Last update 1998/07/31
6.偏食について
6.偏食について
偏食というと,単に味の問題=好き嫌いで判断しているように思えます。でも,「納豆が嫌い」という場合,私たちはいろいろな説明をします。
たとえば,「あの臭いがダメ」「ネバネバして気色悪い」「べちゃべちゃしている」etc.。臭いは当然,嗅覚,ネバネバは視覚,べちゃべちゃは触覚…というように,ある感覚が嫌だから好きになれないということで,味覚,特に好き嫌いで選んでいるわけではないことになります。
子どもの場合も同じです。感覚統合に問題がある場合,それはいろいろな形で現れます。「言語発達が遅れている」ことが一番多いので,言語が遅れているだけだと思いがちですが,ではなぜことばが遅れているのかを考えてみてください。
脳性麻痺のように,身体に麻痺がある子は,そのタイプによって口の周囲や舌etc.に麻痺があります。しかし,感覚統合をしている子のほとんどは麻痺がありません。それなのにことばがでないのはなぜでしょうか。耳が悪いのですか?口蓋裂があるのですか?そうでもないときには,どう考えればいいのでしょうか。知的な発達が悪いから?知的なものも確かに関係がありますが,(聴覚的な理解という意味)それだけでは説明できないことがたくさんあります。
先に述べた納豆の話しを思い出してください。偏食はありませんか?「○○しか食べない。」とき,その○○をよく考えてみてください。共通点はありませんか。
(1)固いものが苦手
・かむ力が弱い
・口の中での触覚異常(あたる感触とか,ごわごわする感じが嫌い)
偏食:ヨーグルト,プリン,やわらかい麺類etc.を好む。
・固さの調節をしてみたらどうでしょうか。
(2)臭いの強いものは苦手
・別のもの(レモンetc.)をかけるなど工夫してみましょう。
(3)味の濃いものしか食べない
・味覚が鈍い
偏食:ラーメン,スナック菓子etc.を好む。生野菜,果物が嫌い。
・少しずつ味を調節しましょう。
(4)食べ物以外のものも口にする…
・赤ちゃんは誰でもそうです。口唇や舌の触覚が一番良いので,まずそれで確かめます。これは大切なことです。あせらないでゆっくり接してください。
・何でも口に入れ時期はそれで大きさの概念を練習しているという説もあります(私たちもトゲが刺さったりすると唇で確かめませんか?) ・味覚,触覚が鈍い。口の中だけでなく,身体の触覚が鈍かったり,痛みの訴えが少なかったりしませんか?身体がやわらかい子に多いのですが,身体全体での動きや手の運動が上手になると変わります。また感覚刺激をたくさん入れるために,しっかりお風呂で身体をこする(いろいろな物で)。圧迫刺激を与えるために,しっかりぎゅっと抱きしめてあげることも必要です。
・口で遊ぶもの,ラッパetc.を与えて,他の遊びへともってゆく方法もあります。
・口での遊びが足りない子はことばが遅れることが多いようです。
(5)食品のメーカーや色,形など視覚的なものにこだわる
・自閉傾向のある子は,固執,同一性保持欲求という独特の症状があります。
偏食:同じメーカーのものしか食べない。細長いもの(モヤシ,糸こんにゃく,
麺類)を好む。
・細長いものしか食べないときは,線状の切り方をする。
・親のほうがパターン化するような行動を避ける(帰りにいつも同じ店に行くetc.)
・食事時間を決めて,それが終わったら片付ける(食べないからといって,いつまでも置かない。彼らの方が頑固である。)
・食べものがパターン化してもあまりあせらない(結構変化する。)
*同一性保持欲求=簡単に言うとこだわり
私たちは,物を見るとき,左右の目を使って立体に見ることができます。それができない場合,ある物体は一方向で見たときしかその物体ではないということになります。自閉の子が親の顔がわからないというのも,おかあさんの顔が立体だからです。元来,自閉の子は新しいものを嫌がります。おかあさんの顔は角度によって,日によって,時間によって,服や化粧によつて毎回違うものに見えるのです。丸いものが好きなのは,丸はどこから見ても丸だからです。細長いものが好きなのも,より2次元に近いからです。
<ことばの問題との関係>
ことばが出ないと言うのも,口の中の触覚の問題かもしれないわけです。ことばをしゃべるためには,口唇の位置,舌の位置を記憶しておかなければなりません。触覚に問題があると…。偏食はそれのサインかもしれないのです(ことばだけの問題ではなく,全身にいろいろなサインが出ています。)。また,声をだすためには,息をしたり,つばを飲み込んだりしながらの高等テクニックが必要になります。鼻が悪いと,口はあけていることが多いので,息をすることで精一杯ということになりがちです。
身体のバランスの悪い子はことばが遅れます。私たちは普通1才で歩きはじめ,それ以後ことばが増えていきます。それは歩くまでの脳は転んだり,落ちたりしないように身体を守るために働いているからです。歩きはじめることにより,はじめて脳にゆとりができます。そして言語中枢が作られるのです。
また言語中枢は普通左側の脳にできます。これは私たちが右手を利き手として使っているからです。つまり,利き手が決まっていないと言うことは,言語中枢も中途半端だということです。左利きの子を右手に直すと,脳はどうしていいかわからなくなります。これもあせらずによく使う手を利き手にしていきましょう。
また,情緒を安定させることも大切です。怖がりの子(ゆれるものとか高いところとか,そのような重力に関する遊びを嫌がる,頭の位置が変わるのを嫌がる=重力不安)は,重力の中で自分たちの身体を守るので精一杯です。先に述べたように,脳にゆとりがないと言語中枢はできにくいのです。
楽しく,おだやかに,ゆっくりがこつです。