授賞式での毛丹青 撮影 玄番小雪 神戸オークラホテルにて
ブルーメール文学賞授賞式での毛丹青 (撮影・玄番小雪/神戸オークラホテル)






















推薦の言葉(馬部貴司男)

   賞の対象に決定した「にっぽん虫の眼紀行」は、なによりも、「文化大革命」と いう、激動の時間を体験した一人の中国人として生まれ、留学生活に続いて社会 人生活を過ごしてきて十二年の毛丹青氏によって書かれた。

   「ドラゴンより虫の眼が好きだ」という、中国人青年のことばは、「近代百年」 の中で、逆にさまざまな矛盾を増幅させてきた日本人にとって、まさに横っ腹に 鋭いメスを突き付ける。このメスは鋭いばかりではなく、森の巨大の小さな葉裏 を這う小さな「虫」のような「やさしさ」をもっている。

   彼の作品で、「いつの間にか風が吹いてきた。(中略)桜で覆われた川のまばゆ さはまるで鋭い剣の刃のように煙雨の中で輝きを帯び、私を驚かせた。高瀬川で の花見がここまで私を感動させるとは、まったく予想外で、自分でも驚いた。と 同時にまた、一種の判然としない震えが足元から全身をかけぬけた。」という下 りがある。

   震えが駆け抜けたのは私の方であった。それは、「近代百年」の嵐をくぐりぬけ たはずの私たち日本人であった。この百年が、知らぬ間にさまざまな矛盾を増幅 させたことに気付かぬ私たち日本人の横っ腹(国際語である、“民主主義”も 「天皇制」というおぞましいブラートさえ脱ぎきれない私たち日本人の横っ腹) に突き刺された。





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