倉庫がアトリエ・洋画家張恩利さんを訪ねる
私には余計な物がたくさんついている気がした。


 上海の画家張恩利氏は言った。「…抑圧、制圧を受けることで創作のエネルギーが沸き上がる…」彼のアトリエは冬の柔からな陽射しの中で、ある時同様とても穏やかだった。

 ひとつ、ひとつ作品を丹念に眺めてみる。彼が言う抑圧とは文化大革命を指しているのだろう。後で張氏がまだ36才だと聞いて、愕然とした。

 何かにあるいは誰かに抑圧されて自らの表現を変えることなど、僕にとっては書物の中の寓話であり想像すらできない。この国の歴史を思い返してみると、まさに抑圧の歴史ではなかったか?

 巨大な西洋国家によって、あるいは急速に台頭したアジアの軍国主義によって、あるいは内的な紛争によって、この国の民衆は抑圧されてきた。

  だからこそ、そのふつふつと内在した負のエネルギーの逆流によって、優れた芸術がうまれたのではないか?張氏は続ける。「私はこだわって黒を使う。黒は抑圧されてきた中国を象徴する色だ。使用することを禁じられた色だ。だからこそその黒にこだわって絵を描きたい…」

 アーティストがある意図を持って作品と格闘する時、その武器ともなるものが、心身の鍛練と技術の修練である。

 張氏は朴納ではあるが、丁寧にひとつひとつの質問に答えてくれる。やさしい人柄がにじみ出ていた。

 テキスト・山根登





左上図 上海倉庫アトリエ 張恩利氏と毛丹青
2001年12月1日撮影





< < B a c k







Copyright(C)