Last update 1998/09/29

11)文字や絵をかこうとしない(鉛筆やクレヨンが持てない)


11)文字や絵をかこうとしない(鉛筆やクレヨンが持てない)

 小さな子どもは,関節を一つひとつ分離して動かすことができません。
 そのため,ペンを持たせても全部の指でにぎってしまい,手を机から浮かして肩の方から動かすようにして描きます。そして,その時には上半身全体に力が入っているから身体も机に近づくように倒れているわけです。
 身体がうまく使えない子も,小さい子と同様に上半身全体を使って描こうとしているのですが,私たちはどうしてもペンの持ち方にこだわったり,利き手にこだわったりして,ごちゃごちゃ横から口を出してしまいがちです。または椅子にちゃんと座ることとか,紙の中に書けとか。
 でも,小さい子は椅子にちゃんとすわって描くのではなく,ねころがって描いてみたり,床に座ってみたり。描くところもいろいろ。たとえば広告だったり,壁だったり,地面だったりするわけです。
 と言うことは,椅子に座ったりすることをやめてみたり,描く場所も変えてみたりすると,いいかもしれません。

 当園では,水性クレヨンを使って床や壁に描きます。あとで雑巾を使うときれいになるので,それもおもしろいし(自閉の子は失敗するとすぐ消せるようなものの方がよかったりもする),雑巾,つまり,平らな物を全部の指をひろげて使う練習にもなります。
 寝転がってもいいし,鏡に描くのもおもしろい。特に自分の顔のところに描いたりしてもいいし,自分の手をおいてなぞってみてもいい。
 また,ミラクルフォームという泡状の石けん(フォームのようなもの)もよく使います。鏡にぬりたくって,指でその上に描いてもいいし,ペンキ用のハケにつけてペンキ屋さんごっこをしてもいい(この時は,水を少し足してぬりやすくする。)。

 だから,いろいろなやり方を試してみましょう。何かを描くということが楽しいものだということをわかるのが一番です。
 お風呂で石けんだらけになって身体に描いたり,くっつけたり,窓に息を吹きかけて指で文字や絵を描くのもすぐに消えるし,楽しいようです。
 前述してきたように関節の分離した動きが苦手なのだから,どこかを支えてあげるのもいい。

 私たちが文字を書くとき,やってみるとよくわかるのですが,肩や肘,手関節は固定していて動きません。ペンが落ちないようにしっかり指先で持って,それでも指先を細かく動かして文字を書いています。これって,すごく難しいことです。私たちが何気なくやっている動作も本当はとても大変なことなのです。また,年齢が大きくなってからやろうとするので,ペンの持ち方などに,おかあさんの方がこだわりがちです。まずペンを持ちやすいものにかえたり,輪ゴムですべらないようにしたり,ほんの少し手関節を支えてやったりすることで文字が書けることがあります。

 FC(Facilitated communication)とか,ペンペン文字とかもこのようなことが元になっていると私は考えています。これについては別の機会に書いてゆきます。

 

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