莫言さんの直筆



『雪と餅』(日本語訳)

   一九九九年十月二十八日九時三十分、称念寺のご住職伊勢徳さんのお招きにいただき、徳風保育園の子供達に「雪と面餅」という物語を話し、毛丹青先生に日本語に通訳していただきました。ご住職のご招待に預かり、感謝の気持ちを表すため、記念としてこの物語を書き記しました。 莫言

   一九九九年十一月三日
   1999月11月3日 愛知県称念寺本堂にて

   これは私が子供の頃、お祖母ちゃんから聞いたお話です。
昔むかし、空から落ちてきた雪は、小麦粉でした。人々は何にもしなくても美味しい食べ物を得ることができました。
   ある日、神様は人間の生活と道徳を調べ見るために、ひとりの天使を下界に派遣しました。天使はこじきに変装して、ボロボロの着物を着て、割れた碗を手に持って、一軒の家を訪れました。
   この家には、お婆さんがひとり住んでいました。お婆さんは空から降ってきた小麦粉を使って、餅を焼いていました。天使はお婆さんに聞きました。
   「お婆さん、お願い、焼いたお餅を一枚いただけませんか。私はとてもお腹がすいています。」
   しかし、お婆さんは不気嫌に答えました。
   「出て行け!この貧乏人め!」
   ちょうどその時、お婆さんの横で赤ん坊がおしっこをしました。お婆さんはおむつの代わりに一枚の餅を使いました。天使は、食べ物を粗末にすることを見て、とても悲しみました。
   天国に帰って、下界でのありさまを神様に報告しました。
   神様は大変怒りました。
   それからは、空から降ってきたのは、白い小麦粉ではなく、冷たい雪になりました。 それからというものは、人間は困難な労働をしなければ、食べ物を得ることができないようになりました。


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