受賞発表の月刊誌
  受賞発表の月刊誌『神戸っ子』1999年3月号


選考委員

竹内和夫(作家)
島京子(作家)
馬部貴司男(作家)


選考経過

  小説では、生き生きとした表現力を持つ『慕母の海』の水嶋元、小粒な作品を地 道に書き続ける『下駄のころ』の天野政治、企業内の人事をめぐる話を巧みに描 いた『心ならずも』のくろだひろし、安定した実力の『桜は今年も咲いた』の駒 井妙子が候補に挙がった。『シンプルライフ・シンドローム』の荒木スミシは反 復法の多用が気になるが、リズム感のよさ、誘い込むような文脈の流れで現代の 若者像を描き、次作に期待大。戯曲では、『猫からの手紙』の渡辺鶴が震災体験 から「いきる」ことを主題に書き、充実した作品となっていた。エッセイで、短 編小説としても十分通用するとして、毛丹青の『にっぽん虫の眼紀行』が圧倒的 な支持を得た。彼は、かつての「ドラゴンの眼」(中国的な大きな視点)を捨て 去り、一個人、一中国人として「虫の眼」で日本を探訪することで極めて日本人 的な感性に近づき、微細な観察で陰影のある文章を生んだ。日本文学に大きな財 産を与えてくれたと評価され、授賞が決定した。(文中敬称略)





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