顔をするかもしれないし,もし,「だめ」だったら「だめ!」って,やってくるよ。きっと。」
その日から,けんちゃんの遊びはどんどん発展していきました。
残念ながら,私に大事なことを教えてくれたけんちゃんは,突然逝ってしまいました。しかし,私はいつも,けんちゃんのことをいろんなおかあさんに伝えています。あの日のことわ私は忘れないし,今でもけんちゃんは私の中で元気にちらかしながら遊んでいます。